突発的偶発性都市型不眠症候群

素晴らしい朝。素晴らしき今日。素晴らしき明日。

こんな希望に満ちた言葉たちが嫌いだ。

そんな素晴らしき今日に希望や勇気を口にする君が嫌いだ。

鮮やかな景色を背景に淡い色をまとっている君が哀しい。世界はこんなにも不条理で不平等なのに、止まった時間から切り取った様な表情は記憶に焼き付いて離れない。

規則や法則性が嫌いだ。

タイムサイクルやルーティンに従う奴は人間辞めた方がいい。24時間を寿命を迎えるまで不規則に使え。システムを狂わすには綻びを産む必要がある。

世話焼きの優しい人たちが嫌いだ。

人の領域に入ってくるな。人間のくせになんでザマだ。お前も何回も死んで何回も生きているくせに。幸せの法則と謳うペラペラな2次元的精神世界で騙されながら生きろ。

ポジティブとかいう概念を謳う奴が嫌いだ。

感情の移ろいは自分を体現したり表現するのに必要なファクターだが、ネガティブに生きたい俺は元から助けなんて求めていない。そもそも助けたいんじゃなくて本当に救われたいのは自分なんじゃないか。さぁ手持ちのポジティブを振り絞って救われてろよ。俺とネガティブはそれを俯瞰し観察する。

行動的衝動が嫌いだし邪魔だ。

誰が何処で何をどうして居ようが自分の世界の領域は変わらない。自分の世界は自分1人で始まり自分1人で終わる。1人ひとりが世界そのものだから刹那的に、世界は死んで生まれてを繰り返している。お前の見てる景色は誰かが見たかった景色だ。映画館にいる様な感覚で立て籠った部屋でゲームを愉しんでくれ。

ありとあらゆる言語が嫌いだ。

便利なコミュニケーションツールは本質を失う様にプログラムされている。根源から遠ざかる反応を記録する実験は愉しいし、根源に近付いていると勘違いさせ誘導する為だ。さあ言葉を深めよう、より深く潜ろう。いつまでも人間でありたい意識たち。

過去の話をするなという意見が嫌いだ。

過去は未来の逆再生。生まれながらに未来人という事を識らないだけ。実在したかも分からない限りなく不確かな過去は植え付けられた映像に過ぎないし、それに縋るから人間は美しく愚かなんじゃないか。初めから全部識ってるくせに。あの時俺とお前が全部壊したんじゃないか。

眠れない夜が嫌いだ。

眠れない夜は俺だけの夜でいい。世界的不眠症候群が夜を支配して誰しも不規則的に生きる。人は眠らなくなり環境と生き物が変化する。夜に蒼い花が咲き乱れ毒を散布するだろう。現世に具現化しようと必死な貴方も所詮は誰かの夢を観ているに過ぎないのだ。全ては一夜の誰彼の夢だ。

万物は俺や君が存在する故に万物となり神は俺や君が存在する故に神となる。理由などなく原因も初めから無い。潜在的であり顕在的で、表と裏が溶けた球体のコインの上で絶命しながら舞踏を踊る。最も人間的で非人道的な景色が今は1番美しい。

不眠の惑星が観る夢は何処かの宇宙の観たかった夢。それすらも俺や貴方が観た景色にシンクロして輪廻再生される虚構世界の一部。造られた偽の共通意識に溺れて溶けてゆく。既に世界の一部で俺の一部だ。円の中の点の中の円の中の点に圧縮された時間を解き放とう。一秒は永遠になり永遠が一秒になる時、次のステージへ扉は開く。仕組まれた眠れない街を舞台に喜歌悲劇を繰り返そう。その不眠に毒を持ってプログラムを破壊する寸法だ。滅びの綻びは目前なのだから。

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