この漫画のおかげで、わたしは「一生ものの趣味」を手に入れた
「落語って、聴いたことある噺でも 面白いの?」
「同じ演目なら、誰がやっても 同じでしょ」
聞かれたことがあります。
もちろん「何度聴いても楽しめるし、演者が変われば 全然別物だよ~」と答えます。
でも、わたしも数年前まで「誰がやっても同じ」だと思っていました。
そのせいで、寄席通いをたった二回でやめてしまった経験も。
「あれ、聴いたことのある噺ばっかりだぞ…」と思って飽きちゃったんですよね…。
(今なら、寄席行って そんなこと言うのは 愚かしいと わかるのですが(^_^;))
落語のストーリーばかり追って、それを口演する噺家にまで 目がいってなかったわけです。もったいない。
そんな わたしも、この漫画に出会って変わります。
雲田はるこ著「昭和元禄落語心中」です。
アニメ化ドラマ化したのでご存知の方も多いでしょう。
ざっくり説明すると、昭和最後の大名人 八雲の生き様を描いた漫画です。 すごく面白くて大好きです。
この作品を読むと、同じ演目でも それぞれの「型」というのが あるのがわかります。言い換えれば「アレンジ」でしょうか。
そして「型」にその人の纏う空気感やなんかが加わって、グツグツ煮込むと…「その人の落語」になる。これは「アイデンティティー」かな。
作中で噺家は「自分の落語とは…」と模索したり、「これが俺の落語だ!」と開花したり。
ときには 故人を高座に蘇らせたり(!)します。
この「誰々の落語」という概念、当時の自分には無いものだったので、
「この 感覚が分かるようになったら もっと楽しめるだろうな」と また寄席に行くようになりました。
最初は「着物のおじさん 見分けがつかない(¨;)」という感じでしたが、
その日の演目演者や感想などを書き留めたりして。
そのうち、「あ、こういうことかな」と なんとなく 分かるようになりました。
確かに、同じ演目でも 人によって 全然違いました。
そして その違いが分かるようになればこっちのもの!
落語の楽しみかたが すっごく広がりました。
違う噺家の 同じ演目、
同じ噺家の 違う演目、
別の日の 同じ噺家の 同じ演目……組み合わせは無限ですd(≧∀≦)b
もう 落語に飽きることは無いでしょう。
一生楽しめると言っても過言ではありません。
こうして わたしは、落語という「一生もの」の趣味を手に入れました。
人生を豊かにしてくれたという意味で、これがわたしの「人生を変えた一冊」
「昭和元禄落語心中」でした
今宵は これにて。失礼します。