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ケネス・ガーゲンからキャリアカウンセリングのナラティブアプローチを考える

 ケネス・ガーゲン(1935~)はアメリカの社会心理学者で、もともとは自己概念に関する研究から始められた方のようです。個人的な理解をそのまま語れば「個人の知識や正義は関係性の中で生まれる」「人によって意味づけや価値はそれぞれ違う」「だから周りの人とは語り合うべきだ」という主張をされている社会構成主義論者のリーダー的存在だと思っています(日本語に翻訳された著書も多数。恐れ多くもワタシも書評を書いています)。

ガーゲンの近著の書評

 ラカンとかデリダとか「難しいのがいい」という日本のおじさん達の雰囲気の中でもキャリア分野では現在特に人気のある理論家の1人だと思いますが(いや、アメリカほか世界のどんな分野でも有名で人気のある理論家なのですが)、一方で多くの実践家からは難解性から距離を置かれる理論家の1人でもあるとも思います。
 ただですよ、近著「関係からはじまる」はページ数は多いものの、理論書というよりも啓発書というか「こう行動しようよ」「まず関係をつくろうよ」という行動の書だと思っています。この人、社会心理学者であってカウンセラーでもセラピストでもないですが(社会心理学の理論家ですかね)、頭脳派の理論家には好かれて感性派の実践家には好かれるタイプじゃないですが、著書も後期になればなるほど人間的な表現を使う人になっているような気がします(私はそんなに偉そうに語れる立場にないのですが。理論家を名乗りますが、どっちかというと実践家ですし)。
 一度ガーゲンさんの考えの時系列変化の理由について、ご本人に解説を聞いてみたいところです。あら、今回はキャリアカウンセリングのナラティブアプローチを考えてないぞ。ええと「人間は関係性でできている」という考え方です。だからその人の人間関係を聞き、その人間関係の意味とか影響を聞くという方法もある、という感じでしょうか。


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