派遣社員沼<前編>
私は10年前、15年務めていた会社を退職し、地方の実家へ帰った。
数ヵ月間「ハローワーク」に通いながら、酒浸りな毎日を送っていたが、ふとした事がキッカケになり「プライド」を捨てて「派遣社員」として働くことを決意をした。
(詳しくはハローワーク沼<後編>を参照)
今回は「派遣社員」として働いた半年間の壮絶な、そしてリアルなエピソードをここに記したいと思う。
派遣の動機
私は仕事を辞めて約半年間、ほぼ毎日「酒」を飲んで過ごしていた。
その約半年間の間に「心と身体に」多くの「脂肪」を蓄えてしまっていた。
・心→実家暮らしという甘さ
・身体→体重80kg(過去最重量更新)
この現状に真剣に向き合うのに多くの時間を費やしてしまった。
正に「不毛な」時間だった。
私はこの多くの「脂肪達」を削ぎ落すにはどうすればいいかと考えた結果、人生の再スタートを「派遣社員」から始めようと決意した。
それも「派遣会社」が最も「キツイ」とされる「企業」へ、あえて行こうと思った。
そこには様々な考えがあり、自分の身体を「酷使」することも必要と感じていた。
・某大手自動車メーカーの下請け工場
これが私の初めての「派遣先」だった。
気になる時給
「派遣先」での労働時給は1H=1100円(地方)
つまり私の労働能力は1秒=約0.3円で、1分では約18円なのである。
これを月計算すると
1H=1100円×8H=8800円(残業なしと考える)
1日=8800円×20日(土日休みと考える)=17万6000円となる。
勿論、「派遣会社」から「社会保険等」が差し引きされる為、手取りは15万ぐらいになるのだろう。(と、この時はそう思った)
かなり低い手取りになるが、これがリアルなのだ。
気になる仕事内容
「派遣先」は某大手自動車メーカーの下請け工場だった。
「下請け」と聞くと、あまりこのような業界を知らない人は「町工場」的な小規模な会社を連想すると思われるが、私の行く「派遣先」はそうではなかった。
敷地内は「東京ドーム並み」にあり、従業員は「派遣」含めて数百人はいたと思われる。
「大手下請け」といった感じだろうか。
そして気になる仕事内容だが、「自動車の足回り部品の溶接をする」仕事だった。
派遣先の社員とペアを組み「1つのパーツ」を溶接する仕事。
溶接する機械に部品をセットして「スイッチ」を押せば溶接完了。
仕上げは「溶接技術」のある派遣先の社員がやってくれる。
簡単で誰でもできる仕事だ。(と、この時はそう思った)
派遣仲間とのギャップ
この「派遣先」には、私ともう1名行くことが決まった。
私と同い年の独身男性だった。
その同い年の「派遣仲間」に、私はこのように話し掛けられた。
「お互い就職できてよかったね!」(満面の笑み)
私はこの「派遣」という仕事に長く就くつもりはない。
「派遣」として働きながら「就職活動」をする考えであった。(のちにそれは甘い考えだと痛感した)
つまり私は「短期アルバイト的な」感じでいるのだ。
なのでこれが「終着点」とは思っていない。
もし仮に「彼が」これを「終着点」と捉え、私に接近しているのであれば、私は彼と距離を置きたい。
そう思った。
「よし、少し距離を置こう」
その派遣仲間は、その後2日で「派遣先」を飛んだ。
派遣社員沼<中編>へ続く
■派遣社員沼<中編>予告
派遣社員として肉体を酷使し、働く私を揶揄する知人達。
それはのちに人付き合いの「断捨離」をするキッカケになるのだった。
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