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DTMを手ほどきした妻に尻を叩かれる男。見事グランプリを取るの巻【8小節トラック©アワード】

「ビギナーの方には入りやすく、プロの方には奥深い」音楽コンテスト「8小節トラックアワード」を主催している株式会社クロスフェーダーの名波です。よろしくお願いします。

今回は、第2回8小節トラック©アワードで見事グランプリに輝いた、Grind Oscillator's Systemさんのインタビューです。

まずは、Grind Oscillator's SystemさんのLight waveをお聴きください。
(応募バージョンではなく、後段で説明するコンピレーション収録バージョンになります。)

ローエンドの効いた太いドライブベースにエッジの効いた濃密なビート、その重厚なエレクトロサウンドにレイヤーされた、実にロマンチックなピアノの旋律と叙情的なボーカル。ポストロックやシューゲイザーを彷彿とさせる美しさと退廃的なメロディが見事に調和し、まるでこの1分8秒の中に壮大なストーリーが描かれているようです。

審査員のノボイスキのコメントです。

もうすでに海外レーベルからアルバムリリースしててもおかしくないクオリティの高さ。スリリングかつ抒情的な旋律に加え、随所に散りばめられている聴き手を飽きさせないセンスが本当に素晴らしいです。何度聴いても興奮します。文句なし満点。

本題の前に宣伝。8小節トラックアワードからDIG8 Records始動!

8小節トラック©アワードから音楽レーベルが立ち上がりました。その名もDIG8 Records。8小節(8)を端緒として、音楽を探して(DIG)、楽しめるレーベルを目指します。

その第2弾として9月3日(土)にリリースされたのが「DIG8 Records コンピレーション from 8小節トラックアワード Vo.1」です。第1回、第2回の応募者から選ばれた43名のアーティストによるコンピレーションアルバムとなっていまして、各アーティストが自らの8小節の応募作をモチーフに現代ならではのショートミュージックに仕上げました。

もちろん、Grind Oscillator's SystemさんのLight waveも収録されています。

第1弾は、第1回グランプリのTaiyo Ky×審査員賞の余興のコラボとなる「ゆっくりすればいいじゃん」

記念すべき第1回 8小節トラック™アワードでグランプリに輝いたシンガーソングライター「Taiyo Ky(タイヨー・カイ)」と、同コンテスト審査員賞のシンガーソングライター「余興(よきょう)」がコラボ、グランプリ受賞曲『ゆっくりすればいいじゃん』をフルver.に。日々忙しく過ごしてる2人がたまの休みに「ゆっくりすればいいじゃん」と労り癒し合う作品となっています。

Apple Music、SpotifyのプレイリストにもPick Upされ、今後期待が持てる2人です。

第3弾として、9月7日(水)にリリースされたのは、「ゆっくりすればいいじゃん ”ゆっくりしないREMIX”。

Drum'n'Bass、Electro、Lo-fiの要素をHyperpop風に大胆アレンジ、まさに「ゆっくりしない」REMIXへと昇華しています。Chillなラブソングが原曲とは思えないほどスリリング&ダンサブルなクラブミュージックになっています。

今後も続々とリリース予定です。ご期待ください。

X JAPANのCDを初めて買った日

さて本題でございます。宣伝失礼いたしました。

人生で初めて買ったCDは中1のときのX JAPANの「Silent Jealousy」だというGrind Oscillator's System さん。お年玉でCDラジカセも一緒にご購入。友達の家でかかっていた「紅」を気に入って近所のCDショップに買いに行ったところ、売り切れていたためSilent Jealousyを購入したとのこと。

そう、売り切れで買えないことがあるのです。ストリーミング世代には信じられないでしょうが、フィジカルな物体CDを買わないと音楽を聴けない時代があったのですよ。

X JAPANといえば、第1回アワードで2位に輝いたShin FunaseさんもX JAPANをきっかけに音楽に興味を持たれていました。やはりX JAPANのメロディアスなヘヴィメタルが当時の若者に与えたインパクトはとんでもないものです。

名古屋にある中京テレビの長寿音楽番組で全国に先駆けて取り上げていたのを、名古屋出身である私も聴いておりまして。その後のスターダムへの駆け上がりをリアルタイムで知っています。ちなみにX JAPANのファーストアルバムのSpecial Thanksにその番組のプロデューサー、ディレクターの名前が入っていますよー。

ゲームボーイで解析的に音楽を聴く初めての体験

そんなGrind Oscillator's Systemさんですが、意外にも?ゲームボーイ(任天堂が1989年に発売した携帯ゲーム端末)の音楽をイヤホンで聞くことにもはまっていたそう。ゲームボーイは8bitで(現行のゲーム機は64bit)、ゲーム音は例えば、こんな感じでした。

今の表現豊かなゲームしか知らない人にはなんだこれはという感じでしょうが、当時のハードウェア性能は非常に低かったため、音的にはこれが限界でした。しかし、少ない音数だからこそ、細かく聴き分けることができます。Grind Oscillator's Systemさんには、初めて音楽を解析的に聴く体験として身体に刻み込まれます。そのためか、今でも音源を探してたまに聴くそうです。

現在、8bitゲーム音楽はChiptuneという音楽ジャンルにもなっているくらい、(今となっては逆に)魅力的な音となっています。

布袋寅泰モデルを買い逃して松本孝弘モデルを買う中学2年生

ゲーム音楽の話はいったん置いといて、X JAPAN以降の音楽遍歴に戻ります。中2のとき、友人の兄に教えてもらったBOØWYのMarionetteがめちゃくちゃカッコいいとしびれます。ギタリストの布袋寅泰さんに憧れます。布袋寅泰モデルのギターを買いに行ったところ、大事なところで人生二度目(?)の売り切れ(泣)。結局B'zの松本孝弘モデルを購入することになったと笑っています。

同世代としてこのくだりは納得です。割とミーハーな層に直撃しておりました。ひねくれた層には受けが悪かったですが。

高校時代から洋楽ハードロック・ヘヴィメタルへ


高1のときから洋楽が主戦場となります。ハードロック・ヘヴィメタルの世界へ。何を聴いていましたかと聞いてみたところ、出るわ出るわ。Dokken(US)、Whitesnake(UK)、Pantera(US)、Mötley Crüe(US)、SKID ROW(US)、METALLICA(US)。Helloween(German)、Ganma Ray(German)、BLIND GUARDIAN(German)、Dream Theater(US)。Yngwie Malmsteen(Sweden)などの北欧系も聴いていたり、日本だとLOUDNESS。古典としてDeep Purple、Queen。とにかくメロディアスなものが好きで漁るように聴いていたそうです。

高校時代の1990年代、グランジロック・オルタナロック全盛期の中でヘヴィメタルを聴き続けていたとのこと。他の音楽は聴いていなかったそうです。

からのNirvana

と語るGrind Oscillator's Systemさんは、高校時代のある時、それまで聞いていなかったオルタナ・グランジの代表格Nirvanaに突然目覚めるのです。そこから3〜4年間、はまり込んでその周辺バンドも聴くように。The Jesus Lizard、Soundgardenなどです。

その頃、スノーボードが流行り始めていました。当時のスノーボード業界は、メロコア、ハードコアと親和性が高く、NOFX、SNUFF、STRUNG OUT、No Use For A Name、The Offspringなども聴くように。長野に住んでいたので、聴きながらスノーボードをやっていたとのこと。

さらに幅が広がってミクスチャー(Mixture Rock)にも行きます。Red Hot Chili Peppers、Rage Against the Machineなどですね。

DJの友達・バイト先の先輩。Hip Hop・DTMと出会う



長い音楽遍歴の変遷を辿ってミクスチャーまで来て、ミックスされていたジャンルの1つとして、Hip Hopの存在を知ることになります。聴いてみたいと思ってDJをしていた友人に色々紹介してもらいました。最初に知ったアーティストはPublic Enemyで、その後は広く浅く聴いていましたね、とのこと。

そんなころ、バイト先の先輩にDTM(Desk Top Music、PCで音楽を制作すること)を教えてもらいます。しかし、師匠となった先輩がポストロックにハマっていき、Tortoise、Boards of Canadaなどを教えてもらいましたが、あまり自分の好みではなかったとのことで好きな音楽を模索しました。

DJ KRUSH、THA BLUE HERBなどの退廃的な煙たい(Smokyと言われるHip Hopがあるのです)雰囲気の曲を作ってみたいと思い、制作を始めます。試行錯誤を重ねているうちにCubase(DAW:Digital Audio Workstation:PCで音楽を作るためのツールの1つ。YAMAHAから発売されている)の扱いがこなれてきました。

バンドもしながらサウンドエンジニア的な作業も

DTMをしながら、バンドも組みます。20歳のときに初めて組んだバンドではパンク・メロコアをやっていました。その後、音響系・アンビエント系のバンドも。自身のバンドでも、知り合いのバンドでも、録音する際にサウンドエンジニア的な動きを始めます。ラジカセの多重録音(ある楽器を1回録音した後、それを再生しながら次の楽器を重ねて録音。以後同様とする録音のしかた。ピンポン録音とも言われた)、そこから本格的なMTR(Mluti Track Recorder:本来2チャンネルしかないカセットテープに4もしくは8チャンネルで録音できる機材)から始めて、PCのハードディスクレコーディング、つまりデジタル録音まで時代の変遷に合わせて技術を吸収します。

環境を整えてのボーカル・ギター・ドラムの録音、ミックス、トラックダウンを通じてサウンドエンジニア的な技術を習得します。この経験が後に本格的にDTMをする際に非常に役立ちます。

ギターとの別れ、クラブミュージックとの出会い

30歳くらいまで、DTMもバンドも並行していました。
CubaseでDTMを初めてから数年、本格的に曲を制作したくなり、作曲グループのメンバー募集に応募します。

しばらくバンドサウンドで楽曲制作をしていたというGrind Oscillator's Systemさんですが、ギターが一向に上達しないことから方向転換を決意します。

ちょうどクラブミュージックを聴き出したタイミングだったので、クラブミュージックっぽい曲を作りたいなと思い、ElectroとDubstepを勉強して、ソフトシンセを揃えて制作を続けていたところ、EDMの大御所、Skrillexの音楽に出会います。ベタな話であると本人は言いますが、とにかく衝撃を受けてYoutubeでEDMを漁りました。

バンドサウンド出身であることから、Skrillexのような雰囲気を持つ楽曲を制作できないことにしばらく悩んでいたそうですが、3~4年前にそれも自分の個性だと思い、受け入れることにしたそうです。

今回ご応募いただいた楽曲からは想像できない音楽遍歴ですが、分厚い音楽経験が素晴らしい楽曲を作り出しているのかもしれませんね。

妻のマンボウ親子さんに導かれての応募だった


選考の後に判明したのですが、第1回で4位入賞・第2回で5位入賞された「マンボウ親子さん」の旦那さんということが分かりました。

よくよく話を聞きますと、マンボウ親子さんのDTMの師がGrind Oscillator's Systemさんだそうで!

メンバー募集をしたら応募してきたのがマンボウ親子さんだったそうです。当時のマンボウ親子さんはCubaseを持っているだけの状態で、そこから手取り足取りで一人前に仕上げたそうです。あまり聞かない夫婦関係ですが、2人揃って素晴らしい曲を作れるようになるなんて、素敵なご夫婦だと思います。

ちなみにマンボウ親子さんの曲はこちらです。楽曲の個性が似ているような、似ていないような。みなさまいかがでしょうか。

マンボウ親子さんの第1回8小節トラックアワード入賞を知った時はすごいと思ったそうですが、一方で悔しい思いもしたとのこと。2回目にあたって、「応募しろ応募しろ」と連呼されて、怖かったけれども応募に至ったそうです。初めての音楽コンテスト応募となりました。

主催者狙い通りの「上級者にとっては奥深い」8小節

グランプリを受賞した「Light wave」は作りかけの曲がもとになっているそう。8小節という短い時間で1曲を成立させなければいけないことがとても難しかったとのこと。短くしなければいけない中で、詰め込まないよう意識しましたとおっしゃっています。8小節でもストーリー性を持つ「Light wave」の制作過程としてとても納得がいきますね。さすがのグランプリです。

私達は、8小節トラックアワードを「初心者にとっては入りやすく、上級者にとっては奥深い」コンテストと銘打っていますが、まさに狙い通りです。たった8小節、されど8小節。

以上、第2回グランプリのGrind Oscillator's Systemさんのインタビューでした!

あなたの応募を待ってます!第3回8小節アワード開催決定!

Grind Oscillator's System さんが第2回グランプリに輝いた、8小節トラック©アワードの第3回を開催することが決定しました。

過去2回の受賞者の中からは、Sony Musicから作家デビューしたり、当社レーベル「Dig8 Records」からデジタル配信したりしています。「結果発表で終わりではない」という特長が本コンテストにはあります。皆さまのご応募をお待ちしています!羽ばたくチャンスをぜひ掴んでください!

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