見出し画像

プロモーション→ブランディング考察


前書き

縁あってMarkeZine Day 2020 Autumnに参加させていただきました。


登壇内容は『プロモーションに留まらないブランディング』ということで、NORTH AND SOUTHの南坊さんアンカー・ジャパンの猿渡さんという錚々たる方々とご一緒させていただきました。

ダウンロード

※公式サイトよりキャプチャ


また、当該セッションにおいては、記事化もしていただきこちらでご覧いただけます。


とはいえ、約1時間のセッション内容を全て盛り込むわけにはいかず、実は当該記事はセッション後半からの内容を中心に書かれています。

なので、改めて自身の記録として私がお話しさせていただいた部分だけでも、noteにアウトプットできれば思いました。

※ご留意いただきたいこと
こういった類の話は様々なご意見があるかと思いますが、個人的見解の一つとしてご覧いただければと思います。



ディスカッションテーマ①
プロモーションをどのように位置づけているか

「ブランディング≠プロモーション」を前提として、『ブランディング』という言葉の意味をより正確に捉えるために、まずはプロモーションとは何か?というテーマから入っていきます。


議論の際に使ったスライドがこちら↓

画像2


私はプロモーションの立ち位置を「きっかけ作り」と置いています。

この世には多くのブランドが存在していますが、弊社ブランド含め、ほとんどのブランドが「生きる上で必須のブランドか?」と問われると、そんなことはありません。
言い換えると、そのブランドが無くても死ぬことは無く、たとえどんなにニッチなブランドであっても何かしらの代替手段がある、とも言えます。

とはいえ一般的なブランドは、なにも人の生死に関わるようなステージで勝負しようとしているのではなく、そのブランドを体験してもらうことでより便利に・豊かに・幸せになっていただくことを目的としてビジョンを掲げていると思います。

だからこそ、「競合ブランド」という選択肢だけでなく、「その他の代替手段」という選択肢や、そもそも「必要無し」という選択肢がある中から選ばれるために、自ブランドの良さを伝え、経験・体験してもらうため(自分ゴト化してもらうため)の「きっかけ作り」が必要であり、それがプロモーションであると考えています。

これはまさに足立さんがマクドナルドに在籍していた時に、コミュニケーション戦略を語っていた時の一節を引用しています。

ハンバーガーは食べなくても死なない。食べてもらうには理由が必要だ。メディア露出で“世間ごと化”すればニュースになる。それが食べる理由になる。
※記事内引用


プロモーションの意義が定まったところで、次にどうやって具体的に自分ゴト化してもらうか。

スライドの右下図にまとめていますが、

画像5

ここで重要なのは、「誰に」「何を」「どうやって」伝えるか、この三拍子が揃っていること。

ともすると企業の組織はこの三拍子が分断されて部署が作られている場合が多いです。
例えば、広告宣伝・販売促進に関連する部署は「誰に」や「どうやって」という伝える手段・手法という部分には強いですが、「何を」という『きっかけの源泉』を作り出すことに弱く、「何を」の部分に「ブランド」や「飛び道具的なコンテンツ」、「あからさまな値引」を入れてしまうことをやってしまいがちです。

ブランド名
次章のブランディングに関わる部分ですが、ブランドは「信頼・安心」を想起させるものなので、すでにニーズが顕在化したあと、想起集合で1位を獲得する目的で使うことができますが、これを見せたからといってニーズが生まれることはほとんどありません。

飛び道具的なコンテンツ
本質的な「何を」を生み出す部署は、商品開発や営業企画系の部署が担っているため、越境してまで口を出すわけにはいかず、結果的に本質から逸れたデジタル上で完結するような面白コンテンツや、現場に影響を与えないような無難なコンテンツで「何を」を代替しようとしてしまいます。

あからさまな値引
飛び道具的コンテンツの派生でありつつも、近視眼的にはそれなりの効果が見込めるため、ある意味麻薬のようなものですね。
短期決戦で市場シェアを取りに行くプラットフォーマーでは顕著に使用されていますが、値引で獲得した顧客は値引で離れることもまた理であり、これによって顧客にブランドの信頼残高が貯まることはありません。


つまり、「何を」の部分は(「誰に」を考慮しつつ)ブランドの本質的な「商品・サービス」だったり、収益や顧客ロイヤルティまでを勘案した「効果的なオファー」を入れる必要があり、その『きっかけの源泉』を作った上で「誰に」というターゲットを定め、「どうやって」という効果的な伝え方をする必要があり、この三拍子揃って初めてユーザの自分ゴト化に繋がると思います。


また、(三拍子揃った)プロモーションを実施するためには、4Pや4Cの視点でそれぞれを主体的に作り出していくことも必要です。

画像6

そのためには、積極的に他部署や現場と協業しながらもイニシアチブを取るように働きかけることが重要ですが、仕事を奪うような破壊的なイニシアチブの取り方ではなく、自部署の立場でも取れそうな部分は何かを探っていく、ことが必要です。

自身がCMOのような立場であれば各部署横断で一気にイニシアチブを取ることができますが、ほとんどの方がそうではありませんので、ブランドのためとはいえ、組織で立ち回るためには必要なステップですね。


これは私の事例になりますが、所属はデジタルマーケティング部という主にはPromotionやCommunicationをメインとした部署で、Placeには店舗(現場)があり、オフラインの接客(電話受注やチラシのポスティング)が大半を占める中、その部分で切り込むのではなくオンライン接客というConvenienceの視点で存在感を出すようにしていきました。

また、ProductやPriceの部分では専門部署があり、原価や仕入れにまで及び収益への莫大なインパクトを与える通常の商品やその値付けという部分ではなく、Costという視点でデジタルポイントを、Customer Valueという視点でオンライン限定商品といった形で関わったりすることで、『きっかけの源泉』である「何を」を作り出しながら三拍子揃ったプロモーションを実施するようにしていきました。

特に弊ブランドはお陰様で今年20周年を迎えることができましたので、各4Pそれぞれにかなり大型の企画を盛り込みながら実施をしていきました。

画像7



ディスカッションテーマ②
プロモーションに留まらないブランディングとは

続いてブランディングの核心に迫っていくための議論としてこちらのスライドを使いました。
(このテーマからMarkeZineさんの記事になっています。)

画像3


ブランディングという抽象的なものを捉えるため、まずは具体的なものに(活動できるアクションに)どんどん要素分解をしていきます。

ブランディングの元となる要素は何か?=期待を作り期待に応えること
⇒期待とは?=安心+信頼+刺激
⇒安心+信頼+刺激を高めるには?=KFSの最大化
⇒我々にとってのKFSとは?=配達時間+商品力+CS+販促


こうやって分解していくと、特に我々のようなブランドは顧客に向けた活動全てがブランディングに繋がる要素になっていることがわかります。

また、KFSを最大化させるための活動の1つとして、我々は『デジタル化の促進』を掲げて活動しており、その部分を事例として深堀りしました。


アフターデジタル的に、リアルはデジタルに組み込まれる(デジタル>アナログ)というような概念的な話ではなく、まさに顧客接点としてブランドが表出化された時に何が必要かを考えてみると、すべてをデジタルに寄せるべきではありません。(デジタル + アナログ)

デジタルとアナログどちらにも長所・短所があり、今まで培ってきたアナログの良さは残しつつデジタルを強化することにより、それぞれの短所を補い合う良いとこ取りができるはずです。

画像8

また、オンライン←→オフラインの行き来含めて、そもそも顧客の行動が多様化している中で1つの道に誘導すること自体がナンセンスなので、大まかなメインストリームは設定しつつも、できるだけ自由度の高い接客ができるようにしています。



ディスカッションテーマ③
ブランディングの本質とは

最終的に本質的な会話になっていきますが、まず大前提として我々の事業は「直販・エリアビジネス・食」という特性があり、一種の会員ビジネスようなものです。

なので"マス"よりも"パーソナル"にフォーカスし、長期的な関係性を築いていくことが事業の成長に必要であり、その前提において、選び続けてもらうための仕組みを作る努力をしています。

画像8


そして、ユーザ自身が作り上げたイメージやこちらが植え付けたい曖昧なイメージで勝負するのではなく、
 ・具体的な付加価値は何で
 ・どんな課題解決ができて
 ・どんなメリットを提供できるのか
という実質的な価値のある(手触り感のある)情報に落とし込んでコミュニケーションを行っていく必要があります。

そうすることで、ユーザの具体的な期待(安心+信頼+刺激)に応え、また新たな期待を作り出しそれに応える… という正のスパイラルを回すこと=ブランディングなのではと考えています。




以上。

============================
この記事があるマガジンはこちら

============================
こちらも是非。
[週刊]フード・デリバリー関連ニュースマガジン
様々な体験をまとめたマガジンはこちら
雑記のマガジンはこちら

============================
twitterはこちら

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?