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世界でさいしょの木と赤い鳥(下)

これは世界でさいしょの木と赤い鳥(上)の続きのお話です。

世界でさいしょの木

世界でさいしょの木と木の国

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世界でさいしょの木と赤い鳥

おじいさんは、今の地球の様子をフォーにたずねました。

「ぼくは……。今のように地球が動くのが当たり前の世界で生まれ育ったので、今と昔がどう変わったのかわからないんです。」

フォーはとても申し訳なさそうに答えました。

「赤い鳥が話す宇宙の実がふる前の地球や伝説の森がどんなに美しく、
素晴らしかったかをいくら聞いても想像することすらできません。
だから伝説の森のイメージがわかず地球を何周もしてしまいました…。」

「フォーはちゃんと伝説の森を見つけたじゃないか。
きっといろいろ見てきたから、ここの素晴らしさがわかったんじゃないのかい?私は地球を何周もしたフォーだから聞くのじゃ。
フォーが見て知っていることを話してくれないかのぉ?」

「わかりました。それなら大丈夫お話できます。」

そう言うとフォーはおじいさんに話し始めました。

「長い年月をかけ地球がゆれたので、地面はとても弱くなり、だんだんひびができ始めました。そして、そのひびはゆれに合わせあちこちに広がり、とうとう大きな地割れがおき、深いみぞができたのです。
このみぞを私たちは谷とよぶようになりました。
動物たちが深い谷に落ちたら大変です。動物たちは安全な場所を探し、地割れが起きにくい高い場所を選んで住むようになりました。
そしてまた長い長い年月がたちました。
深い谷にはいつしか海の水が入り込み、1つしかなかった地球の地面は2つに分かれたのです。
そうやって次々と地面がわれ今の世界は大きく7つに分けられました。
空を飛ぶことができる私たちは、この7つの地面を大陸とよび、伝説の森を探す目印にしたのです。
でも、地球がゆれるたびにこの7つの大陸はおたがいはなれていきました。
ぼくたちが地球を1周したのもわからないくらい、いつも姿形が変わってしまうのです。
ですので、赤い鳥の言う伝説の森を探すのは本当に大変なことでした。
幸いにも地面のゆれはだんだん小さくなっていきました。
最近では、ほとんど大陸が動かなくなったので、私たちは以前おとずれた場所がやっとわかるようになりました。」

「地球が動くようになって、1つだった地面が7つの大陸になったのじゃな。そして、その大陸は海でへだてられていった。そんなことが起きていたのか…。」

おじいさんは地球の様子をはじめて知ることができました。

「フォー。動物たちはどうなったのじゃ?高い所に住むようになって安心してくらせるようになったのかい?」

「それが……。地球に大陸ができた他にも地球の変化はあるのです。
その変化は動物たちにとって大変なことでした。」

「いったいその変化はなんなんじゃい?」

「実は、動物が選んだ高い所から赤い実がふりだしたのです。
その赤い実はドーン,ドーンとだれもがびっくりするくらい大きな音を鳴りひびかせ、空からふってきたのです。
宇宙の実は地球全体にふったそうですが、この赤い実は限られた場所だけにふりました。私たち鳥は逃げながら赤い実がどこからふってくるのかを知ることができました。」

「宇宙の実ではなく赤い実?一体それはどこからふってきたんじゃい?」

「はい。赤い実は高い所の頂上からふっていたのです。
赤い実がふらなくなってから頂上を見に行くと、そこに大きな大きな穴がいていました。そればかりじゃないんですよ、おじいさん。
その穴からは、黒いけむりやドロドロした赤いドロも大小様々な赤い実と一緒にふき出ていました。」

「赤い実の他に黒いけむりや赤いドロとは…。その赤い実に動物が当たるとどうなるんじゃ?宇宙の実に当たった木は枝がおれ枯れてしまったのじゃが赤い実も同じかのぉ?」

「いいえ、もっと大変でした。赤い実に当たると、みな赤い実のように真っ赤になってしまいます。真っ赤になった動物はみな「アツ、アツ、アツ」と大声をあげてにげ回りました。でも、その赤い実からにげることはできません。そしてまもなくみな真っ黒になって動かなくなってしまうのです。
私たちも動物たちも赤い実にから必死になって逃げました。
でも、赤い実は雨のようにふるのです。逃げ遅れた動物たちはたくさんいました。私たちは、この赤い実をいつしか地球の実、赤いドロを地球のドロと呼ぶようになりました。回数は減りましたが、今も地球のあちこちで地球の実はふっています。
私たちは安全だと言われる伝説の森をはやく探そうと一生懸命になりました。しかし、やっと7つの大陸が目印になったのに、地球の実がふったせいで
また一度来たことがあるかどうかわからなくなってしまいました。
伝説の森なんてないのではないかと、何度もあきらめたくなりましたが、
そんな私たちを
“伝説の森は地球の実がふらない平和な森なんだ。絶対あるからがんばって探そう。“
赤い鳥にはげまされ、私たちは探し続けたのです。そしてやっと見つけることができました。」

おじいさんは、地球が大きく変化したことを知りました。
フォーは話を続けました。

「そうそう、まだ地球の実がふって間もない頃に、地球の実や地球のドロは一体何なのかを動物たちと考えたことがありました。
その時、動物の中で一番知恵があり信頼されていたマントヒヒのおじいさんがこんなことを言ったのです。

“地球はずっとゆれているので気持ちが悪くなったんだろう。
地球の実や地球のドロは、きっと地球の中にある地球のいらないものだ。
私たち動物が気持ちが悪くなって、体に悪いものを外にはき出すのと同じように、地球も悪いものをはきだしているにちがいない。あの地球の実がふき出る穴は地球の口なのだろう。“

それを聞いた動物たちはみななっとくしました。地球の気持ちがとてもよくわかったからです。
後から動物たちは、時間がたつと地球の実やドロが黒くなり、それをさわっても大丈夫なことを学びました。そして、一度地球の口が開くと、何度か地球の実がそこからふることもわかりました。
ですので、地球の口の近くに動物たちは住まないようにしました。そうすれば少しは安全です。
こうして動物は長い長い年月をかけて自分たちが安心して寝れる場所を見つけていったのです。私が見て知っていることはこれで全部です。」

フォーが言いました。

「でもね、おじいさん。地球のゆれや地球の実をぼくは嫌いじゃないです。
地球も生きているんだな~と感じることができるし、地球がいらないものをはき出すことができて、きれいになってる感じさえもします。
動物たちも自分たちが安心して寝れる場所を見つけることもできましたし。
食べ物や休む場所は、宇宙の実がふっていた時代に比べれば、まだましかもしれません。だってその時はほとんどの動物がこの地球からいなくなってしまったのだから。今の世界はとてもありがたいことにみな生きていますから。」

「フォーは、とても心が優しい鳥なんじゃな。」

フォーの話を聞いたおじいさんは今までの自分の考えが間違っていたことに気が付きました。
杉の木にお礼を言われ、いつのまにかおじいさんは自分がこの地球に影響を与えてていると思っていたのです。
しかし、フォーの言う通り地球は生きているのです。
おじいさんが動いたことと関係なく、きっと自然な流れで地球は変化をしたのでしょう。
おじいさんはフォーの話を聞いて心がとても軽くなったようでした。

そんな時でした。おじいさんにほめられ少し照れていたフォーが、
ハッと何かに気づいたのか、いきなり高い声でおじいさんに言いました。

「おじいさん!赤い鳥とお話したらいかがですか?
おじいさんと同じ時代を生きてきた鳥なんて、赤い鳥くらいです。
きっとすてきな話が聞けると思いますよ。
そして、直接、赤い鳥に、動いている大きな木に近づいてはいけない理由を
聞けばいいじゃないですか!ぼく、赤い鳥を呼んできます。」

そう言うとバサバサと落ち着きなくてっぺんの枝の方へ飛んで行ってしまいました。

「おおい~フォー~。赤い鳥もいるのかね~?」

すでにおじいさんの声が届かないくらいフォーは空高く飛んでいました。

私と同じくらい生きている鳥がいる?おじいさんは耳を疑いました。
動物や鳥の命は木よりずっと短いのです。

「ずっと生きている鳥?不死鳥なのか?」

おじいさんがそうつぶやいた時でした。

フワフワと優しい風がおじいさんの幹をなでました。
おじいさんが頭の方を見ると、赤い鳥がゆっくりおじいさんのもとへおりてきます。優しい風を作る赤い鳥の羽は、とてもとても大きな見事な美しい羽でした。ゆうがにまいおりてきた赤い鳥は、おじいさんの枝に止まり、

「こんにちは、おじいさん。私は不死鳥の赤い鳥、ラムーです。」

と、長いまつげのある大きな丸い黒い瞳をパチパチさせながらあいさつをしました。

おじいさんは、今までラムーのような鳥を見たことがありません。
頭のてっぺんは黄色い毛が逆立ちまるで王冠のように見えます。
長いまつ下はきれいにカールしていて、きちんとそろってみな上をむいています。整った薄黄色のくちばしに小さい顔。赤い体はタカぐらいの大きさで、尾羽がとても長くクジャクのような模様をしています。
全身が太陽の光を浴びると光輝き遠くからでもよくわかるとても美しい鳥でした。

「はじめましてラムー。あなたは私と同じくらい生きているって本当かい?」

「そうです。地球が生まれ、おじいさんが生まれた後しばらくたってから私は生まれました。私はおじいさんにとてもお世話になったのです。」

ラム―は久しぶりに会う家族に話しているようにとてもうれしそうでした。

「私はラムーに以前会っているのかい?私は全く覚えがないんじゃが……。こんな美しい鳥を忘れる何て本当に申し訳ない。」

ラムーはクスクスっと笑って答えました。

「ごめんなさい、おじいさん。私はおじいさんとお話するのは今日が初めてです。実は私、おじいさんの木の上のてっぺんで生まれ育ったんです。
私の母親はだれかわかりません、私だけおじいさんのふさふさの葉の中にいました。私はおじいさんに守られながら大きくなって空を飛べるようになったのです。だからおじいさんは私の家族だと思っています。」

「これはこれは、私の頭の上で生まれ育ったとは……。それはおどろいた。
まったく気がつかなかった。私に家族がいたなんて。」

おじいさんは、何億年も前の話を聞き、自分を家族だと言ってくれる赤い鳥に会えて本当にびっくりしましたが、とてもとてもうれしくなりました。

「あの頃の私はおじいさんがしゃべれるなんて思いもしませんでした。
ですので、いつも私はおじいさんの頭の上でひとり言を言っていました。
おじいさんには聞こえない小さい声で。」

ラムーはまたクスっと笑いました。とてもよく笑う鳥のようです。

「でもラムー。どうして七色の虹の鳥の群れのリーダーになったんじゃ?
いつ私からはなれたんじゃ?」

おじいさんに聞かれラムーは、小さかったころの話をしました。

「空を飛べるようになった私は、もしかしたら仲間に会えるかもしれないと思うようになりました。そして、仲間を探すためちょっと遠くに出かけては、おじいさんの木にもどるようにしていました。でも、幸せの丘の周りをいくら飛んでもテントウムシ1匹出会うことはありませんでした。
私はもっともっと遠くへ行きたくなったんです。
この空の果てにきっと私を待っている仲間がいるんじゃないか。
そう思い私は旅立ったのです。私は何年も何年も仲間を探し地球を飛びまわりました。いくら飛んでも、遠くへいっても仲間の鳥や動物はまったくいませんでした。
そんなある日、宇宙の実がふりだしたのです。私は空を飛ぶことができませんでした。宇宙の実から守ってくれる大きな岩の間のすき間にじっとしていなければならなくなりました。
気の遠くなるような長い間、大好きな空を飛ぶことができずひとりぼっちでした。私はだんだん心細くなりました。とてもさびしくなりおじいさんの木にもどりたくなりました。
このままここにいても仕方ない。そう思った私は、「いくら時間がかかってもいいから、おじいさんの木まで歩いてもどろう。」そう決心して歩きはじめたのです。
歩きはじめてからどれだけの月日がたったのかはわかりませんが、
いつのまにか私のまわりに、動く木やしゃべる木がふえはじめていました。
最初は、木がしゃべっていてびっくりしましたが、でもそれで気がついたのです。
もしかしたらおじいさんもしゃべれるようになっているかも、と。
そう思った私は歩いてるのがいやになりました。
少しでも早くおじいさんと話がしたかったのです。だって私の家族ですから。
その頃、宇宙の実は前ほどたくさんふらなくなっていました。
私は久しぶりに空を飛ぶことを決めました。今ならきっと宇宙の実をよけて飛ぶこができると思えたからです。
私が思った通り、上手に宇宙の実をよけて飛ぶことができました。
飛ぶことができれば幸せの丘へもどるまでそう時間はかかりませんでした。
やっと幸せの丘へつくと、おじいさんは元気な木や杉の木と話をしていました。
おじいさんがしゃべっている姿を見てとてもうれしくなりました。やっぱりおじいさんはしゃべれたのです。
すぐおじいさんにごあいさつしようかと思ったのですが、
おじいさんは元気な木が動けずこまっていて取り込んでいたので、しばらく木の上から様子を見守っていました。」

「そうじゃったのかい。元気な木がいた時に帰ってきていたのじゃな。
では、私が動くことを決めた理由も聞いていたのじゃな?」

「はい。ですからおじいさんに声をかけるのをやめました。
私のように仲間に会うために動きはじめたおじいさんを応援することに決めたから。」

ラムーが言いました。

「そうだったのかい。せっかく会いに来てくれたのに……。ありがとう、ラムー。でも、なぜ動く木には近づいてはいけないと七色の虹の鳥たちに言ったんじゃい?」

おじいさんはやっと聞くことができました。

「それは、おじいさんのじゃまをしたくなかったんです。伝説の森は世界中で有名です。本当にここだけは、宇宙の実も地球の実もドロもふりません。
いつでも木々が青々としげり、草花であふれています。
この美しい伝説の森を世界中の鳥や動物たちが探しています。
私は伝説の森をさがそうといいながら、実は世界中の鳥を集め、伝説の森へ近づけないよう守ってきたのです。でも、フォーは優秀でした。とうとうおじいさんを見つけてしまった。」

そう言って困ったようなうれしいような顔をしました。

「鳥や動物が伝説の森へ来てもよかったんじゃないかい?」

おじいさんはラムーに聞きました。

「おじいさんが木の国の仲間に会うまではそっとしておいてあげたかったのです。何億年もの間動かなかったおじいさんが動きはじめたのです。
気のすむまで動かせてあげたかったのです。だって、おじいさんならきっと鳥や動物たちが伝説の森へやって来たら、動くのをやめてしまうかもしれません。現にこの七色の虹の鳥の群れが休んでいる間は1歩も動いてませんし……。」

「その通りじゃな。ラムーはよく私のことがわかっているようじゃ。」

おじいさんは休んでいる鳥たちが起きないよう小さな声でいいました。

「ラムーのおかげで、長い間、心置きなく思いっきり動くことができた。
ありがとう、ラムー。」

その言葉を聞いたラムーの顔が今までの和やかな顔ではなく少し真剣になりました。

「おじいさん、自由に動いてみてどうですか?ご苦労はありませんか?」

突然質問されたおじいさんは、ちょっととまどいながらも正直に答えました。

「そうじゃな、動くのは大変なことじゃな。気をつかうし体力も使う。私もちょっとやせたしな。」

おじいさんの答えを聞いたラムーは、もう一つ質問をしました。

「では動くことにもう満足しましたか?」

おじいさんは、

「いや、木の国のみんなにまだ会ってないからのぅ、やめるにやめられん。はははあ」

と笑って答えました。おじいさんの答えを聞いたラムーは言いました。

「私はおじいさんと同じように宇宙の実がふる前から生きている世界でさいしょの鳥です。私は地球を何周も飛びまわり、歩いて旅をしたこともあり地球のことを誰よりも知っています。
おじいさんが動き始めた時、まさか今のおじいさんの姿のままで動き始めるとは思いもしませんでした。でも、杉の木がそばにいましたので、私は黙って見守っていました。しかし、今のおじいさんの様子を見てもう黙っていられなくなりました。私はおじいさんがもっと簡単に動く方法を知っています!」

ラムーはおじいさんの様子を気にもせず一気に話しました。

「私がもっと簡単に動く方法だって?ラムーは知っているのかい?」

おじいさんはラムーにやっとたずねることができました。

「おじいさん。最初に動いた木のことを覚えていますか?最初に動いた木は、宇宙の実を食べて歩けるようになったんです。宇宙の実を食べれば、長い根は短くなり歩きやすくなるからです。おじいさんは宇宙の実を食べてないので長い根はそのままです。それじゃ歩くことはとてもむずかしいでしょう。」

本当にその通りです。
言われてみれば今まで会った若い木も元気な木も杉の木もみな根は短く歩きやすそうでした。きっとみんな宇宙の実を食べて根を短くすることは当たり前で、わざわざおじいさんに教える必要はないと思ったのでしょう。

「そうじゃったのか。私が知らないとみな思わなかったんじゃな。
確かに宇宙の実はいろいろな効果があることを私は以前聞いていた。
すっかりそれを忘れていたよ。」

とおじいさんが言いました。ラムーはさらに言いました。

「おじいさんのおっしゃる通り、宇宙の実はいろいろな効果があります。例えば元気の木のように元気になる宇宙の実とか。」

「そうじゃった、そうじゃった。元気になる宇宙の実もあったんじゃ!」

「今ではほとんどの宇宙の実の効果がわかっています。
たとえば青い宇宙の実を食べると体が小さくなって、赤い宇宙の実を食べると体が本来の姿に戻るんです。うまく利用すればもっとおじいさんは動きやすくなるんですよ。」

「つまり私の大きさを変えることができるということかな?」

「そうです。おじいさんが小さくなって歩きやすいように根を短くすれば、
おじいさんはもっともっと動きやすくなります。世界中を見てまわることも夢ではありません。」

「それは素晴らし!根が小さくなれば地球がゆれることもなくなるじゃないか。動物たちも安心して寝られるし、木たちも目を覚ますことができるじゃないか。」

「そうです、その通りです……。おじいさん、ちょっと待っていてくださいね。」

そう言うとラムーは空を見上げるとまたたく間に、どこかに飛んでいってしまいました。

おじいさんは、ラムーが言っていた言葉を思い出していました。
もし、自分が歩きやすい体になって世界中を旅することができたらどんなに素敵でしょう。おじいさんはワクワクがとまりませんでした。

すると、いつのまにか宇宙の実をいくつか持ってラムーがもどってきました。

「まずは根を小さくする実から食べてみてください。その後はこの青い実です。はじめはちょうどいい大きさになるまで様子をみながら食べていきましょう。」

そう言っておじいさんにわたしました。

「ありがとう。わざわざ取りにいってくれたんじゃな。」

そう言っておじいさんは宇宙の実をひとつ受け取りました。
そしてラムーの言うようにひとつ食べようとしました。が、あることに気がつきました。

「おっとラムー。今はダメじゃ。私の枝には、羽を休めて寝ている可愛い小鳥たちがいるじゃないか。小鳥たちが目を覚ましたら木の国の木々に移ってもらうようフォーにたのもう。それからじゃ、小さくなるのは。」

ラムーもおじいさんの言葉を聞いて思い出したようでした。

「そうでしたね。では。この実はとりあえずとっておきます。」

「ラムー、ありがとう。本当にかんしゃしているよ。そして一つお願いがあるんじゃが、聞いてくれるかのぉ?」

「私にできることならなんでも言ってください。やっとこうしてお話できるようになったのですから。」

「ありがとう。じゃあえんりょなく言わせてもらうよ。
私は何もしらない世界でさいしょの木じゃ、私といっしょに旅をして世界を案内してくれないじゃろうか?世界で何でも知っている鳥が旅のパートナーならどんなに心強いじゃろう。」

おじいさんはそう言ってラムーにたのみました。

「もちろん喜んで!!私はずっとおじいさんと話がしたかったんです。
これからはずっと一緒にいましょう。私がおじいさんをお助けします。」

「ありがとうラムー。すごくうれしいよ。よろしくたのみます。」

そう言って2人は笑いあいました。
いよいよ世界でさいしょの木と世界でさいしょの鳥の旅がはじまります。
まずは、長い間待ってくれている木の国のみんなに会いに行くことでしょう。

その後はおじいさんが見たことのない世界へ出発です。

どんな旅がおじいさんを待っているのでしょうか?

つづく

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