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<4> タイムマシンには乗らない

あなたは、タイムマシンで人生の好きな時に戻ってやり直せるなら、いつに戻って何をしたいですか?

その問いに、ボクはこう答えた。

「戻りたくない。嫌なことを繰り返したくないから。」

なんてつまらない、夢のない答え。

そういうことじゃないと何度考えても、やはりこれに戻る。

おそらく、この出来事のせいだ。

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今から20数年前、ボクはそこそこ田舎の、そこそこ進学校に通う高校1年生だった。

通学で使っていたローカル線沿線には多数の高校があり

短ランにボンタン、通学バックはお弁当箱の巾着のみのお兄様や

セーラー服にエンジ色のパーカーを羽織り、首には「LARK」(注:スピークラークね)の入ったエビアンホルダーをぶら下げ、お化粧もバッチリな、高校時代に成人を迎えたに違いないお姉様もいたりと、そんな時代。


そして、そんな高1の夏の少し前に、それは起きた。

「応援の練習」である。

夏の甲子園出場を目指す、野球部の応援である。

と言っても、別に野球の名門校でもなく、スポーツが盛んな高校でもない。そこそこ田舎のそこそこの進学校である。振り返ってもそんな印象しかない。

伝統なのか、地域柄なのか、時代なのか、今となってはよくわからないが、授業が終わった放課後、教室に集められ(時には一年生全員で体育館で)
声出しの練習である。校歌の練習もしたかもしれない。

指導してくれるのは、上級生の応援委員。ちょっと頭がいい、ちょっとヤンチャなお兄様。つい最近まで中学生だった自分には、やたらと年上に見える1コか2コ違いのお兄様。

記憶にあるのは、手を後ろにグーにして組み、ひたすら「押忍、押忍」を繰り返す。

そして、4列ぐらいに整列した間を、お兄様方が練り歩き、声が小さいと日直席にエスコートされ、みんなに向かって「押忍」。

「押忍、押忍、押忍、オス、オス、オス、押す、押す、押す、雄、雄、雄、お酢、お酢、お酢…」

オラは、悟空ではない。

確か、1試合だけ応援にいったような気がしたけど、もちろん「押忍」といった記憶はない。校歌を歌ったかどうかは覚えていない。

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冒頭の質問に戻る。

「だったら、高校の応援練習の時に戻って、休めばいいのでは?」

確かに、それもいいかもしれない。

だけど、できるだけ避けたいけど、嫌なことから学ぶこともある。
悔しいけど、悲しいけど、そういうこともある。

ただ、確実に言えることは、

この経験をしていなかったら、この話は存在していないということ。
今は、それだけでいいかもしれないと思った。


今はさすがにないだろうなと思ってググったら、まだ一部ではあるみたい。

でも、本当に応援したい時って、
自然に力が入って、お腹から声が出るよね?










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