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ハローワーク沼<前編>
今から10年前、私は15年務めた会社を自己都合で退社し、地方の実家へ帰った。
1年前に父親が他界し、実家で独り暮らしをしている母親も、その後病気を患い、私は30代半ばでようやく実家に帰る決心をしたのだった。
「母の面倒をみる為」とは一見「大義名分的な」意味合いに聞こえるかも知れないが、実際はそうではない。
10年前の私はとにかく「疲弊」しており、仕事をする気力も失っていた。
色々な出来事が交錯して、結果実家に帰った。
人生とはうまいこと出来ているものだ。
その10年前に、地方の実家に戻った私がどのようなステップで再就職をしていったのか?
今回は「ハローワーク編」としてここに記したいと思う。
はじめてのハローワーク
ハローワークとは「公共職業安定所」という名称のようで、文字通り「国民に安定した職業を紹介する場」というコンセプトの基に運営しているようだ。(コンセプト?)
私はハローワークと聞くと何処か「ネガティブ」な印象があり、まるで「病院」にでも行くかのような、そんな気持ちで足を運んでいた。
そんな偏見とも言える私の気持ちと、実際の「現場」は、やはり同一していた。
それもそうだろう。
この場所に居る「職員以外」の全ての人は、職にありつこうと必死なのだから。
中年男性 子連れの女性 外国人 様々な人達がソコに居た。
ハローワークの求人検索
ここでハローワークなどを利用したことがない人向けに、簡単にハローワークの求人探しの利用方法を教えよう。
■主な流れ(2011年当時)
①.ハローワーク内のPCドライブを利用して「求人票」を検索する。
②.受けたいと思った「求人票」を印刷する。
③.印刷した「求人票」を受付に渡す。
④.受付の職員が「企業」に電話をしてアポを取る。
⑤.その後、面接。
以上である。
ちなみに④.にて「企業」に電話をする前に、今までの「職務経歴」や「資格」「退職理由」などを色々と聞かれる。
私の場合は「退職理由」を述べた際にこのように言われた。
職員
「なんで我慢しなかったの?」(タメ口)
「もうあなたの年齢では再就職は難しいよ」と言われているかのようだった。(えー!)
ハローワーク沼に浸かる
私はハローワークのPCで、目ぼしい「企業」の「求人票」を印刷して、それを「受付」に渡さず、家に持ち帰っていた。
そしてその「求人票」を眺めながら「酒」を飲む、ということを「数ヶ月」続けていた。
この行為を「人間心理的」に私はこう分析している。
・求人票持ち帰り→面接から逃避
・ハローワーク→職場と勘違い
・求人票の検索→仕事と勘違い
まるで仕事を終えた「サラリーマン」のように、家に帰っては「酒」を飲んでいた。
あぁ今日もお疲れ様的な感じだ。
偽りの達成感。
どこか「職探し」を仕事の業務のように捉えて、職探しをしただけで「満足」していた。
「何もしていない訳ではない」
私は「酒気を帯びながら」そう言い訳をしていたのだった。
それから数ヵ月の間、家に溜まっていく「求人票」と「酒」が、私の心を蝕んでいくのであった。
ハロワーク沼<後編>へ続く
■ハローワーク<後編予告>人間のクズに成り下がっていく自分を見かねた「彼女」(現妻)がある誘いを持ち掛ける。それがのちに私を改心させるキッカケとなるのだった。
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