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「課題を磨く」というリーン手法の定石をやっと自分ごととして捉えられた話

ナユです。

「訴求すること」というテーマを深ぼっていくことで「課題の深堀り」という行為の大切さをより痛感できた話です。

「手間がかからなくて済む」という訴求がしたい

色々端折るが、サービスを作る上で「私たちのサービスはXXを代替わりできるので、あなたに手間をかけさせません。最高でしょ?」という訴求をしたいことがあった。

なぜか。数多のインタビューを経て、その領域にある大きなハードルがあって動けないという課題が存在することがわかり、そこを外圧をかけてでも動かすことに経済合理性があることを感じていたからだ。

私たちのサービスが力を貸すことであなた方の手間を省け、よりよくなれるのだ!ほら!見てこの試算表!超妥当!買って!みたいな、なんかそういう感じで売れると思ってた。

「たった60分でできる」じゃだめなの?

「うちらのサービスつかって効率化することで爆速で仕事終わったら嬉しくない?」という、シンプルな訴求。数値で訴求するという小賢しいTipsが頭の中にあった私は、付け焼き刃のソレも加味して「あなたはたった60分でXXできる!」的なコピーをもとに壁打ちを行った。

が、反応がすごく悪い。なぜ?そこに工数がかさんでいるという事実は数多の課題インタビューで明確になっとんねん。そこが、たった60分は激熱やんけ。。。

そんな中、インタビュイーの一人の言葉が引っかかった。

「なんか、、、もっと手間がかからない感があったらな、、、」

ユーザーは答えを持っていない。でも、この声は大きなヒントに感じた。ここを超えたらつかってくれる気がする。このヒントをもとに再度思考をおこなった。

私はどうやって自炊ハードルを超えたのか?

正直、事業づくりにダイブしてしまった結果、もうそのドメインにかなり詳しくなってしまった。バイアスを取り除くために、自分がペインの当事者である領域に置き換えて考えてみた。もうここから自分の事業の話はしない。

最近、自炊をしている。えらいので。

今までなぜ自炊ができなかったか?

・レシピを調べて、食材をメモして、ピックして、買いに行きたくない
・半分あまったネギを管理する心のコストが高い
・ちまちま計量したり時間計ったりしたくない
・自炊衝動のために大さじ一杯しか使わない謎の調味料を買いたくない

何がハードルをこえさせたか?

・食材が1個か2個であること
・手に入る量の全てを使い切れ、管理する必要がないこと
・バイブスでめんつゆを入れれば完成すること

自炊への期待

・ある程度美味しい。これなら続けてもいいなと思える。
・いらないものを省き、いるものを増やせること
・そこそこ安いこと
・再現がかんたんであること

実は期待してなかったこと

・n分でできる!ということ

構造がほぼ一緒だとおもった。要は「もうとにかくなんか、色々したくない」「測りたくない」「揃えたくない」だった。手間は書けたくないが、要因は時間ではなかった。という共通点にヒントを得た。

思ったより課題は明確にする必要がある

じゃあ、実際どう訴求すればよかったのか?を考える。

私としては、調味料を計測する必要が一切ないことは必須。計量スプーンすらも洗いたくない。スプーンですくった調味料を混ぜてタレAをつくるためのお皿を用意する心理的ハードルが異常なまでに高い。あと水も測りたくない。くっそわがままでうける……

ここまで書いて「そういえば、なんか付属する諸々の作業でキッチンが散らかるのとか考えたら嫌だなぁ」という真のハードルに気づく。都会のキッチンは狭い。私はそこを課題に感じていたのだと納得する。

そういえば、上京してキッチンの作業スペースが狭くなって自炊やめたのだった。地元では新卒のくせに新築1LDK駐車場付き車持ちの暮らしをしていたので、作業スペースは膨大にあったなぁ、などと思い返した。広いキッチンの家に住む人はこんな課題ない可能性すらある。

そんな気づきを得て、「え、そこまでニッチな深堀りしないといけないのか」ということに気づく。今までのインタビューはごっこだった。甘かった。

「タレAを作りたくない」とかいう超ピンポイントな課題をめんつゆが解決してくれた

今まで話題にしてきた料理は「10分簡単時短レシピ」でもあれば「胸肉をめんつゆで茹でるだけ」でもある。そしてそれは「手間がかからない料理」である。

一方、私の中にある課題は「食材をスイッチしたくない」「タレA作りたくない」「なぜならキッチン散らかす未来が見えて辛いから」といったもの。なお、セグメントとしては「ダイエット中のメンズ」である。

そんな私を

胸肉一発勝負 & バイブスめんつゆ & 全部直接鍋に入れとけ

というソリューションがドンピシャですくってくれたのだ。

もし「10分でつくれる時短レシピ」という軸の訴求では私には一生刺さらなかったであろう。ターゲットが丁寧に朝ごはんを食べる人で、時間がない中でシュッと1品足したい朝を課題に感じていたらそれはぶっ刺さるかもしれない。

でも、私には関係なかった。

「ワンチャン全員に刺す」という選択肢は多分無い

ここまで考えて、私の課題の明確化作業はめちゃくちゃに浅かったのだということに気づいたし、課題を磨くことってこんなに大事なのかという事に気づいた話だった。

なぜなら「タレつくりたくないよう」→「ちらかしたくないよう」という課題に気づけないと「めんつゆ使いなよ!」→「鍋に直でいけるよ」という提案ができたとは言えないからだ。近い訴求はできたかもしれないが、やっぱり砂糖おおさじ1杯とか、別容器で混ぜてタレつくれとか言っちゃってたと思う。

解く課題を尖らせることに関しては「市場小さくするってこと?ゆるふわでどこでも刺さる訴求しようよワンチャンあるよ」みたいなのがどうしてもあったのだが、ここまで分解して、自分ごとに実感してしまうとその考えは消えた。しっかり叩くべき課題にフォーカスする、という言葉をやっと理解した。

今の私くらいのマインドセットの事業づくりマンに届いてくれると嬉しい。もっと頑張ろう。いいものをつくるぞ。

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ちなみに、私が上辺だけの理解しかしてなかっただけで、こういうのは本にめちゃくちゃ書いている。山ほどある。

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