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極短編小説「日常」

A.気温はそれほど高くない日だったが、雨季特有のまとわりつくような湿気がどうも嫌な汗をかかせる。
張り付いたシャツが気持ち悪い。
こういう日は細かいことに苛立ってしまう。
他人の笑い声、やたら引っ掛かる信号機、湿度で曇る眼鏡、のんびりした歩行者、ぶつかるバッグ。
許容範囲を超えてしまいそうだ。
表面張力の様に、ギリギリで持ち堪えているフラストレーション。
そしてついにその時が来た。
駅のホーム。

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