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クリーニング沼<前編>

私が学生の頃、フジテレビの月9で「ひとつ屋根の下」という家族ドラマが話題となっていた。
主人公が「陸上選手」から「クリーニング店」を経営する物語だったが、まさかこの私がその業界に足を踏み入れるとは思いもしなかった。

派遣社員として半年間働き、自ら契約を満了させ派遣会社を退職した私は再び「酒浸り」の日々を送っていた。

前職での「肉体労働」が堪えたのか、私はバリバリの「製造業」は自分のは向いていないことを思い知った。

母親
「はやく就職してちょうだい!」

そう母からのプレッシャーを受ける日々の中、インターネット求人をみると、気になる企業があった。

それは「クリーニング会社」だった。

それも全国で売り上げ第2位のクリーニングチェーン会社だった。(2位です)


「アパレルでの経験を活かせるかも。」

そう軽い希望を持ち、私はこの求人に「エントリー」した。


これが「クリーニング沼」の始まりであった。


いざ面接


電話連絡で指示された「店舗の事務所」に私は足を運んだ。

そこで待っていたのは「筆記試験」だった。

事前に何も聞いていなかった為、脇の下から嫌な汗が流れた。

この「筆記試験」の内容は「IQテスト」のような物だった。


「結果を聞かされるのだろうか・・・?」

そうドキドキしながら筆記試験を終えた後、今度は「店舗マネージャー」と面接。

そして今度は「エリア部長」と面接をした。

両者とも「女性」であり、社員の8割は「女性」だと聞かされた。

ここでの内容は特に覚えていない。

特に大した内容では無かったのだと思う。

エリア部長
「では後日、二次面接がありますので宜しくお願いします」

40代ぐらいの「エリア部長」が私のそう言った。

筆記試験の結果が気になった。


二次面接


筆記試験と面接がクリアできたらしく「二次面接」の通知が届いた。

場所は「さいたま」の某市の店舗事務所だった。

面接担当はこの会社の「社長」だった。

この時の面接内容はたった1つだった。

それは

社長
「全国に赴任してもらう可能性がありますが大丈夫ですか?」

これだけだった。

私はこれを何も考えずに「了承」した。

面接が終わった数日後、「採用通知」が届いた。


いざ出勤


指定された日時に「某店舗工場」へ出勤した。

この場所が私の職場になるらしい。

私の仕事内容は「生産管理」

面接では「お客様からお預かりしている洋服を管理するお仕事」としか聞かされていなかった。

暫くは「店舗の工場」の現場で働くことになる為、まずは現場で働く「社員達」と挨拶を交わした。


「本日から宜しくお願いします!」

社員はパート合わせて10名ほど居た。

30代~60代まで幅広い年齢層だった。


この時、私の永年の経験という「嗅覚」が疼き始めた。

この「気の毒そうなモノを見るような眼」を今でも覚えている。

(また新しい駒がやってきた・・・ざわざわ・・・)

閉鎖的な「村」に迷い込んだ「都会人」を観るような眼で私を「歓迎」したのだった。


クリーニング沼<中編>へ続く

■次回予告:お客からのクレームが多発する日々、古参の職人とお客との板挟みに苦しむ毎日。これはまさしくクリーニング沼だ!

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