SBTWのBitokuさんにミックスの指南を受けた。

はじめに

趣味でメタルやメタルコア(だけじゃないけど)のミックスをしている人に、教わる機会というものはほとんどありません。

そもそもDTMというのが孤独な趣味である上に、巷に溢れているTipsとかセオリーとかそういうものは露程もあてになりません。なぜならそういう技はナヨナヨした音楽のためのものであって、我々がやっているエクストリームなモダン・ヘヴィネスを作るためのものではないからです。

たくさん買うプラグインや機材を使ってみて、どういう使い方が自分にとって嬉しいのかを試行錯誤し、無駄金を使って経験を積むことでしか技術は向上しない…と、思っていました。

そう思っていたんですが、Haze of the Bullet Blossomが通算2作目となるシングル 「Pale Season」をつい先日リリースしまして。

このミックスを手がけたのは、日本のメタルコア界隈では知らない人はいないBitokuさんです。

そこで、私と同じような音を扱ったからこそ通じる話もあるかもしれんし、何か教えてもらえないかとダメ元で連絡した結果、快諾を頂けました。

私のような人間にとって大変貴重な「教わる機会」でした。

細かくて具体的な話をするつもりはありませんが、以下にその感想を綴りたいと思います。

結論

結論から言うと、今まで自分がやっていた方法とは全く違う突拍子もない裏技みたいなのは(あんまり)ありませんでした。むしろ方向性は(あんまり)間違ってはいなかったんだという安心が大きかったです。

ただ、今までの私は完全な新米でしたので、巷のセオリーよりも自分の感覚を信じ切れていませんでした。方向性は(だいたい)あっていたけど、思い切りが足りてなかったというのを痛感することになりました。

当日やったこと

Bitokuさんの作業部屋に行った

当日は、なんとBitokuさんの作業部屋にお邪魔することができました。とあるマンションの一室でしたが、生活感が全く無くてポツンとデスクだけある部屋に案内していただけました。

はっきり言って、機材のゴツさでは私の方が数段上だと思います。画面も大きいのが3枚あるし、ヘッドホンもスピーカーもあるし、マウスもキーボードも…って感じですけど、そういうことじゃない。

画面1枚と高品質のインターフェースとヘッドホン1発さえあればそれでいいんです。いろいろ機材を揃えて悦に浸っているようではまだ三流です。私は引き続きギラギラ光る高級キーボードやマウスを買い続けますが。

で、作業部屋ではPale Seasonのプロジェクト画面(Cubase)を実際に見ながら、エフェクトプラグインやオートメーションの様子を解説していただくというスタイルで受講しました。

ヘッドホンを持ってこいと言われたんですけど忘れました。道中でコンビニのイヤホンを奢ることになってしまいました。すみませんでした。


Bitokuさんの作業画面を見ていた

私はLogic Proを使っているんですが、Cubaseの便利機能をいろいろ見せていただきました。絶対乗り換えませんが、Logicでも同じようなことができないか機能探訪をする必要はありますね。

作曲ではよくあることだと思いますが、ミックスだけのプロジェクトでもトラックを追加することは結構あるそうなので、トラックを追加しやすくするワークフローはしっかり組んでおいた方がいいと思います。Cubaseは私もたまに使いますが、トラック追加を左上の+ボタンでやるのは手順が多すぎるとは思います。

色分けとトラック名などはしっかりして、見やすくて気分がいい画面を作ることも非常に大切です。


いろんなエフェクトプラグインを見た

各トラックにどんなプラグインをどんな目的で使っておられるのか、全て見させていただきました。全部メモしました。

音のどこを残すかEQで決める

音に色付けをする

コンプやリミッターでめちゃくちゃ潰す

ほぼ全てのトラックで以上のような考え方を共通で持つ必要があると感じました。細かいエフェクトの違いやマスキングのケア、位相処理などもありますが、おおまかな流れは全トラックでほとんど違いはありませんでした。

何を使われていたかを明かす気はありませんが、全体を通して「結局Wavesかぁ」と思いました。


あらかじめ用意していた質問への回答をいただいた

  • Pale Seasonが世に出ましたが、世に出た今思っていることはありますか?

  • 前私がやった音源の良かったところを挙げるとしたらどこですか?

  • バンド側からはどんな要望がありましたか?

  • 聞き出した意見をミックスに落とし込む時、どんなことを考えてますか?

みたいな感じで、30個くらい質問をあらかじめ用意していました。

プロジェクトを総浚いする中で解決した疑問や、メールで回答いただけるものはあらかじめ回答をいただいた質問もありますが、聞きたいと思っていた質問は全て投げることができました。

その他

駅からお部屋までの間、まあまあ時間がありましたので雑談をいっぱいしました。

私が目指している方向性の話とか、バンドが売れるためにどうしたらいいんかな〜とか、相談というほどではないですが真剣な話をすることができました。

だいたいこのくらいの内容で、3時間+往復30分くらいでした。


おわりに

方向性は大きく間違ってはいなかったと書きましたが、気になっていたけどどうすればよいかわからなかった問題の解決法や、細かい作業の重要性なんかを理解できましたので、大きな意味はあったと思っています。

受講する前と受講した後ではできる音も全然違うと思いますし、実際に違うことを実感しています。上手く言えないんですが、垢抜けた音ができてると思います。

また、現在はとあるバンドさんから初めてのシングル制作の依頼をいただいています。

その案件については「Bitokuさんにレッスンを受けてくるから、きっとクオリティが一段上がるはずなので納期を延長させてください」という変なお願いをすることになりました。承諾してくださってありがとうございます。

→2023/04/20更新
Zepto in Iの"farewell"が配信開始されました!


「教わる機会」って貴重です。でも、探せばきっと手に入ります。

調べることはもちろん大切ですけど、教わることも悪いことじゃないと思います。

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