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【技】垢消し→消してくださいと懇願すること


聴いてみよう

この記事は、Podcast「にゃおのリテラシーを考えるラジオ」の2023年8月16日配信の書き起こしです。

読んでみよう

にゃおのリテラシーを考えるラジオ

読書と編集の千葉直樹です。

このチャンネルでは、読書と IT 時代の読み書きそろばんを中心に様々な話をしています。

今回のタイトルは 、

【技】垢消し→消してくださいと懇願すること

というものです。

裏アカの話

水曜日はITを中心とした技術的な話をしています。

今回の話は技術そのものというよりも、割と普通に勘違いしてる人が多い言葉について、技術的な観点から注意点を話すという内容です。

この配信の1年ほど前、第249回目の配信で裏アカは実は裏アカになっていないよというタイトルで話しました。

この回のリンクを概要欄に貼っておきますので、気になる方は聞いてみてください。

このチャンネルではほとんどの配信の書き起こしをノートに掲載しているのですが、この裏アカに関する記事にたまに好きがつくのです。

好きがつくと通知が来るので、自分の記事を読み直してみたりすることになりますね。

で、ふと思ったんです。

裏垢には垢消しってのがセットなんだろうなってことです。

僕は裏を上手に使う方法はあると思うし、別にそれ自体が悪いわけではないと思っています。

では、上手ではない使い方は何かというと、後ろめたい使い方です。

よくあるのは誹謗中傷系でしょうね。

249回でも話したのですが、裏アカといっても事実上匿名性はありません。

個人を特定する方法はいくらでもあります。

個人情報の保護は技術ではなくて紳士協定なので、紳士的な振る舞いから逸脱したものは保護の対象となりません。

ま、要するに現実の社会と同じってことですよね。

しかも、現実の社会よりもずっと簡単に情報を集められるのがネットの世界です。

ということは、ひとたび逸脱したと認定されると結構あっさりと追い詰められることになります。

だから、

裏アカを使うのはいいけど、後ろめたい使い方はしないようにしようね!

というのが249回の配信の内容でした。

垢消しとデータ消去の難しさ

1年経って読み返してもう一つ言うことがあったなと思ったのが、垢消しについての素朴な誤解もありそうだということなのです。

垢消しというのは、アカウントを削除することです。

必要な時にアカウントを削除できるのは大切な権利です。

ただし、この権利の実効性についてはかなり限定的と言わなければなりません。

要するに、アカウントを削除したからといってきれいさっぱり情報が消えてなくなるわけではないということです。

アカウントを作ったサービスが真っ当なサービスなら、アカウントを削除するとそのサービスが保持しているそのアカウントに関するデータはネット上からはアクセスできなくなります。

一応、保持されているデータは削除されることになりますが、ここが微妙なところです。

本当に全てのデータが削除されているのかというと、多分何世代かにわたってバックアップされているデータについては残っている可能性が高いのです。

もちろん、これらのデータを元に戻すことはまずありません。

ただ、何らかのシステム的な異常があったときには戻すことがあります。

そのためのバックアップデータですからね。

もっと技術的な奥の話をすると、 データを保持するために使われるデータベースシステムでは、データの削除を削除マークを付けることで行うことが多いのです。

なぜなら、完全に削除するためにはデータを塗りつぶす書き込みの処理を行うことになり、それはものすごく遅いからです。

高速化のためにデータの一部にマークをつけて、データベースシステムとしてはデータが存在しないように振る舞うということになっているのです。

それだけでなく、システムを開発する立場からすると、本当に削除するというのは非常にハードルが高いのです。

バグなどで間違って消して戻せないとなると大変だし、運用ミスということもありうるし、

もっとひどい場合はユーザーがいったん削除したのに戻してほしいなんてわがままを言うこともあります。

魔法使いじゃないですからね(笑)

本当はできないものはできないのですが、心優しいシステム開発者はそういうことも考えてバックアップを取ってあったりして、そういうものまで完全に消すのはとても難しいのです。

他にも様々な理由で一度書き込まれた情報は簡単には消せないという事情があります。

そういう深い事情とは違いますが、SNSではもう少し違った現象も発生します。

いわゆるスクショですね。

これはサービス提供側からはどうしようもありません。

スクショは誰でも取れるのです。

スクショを根拠にしてアカウント情報開示を求めることはできるし、開示できる情報をサービス提供側は残しておく必要があるのです。

ってことは、アカウントの完全削除は幻想なわけですね。

こう考えると、垢消しの中でも 後ろめたいことがあってやる垢消しは、私の過去を見ないでくださいと不特定多数に懇願する行為に等しいわけですね。

事実上消えないわけですから。

ではどうするか

では、どうしたらいいのかというと、裏アカの話の時と同じで、そもそも後ろめたいことをしないという普通の社会生活と全く変わりがないということになるわけです。

口に出したことは消せません。

そういうことで後悔したことがないという人はいないでしょう。

だから、昔から口は災いの元って言われているのですね。

過去を簡単に消すことができないのは、ネット上でも同じです。

やってしまったことには取り返しがつきませんから、できることはバレないように祈りながら、せめて今からは後ろめたいことはやめようと決意して、そのように行動することですかね。

僕自身もできるだけ後悔することがないようにネットを使っていきたいと思っています。

今回は、アカ消しは消してくださいと懇願すること という話をしました。

今日はここまで。

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今後配信の中で参考にしていきたいと思います。

おわりに

読書と編集では IT を特別なものではなく、常識的なリテラシーとして広める活動をしています。

ITリテラシーの基礎を学べるオンライン講座をやっています。

詳しい内容については、概要欄のリンクから、または「読書と編集」と検索して、猫がトップページに出てくるホームページをご覧ください。

概要欄にリンクがありますので、フォローいただけると嬉しいです。

この配信の書き起こしをnoteで連載しています。

今日もワクワクする日でありますように。

千葉直樹でした。

ではまた。

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