Unravel Future第2回

-NOIZが公開している2つのダイアグラムの分析とアップデートの提案-

※このアーカイブは、ND3Mメンバー独自の解釈によるものです。一部内容に不正確な表現や、誤りを含む可能性があります。

はじめに

「Unravel Future」とは、名古屋周辺の建築学生が主体となり、①「建築と異分野の融合」を軸とし過去から未来へ時間軸を横断して研究・思考・議論、②アイデアコンペ,エキシビジョン,実作,実務に渡るまで、デジタルデザインの分野から制作活動,ワークショップを行うチーム「ND3M(Nagoya Digital Design Developer Meeting)」が主催する研究型プロジェクト。この企画の中では、noiz architectsが取り扱っている「Diagram for Expanded Dimension of Architecture」「物質と情報が重なる共有領域としてのコモングラウンド」の2つのダイアグラムを分析していく。

前回の第1回ではダイアグラム中の「DIGITALTWIN⇔PHYSICALCITY」をテーマに、事前にメンバーが集めたデジタルツインの実現/計画されているプラットフォームを図中に書き込み、事例からダイアグラムを分析した。

第2回は、その分析を踏まえてダイアグラムをアップデートしていく段階に入る。

第2回(4/30)アップデートの提案

ダイアグラム分析
「物質と情報が重なる共有領域としてのコモングラウンド」のアップデートできそうな点を探る
プラットフォームの実現例/計画からダイアグラムを分析/読解した第1回を踏まえて、第2回では、ダイアグラム中の矢印の向き、〇でエリア分けしてあるところ、キーワードの関係性やキーワード自体を見直し、アップデートできそうな点を探る。
「Diagram for Expanded Dimension of Architecture」の読解(1)
ダイアグラムを読み解きながら疑問点をまとめ次回に繋げる。

メンバーが各自がアップデートさせて提案したダイアグラム

画像13

“物質と情報が重なる共有領域としてのコモングラウンド”by noiz(2018) licensed CC BY-ND

*注1)ダイアグラムは上記のリンクのサイトから引用しました。この下に続く画像については、この画像にメンバー各自が書き込んだもの、もしくは新しく作ったものです。書き込んだものを掲載することについては、ライセンス規約を読んだ上で事前に許可を取得し行っています。

①阿部からの提案

画像1

阿部「コモングラウンドの位置がちょっと分かりづらかったので図形的に包含関係がわかるように書き直し、またデジタルエージェントとフィジカルエージェントの数を増やした。デジタルワールドとデジタルツインの大小関係とかコモングラウンドはどこに位置するのかということを意識した書き方を提案したい。」

②田住からの提案

画像2

田住「Digital Worldと Physical World があって、それがCommon Groundと並列になっているのが分かりにくくなっているのではないか。そこで、大きい分類としてデジタルとフィジカルを置いてその点線の上にコモングラウンドがいるという構図を提案したい。加えて、コモングラウンドを真ん中に配置し矢印を両方向に繋げ、リンクという形にした。
デジタルツインにはデータが結び付き、フィジカルワールドには現象が結び付いているというように相互関係を明確にした。DigitalAgentとPhysical Agentがコモングラウンドにアクセスするすることを白い矢印で、それに加えてコモングラウンドを介して両者ががつながるという形で黄色い矢印を書き入れた。」

③池本からの提案

だいあぐらむとよだ

池本「前回デジタルワールドとかフィジカルワールドの所に丸で区切るのはない方がいいんじゃないかという話があったのでそれを取り除いた。あとは、もともとInteractionって書いてあったと思うんですけど、Digital TwinからDigital Agent、Physical cityからPhysical agentにかけての矢印が一方通行じゃなくて両方向につけることでInteractionと書かなくてもよいようにした。」

④中島からの提案

中島「池本さんと同じで、Physical cityやDigital Twin側からも矢印がAgentに向かうようにする。
デジタルツインやフィジカルシティからエージェントが情報をキャッチしてまた行動を返すっていうのを示すため。」

⑤近藤からの提案

画像3

近藤「デジタルとフィジカルの境目がある点、actionとsenseの言い方の紛らわしさを感じたので、アップデートという言葉に置き換えた。また、ミラーワールドとミラーリングしているということでリンクという単語を入れた。」

ND3Mが提案するアップデートさせたダイアグラム

commonground改 (3)

以下のURLのダイアグラムをもとに議論しアップデートを提案するという形でダイアグラムを制作した。(上記のダイアグラムはメンバーで作成したもの。オリジナルはこちら  ↓)

着眼点

①「action , sense」ではなく「Link」とする
②「Agent」と「Digital Twin」「Physical City」の繋がりについて
③「Digital World」と「Physical World」の境界について
④ミラーワールドとコモングラウンドについて
⑤Agentは1つずつに集約させるべきか、点在させるべきか
⑥「Data」と「Phenomenon」について

①「action , sense」ではなく「Link」とする

着眼点1

田住「actionとsenseという単語ではなくリンクやミラーリングという単語の方が良いのではと思いました。リンクの方がインタラクション、相互のやりとりをしているというニュアンスが伝わりやすいのでは。」

②「Agent」と「Digital Twin」「Physical City」の繋がりについて

着眼点2

池本「まず指摘したい点は、元のダイアグラムではAgentからDigital TwinやPhysical Cityに矢印が向いているが、Digital TwinやPhysical CityからAgentに向いている矢印があっても良いのではということ。」
中島「それは僕も同感で、Digital TwinやPhysical Cityから得たデータをAgentにかえして、さらに最適化した値をAgentがかえしているのでは。なのでInteractionという単語を消して、ここは矢印が両方を向くようにしたほうが良いかと思う。」
田住「元のダイアグラムではAgentからDigital TwinやPhysical Cityに直接働きかけているが、 コンピューターも人間もアクセスできるプラットフォームとしてのコモングラウンドを仲介して働きかけているというのを強調したほうが良いかもしれない。」

③「Digital World」と「Physical World」の境界について

着眼点3

田住「前回も話題になったのですが、デジタル側もフィジカル側もアクセスできるプラットフォームがコモングラウンドだと考えると、元のダイアグラムのようにDigital World、Physical Worldが〇で囲われてしまうのではなく、間に点線を入れてそれをまたぐようにコモングラウンドがあるような構図にしたほうが分かりやすいのでは。」

④ミラーワールドとコモングラウンドについて

着眼点4

近藤「ミラーワールドとコモングラウンドついて、第1回の議論でも僕が出したと思うんですけど。このダイアグラムのアップデートでも考えたほうが良いんじゃないかなと。」
前回話題にあがったもの


阿部「そもそもコモングラウンドとミラーワールドは一緒ですか。」
近藤「デジタルツインとフィジカルシティがセットになったものがミラーワールドであるかと。」
池本「 コモングラウンドはデジタルツインとフィジカルシティのやり取りを支えるのメディウム的要素ではないかと解釈している。だから元の図でも薄い字や点線でコモングラウンドが表現されていているのは、その領域が曖昧であることを示してるのかもしれない。」
阿部「では大小関係的には、コモングラウンドの中にミラーワールドがあるという解釈ですね。」

⑤Agentは1つずつに集約させるべきか、点在させるべきか

画像1

池本「この阿部君が作ったダイアグラムだけ、ほかの人が作ったものと異質なのでは。それは、コモングラウンドの中にエージェントがある点、エージェントが複数点在している点にあるかと。ここをもう少し掘り下げたい。」
阿部「まず前者については、VR 空間に没入するようなイメージでコモングラウンドにエージェントが入り込むこともできるし, コモングラウンドを外から観察することもできるしていうことを強調したかった。また、エージェントがコモングラウンド全体とも矢印で結ばれるっていう事を示したい。
後者については、俯瞰して全体を見ると、エージェントはDigital Agent、Physical Agentにまとめられるかもしれないが、人間の体験の視点で見ると、生活空間には様々なデバイスが存在していて複数のエージェントがインタラクションしているのではないかと考えた。」
近藤「阿部君の『VR空間に没入するようなイメージでコモングラウンドにエージェントが入り込むこともできる』のではという視点は僕も面白いと思っている。」

⑥「Data」と「Phenomenon」について

着眼点6

近藤「結局、デジタルワールドとフィジカルワールドは何で構成されているか、みたいなところを付け加えたい。」
田住「デジタルワールドからコモングラウンドへアクセスするものとしてのデータ、それと対局になるものとしてフィジカルワールドからコモングラウンドにアクセスするものとしてphenomenonをあげています。”現象”という単語が微妙かもしれません」

次回(5/7に向けて)

画像10

"Diagram for Expanded Dimension of Architecture"by noiz(2014)                       licensed CC BY-NY-ND

第3回、第4回ではこのダイアグラムについて分析する。
そこで「プレミーティング」という形で簡単にこのダイアグラムについてメンバーが思ってることをざっくばらんに話した。

そこで一番話題に出たのが、赤い点線矢印、黄色い矢印についてである。
赤い矢印は従来の設計手法で、黄色い矢印は昨今のBIMやアルゴリズミックデザイン、デジタルファブリケーションを用いた設計手法なのでは。
→次週は、この黄色い矢印部分の設計手法に該当する事例を集めて、実際のプロジェクトや建築から分析するという流れになった。

ダイアグラム分析
第3回(5/7)  具体的なプロジェクト/建築から「Diagram for Expanded Dimension of Architecture」の黄色い矢印を分析する
「Diagram for Expanded Dimension of Architecture」には赤い矢印と黄色い矢印があり、おそらく赤い矢印は従来の建築を作るプロセスの在り方、黄色い矢印はこれから目指していくべき建築を作るプロセスの在り方であると読解した。第3回では黄色い矢印の示すようなプロセスをもとに進められている具体的なプロジェクトや建築のプロセスから該当する点を分析し読解をしていく。

読書ミーティング
第3回(5/7) アルゴリズムを知る

今日に至るまでデザイン学、建築学の中で、形を生成する理論やアルゴリズムや手法論が提唱されてきた。なぜこの理論が必要になったのか、理論の先にある建築とはについて理解する。
*課題図書*(著者が同じもので別の作品でもよい)
パターンランゲージ(クリストファーアレグザンダー)
錯乱するニューヨーク(レムコールハース)
造形思考(パウルクレー)
空間-機能から様相へ(原広司)
アフォーダンス―新しい認知の理論
カウフマン、アイゼンマン、ソシュール、記号論etc…

第3回アーカイブはこちら

過去アーカイブ



文責:阿部・池本





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