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絵本でわかる想像力、多様性について。

だいぶ前のことだが、好きな作家さんであるよしもとばななさんのエッセイを読んでいたら、そのエッセイは元々ブログに投稿していた話で「たまにダラダラと過ごしたい日の晩ご飯におにぎりとお味噌汁だけ用意して、テレビをみながらそれぞれおにぎりを食べ、床にいるワンコちゃんが待ち構えて(当時まだ小さかった)息子君がポロポロとこぼしたおにぎりのご飯つぶを食べている、なんて便利なシステムなんだ」というようなことをばななさんは書いていたのだが、それに対して「そんなだらしのないことを!」みたいなコメントがあった、というのを読んだことがある。

はっきり「たまには」と書いてあるんだし個人的には「別にええやん」と思うのだが、世の中には一定数許せない人がいるんだなあと読みながらぼんやりと考えた。

おそらく「自分ではあり得ないけれど、直接の知り合いではない作家さんのカジュアルなお話だし、ま、いっか」とスルー出来ず、それに加えて想像力もあまりないかもしれないとも想像がつく。良く言うときっちりしているけれど悪くいうと思い込みが激しいタイプなのかもしれない。

あくまで個人的な考えではあるけれど想像力が苦手な人は、スルーも苦手なのかも。

想像力の宝庫のような絵本作家さんといえばヨシタケシンスケさんである。
私の好きな作家さんの1人で、ヨシタケさんの絵本というのは子どもにも向いていながら大人も読んでいて面白い。話の中にも想像力という言葉がある絵本があり、これは手元に置いておこうと購入した本がこちらである。

ヨシタケさんは想像力の乏しい相手と対峙しない、逃げろと説いている。本当にその通りだが、これは想像力やスルー力がない人には厳しかろうなあ。

絵本作家といえばあえて名前は出さないけど、どうも生理的に苦手な作家さんがいる。彼の絵本の何が心をざわつかせるかというと、これを読んで悲しい思いをする読者もいるだろうという想像力が乏しい、ストーリーの中にも想像力の乏しい内容が多いというのをつい最近、突然朝通勤途中の電車の中で漠然と気づいたのだった。

私は買わないようにしていたのだが、おそらく一見ほのぼのしているように見えるタッチの絵で父ちゃんが買ったのであろう我が家の本棚にあるこの人の絵本はスマホの話である。お母さんがスマホばっかりみて・・という内容である。赤ちゃんとの生活でスマホの中が唯一の大人との接点であり相談先になる人がいる、引きこもりにならざるを得ない生活をしている人がいるという想像力が足らない。

そして、この作家さんはスルーが苦手だ。アマゾンのレビューやTwitterなどのネットで叩かれると猛然と反発、攻撃する。Twitterなら即ブロック。きっとご本人もヨシタケさんがどうしてこんなに評価されるのか、それに対して自分が、自分の絵本が、良かれと書いたお話が一部の人からどうしてこんなに酷評されなければいけないのかという想像がつかないのだろうな。

面白いのは、レビューでもTwitterでも以前から、新刊がでるたびに炎上しているのに一定数「素晴らしい!」という評価をしている人もいることだ。いまだに(という言い方をあえてしたい)これはいい!と保育園などにも置いてあり読み聞かせなどでも使われることがあるらしい。これは良い!と信じる人は「そうか、これを読んで嫌な気持ちになる人もいるんだろな」という想像力が乏しいように思う。彼の絵本が好きな人っておそらく想像力やスルー力が苦手な人たちだ。

そして、ヨシタケさんが好きな人は、おそらく攻撃したり酷評したりしない。ちゃんと「逃げて」=避けて(読まないで)スルーしているから。

我が家の地域での幼稚園の入園面談や手続きはすでに11月で終わってしまって今更感が半端ない気もするが、幼稚園や保育園がどういう園なのか、園長先生はじめどういう先生が多いのか、その園に置いてある絵本をみればなんとなく判断できるのかもしれない。もちろんきっちりかっちりが好きなお子さんならそれでいいだろう。けれど、我が子は自分じゃないので性格も違うという想像もしてみてほしい。きっと苦手な人は苦手なんだろうけれど。

想像力が乏しいと自分の常識と違うことが許せない、想像力があればヨシタケさんがいうように自らその場所から逃げることができる。逃げれば余計な対立を生まない。それって自分のためにもなる。
想像力って生まれ持った性格で相当違うのだけれど、すでに絵本を読む年齢ではなくなった我が家の娘ーズが難しくなっている年齢の中おそらくこれからあるであろう人間関係トラブルで「逃げる」ことができるように想像力を養っていくにはどうしたらいいんだろうなあ。考えていきたい。

我が家はもう幼稚園保育園という時期はとうに過ぎてしまったけれど、これから探そうと思っている人がこれを読んでちょっとだけ参考にしてもらえたら。



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