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大人になってからの兄妹

少し前のできごと。
私にとって胸が締め付けられるほど
大切にしたいと感じたことで
しばらくメモに書き留めていました。


これを人目に着くところに
書き残していいものか、否か
しばらく考えていました。


ただ
自分の中でしっかりと残しておきたいこと
だったので
決意し、したためます。


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兄は友人を亡くした。
「実感が湧かない」と普段と声色を変えずに話す。
普段の兄は口数が少ない。
自分の感情など、より一層口から出すことは珍しい。

地元を離れていた友人に会いにいけない兄。
責任感が強い兄は、
全ての予定を崩さないように
会えるように
調整しようとした。


しかし調整しきれず、
友人の最後の顔を拝むことはできない。

葬儀の日の朝。
朝が弱く、寝起きの悪い兄は
その日、起床時間より少しだけ早く
リビングに降りてきた。
いつもリビングで見る、起きたての顔ではなかった。

「そろそろ火葬の時間や」

リビングには私と兄。
朝の挨拶の後、すぐ私に話しかける。

「うん」か「ふーん」か
どちらかわからない音声を発した私。

それしか出なかった。

私はすぐに
シャワーを浴びに、
浴室へ
仕方ないように
逃げた。

シャワーを浴びている間
出たらなんて言おうかと考えた。

何も考え付かなかった。


「今日寒いんかなぁ、いい天気やけどな」
今日の兄は口数が多い。

「最近、身体絞れてきたで、腹筋とか。
ほら、お腹触ってみて」

スキンシップなんて、
幼少期に一緒んに遊んでいた頃以降、
したことは無いと思う。

話題を明るく変えようとしてくれる兄。

「私って何故こんなにも人を寄せ付けないんかな」
会話の流れでなんとなく聞いてみた。

こうゆう話題をふると
兄はいつも決まって、
「お前ブスやし、性格悪いからやろ」とイジってくる。

今日は

「好きと嫌いがハッキリしてるし、表現できるからじゃない?」

「うん、そうかぁ」

「でも、人数より、少なくてもどれくらい愛されてるかやろ。」


兄は友人を亡くした。
友人は両親との関係は複雑だったそう。
地元を離れ、愛する人と一緒に暮らしていたそう。
葬儀の日の朝は、少し肌寒く、快晴。
春らしいとされる天気。

「俺は、大切な人が居るだけでいいわぁ」
「んじゃ、いってきま〜す」


「いってらっしゃい」

別の日
私の母は、
「この出来事が、兄をどう変えていくのかな。」
と言っていた。


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兄のご友人様
ご冥福をお祈りするとともに、
兄と知り合い、兄に愛を与えてくださり
心より感謝申し上げます。

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人との関わり、環境の変化
そのほか、小さすぎるたくさんの事柄でさえ
大きく変えられていく
「人」
というものに
恐ろしさ、素晴らしさ、儚さ、弱さ、強さなど
たくさんのことを感じています。


向き合い、考えて選択し
ゆっくり、ゆっくり、
丁寧に。
自分が品良いと思うように
過ごしていきたいです。


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