【本を語る】IT全史(4)無線電信とタイタニック号の悲劇。
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この記事は、Podcast「にゃおのリテラシーを考えるラジオ」の2022年4月30日配信の書き起こしです。
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にゃおのリテラシーを考えるラジオ
読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書と IT 時代の読み書き、そろばんを中心に様々な話をしています。
今回のタイトルは、
「【本を語る】IT全史(4)無線電信とタイタニック号の悲劇。」
というものです。
IT全史を読んでいくシリーズの 4 回目です。
これまでに、 18 世紀末に誕生した比較的モダンな遠距離通信手段としての腕木式通信から始めて、電線を使った電信が明治の初めまでにイギリスと日本を結んでいたという話をしました。
今回は電信の無線版の話をしたいと思います。
無線電信の始まり
無線電信の歴史でとても有名なのはタイタニック号の沈没に関わる話です。
19 世紀の終わり頃、イタリア人のマルコーニという人が電磁波を使った信号の送信実験を行いました。
電磁波というと難しく感じるかもしれませんが、馴染みのある言葉にすると電波ってことになります。
ごく端折って言うと、電線の近くで磁石を動かすと電線に電流が流れるという仕組みを使うわけです。
電線を使った電信の方は、電線に電流を流すと、そばにある磁石とか金属が動くということを利用していますが、ちょうどこれと逆のイメージです。
電線と動かす磁石の位置をどんどん離していき、遠くにある電線に電流を流すことができれば、その間に電線を引かなくても信号が送れますよね。
とはいえ、強力な磁石が必要になるし、受信側で起きる電流もとても小さいので、送信受信の両方で信号の増幅が必要なのです。
それに磁石を動かすとイメージした部分も、その動かすスピードによって伝わりやすさが変わったりもして、その研究が進むことによって、無線で無線で通信ができるようになりました。
移動体通信のニーズ
当時はすでに海底ケーブルで世界を結んだ通信ができていましたが、それでは通信できないものがありました。
移動するものとの通信です。
電信が始まるはるか以前から世界を結んでいたのは船ですよね。
その船で通信ができたら、貿易船だったら積み荷をより有利な条件の港に持っていくとか、海にはつきものの海難事故などの時にも使えるということになりますよね。
当時の無線電信設備はある程度の大きさがあったと思われますが、船だったら積めそうな気もします。
というわけで、船舶に対して無線通信が使われるようになりました。
独占とオープン化の戦い
マルコーニは長距離通信の実験を進め、 20世紀の始めには大西洋を横断する通信にも成功しました。
ただ、このような技術開発にはコストがかかります。
実用化したら、その通信技術を独占したいというのも、まあまあわかります。
同様の技術開発を行う他社も存在するわけで、強力なマルコーニと対峙する他社は連合を組みます。
通信には相手がありますが、相手が同じ通信方式である必要があります。
例えば、電信に使うモールス信号や、その上で使われるメッセージなどを相互に了解していないと通信は成り立ちません。
競合の世界で有利にことを運ぶために、マルコーニは独占の方向で事業を構築しましたが、他社は連合して通信方法の標準化に動きました。
簡単に言うと、標準化連合とマルコーニ社の間では通信を行う上での運用ルールの齟齬が生まれることになったのです。
このような状況でとある大事件が起きます。
タイタニック号の悲劇
有名なタイタニック号の事故です。
タイタニック号にはマルコーニ社の通信システムが乗っていました。
マルコーニ社の通信士は、直前の無線機故障で溜まった通信の送信に追われ、タイタニック号の進行方向にあった氷山の情報確認ができず、せっかく近くで情報を衝突警戒情報として発信しようとした他の船の通信も拒否し、船長への報告を行わなかったのです。
結局、タイタニック号は氷山に衝突し、今のモールス信号で遭難信号を現す 「SOS」を世界で初めて発信することになってしまいました。
そして、それはカナダの地上局で受信され、海底ケーブルを通じてヨーロッパに伝えられました。
タイタニック号の遭難のニュースは、当時としてはほぼリアルタイムに世界に知らされたのでした。
通信ルールの整備
残念ながら無線通信ができる船は少なく、遭難時のルールも未整備だったことから、タイタニック号は史上最大の悲劇として記録されましたが、この事故を教訓に、船舶への無線設備の設置義務や無線局は遭難信号を受信するために 24 時間受信できる体制を作ることなどのルールが設けられたそうです。
無線免許には海上、航空、陸上などの区別がありますが、タイタニック号事件のような背景があって、安全、特に緊急時の無線通信の秩序を保つ観点からこのような区分が設けられているのですね。
今回は無線を使った通信の話をしました。
次回は電話が生まれる過程について話してみようと思います。
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おわりに
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今日もワクワクする日でありますように。
千葉直樹でした。
ではまた。
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