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平成の終わりに登場した3人の山田裕貴

2019年4月は、ほとんど毎日テレビに山田裕貴がドラマ出演するという、めったにない1ヶ月でした。

※いつも通り敬称略です

「なつぞら」小畑雪次郎、「大全力失踪」白金雅也、「特捜9」新藤亮

平成最後の月となる2019年4月にスタートするドラマ3作品に、それぞれ山田裕貴が出演しました。
連続テレビ小説「なつぞら」は月~土曜、テレビ朝日系列「特捜9」は水曜、BSプレミアム「大全力失踪」は日曜と、4月中は1週間まるごと、山田裕貴が出演するテレビドラマが放送されていたことになるのです。(なつぞらは出演がない日もありました)
毎週ではなく、毎日の放送というのもすごいのですが、いずれもレギュラー出演なところもまたすごい。

私がさらにすごいな、いいなと思ったのは、演じているそれぞれの人物が、とがりすぎた特徴があるわけではない、まあまあ普通の青年ばかりであるというところです。

「なつぞら」の小畑雪次郎は、お菓子屋さんの息子で、農業高校の演劇部に所属する高校生。
「大全力失踪」の白金雅也は、大商社の社長御曹司で、つきあっている彼女を大切に想う青年。
「特捜9」の新藤亮は、元警察官の父を持つ、特捜班に配属されて2年目の若手刑事。

物語の登場人物だから、それぞれにわかりやすい特徴はあるものの、世紀の極悪人!とか、頭が切れる変人探偵!とか、極度のコミュ障ナード!とか、とんがった要素は強くないのが共通点だと思うのです。
何が言いたいのかというと、彼らはいろんなことをうちに秘めていながらも、キャラクターとしては比較的「普通」に近い人物ではないか、ということです。

「普通」を求められるのは難しい

私は役者をしたことがありませんけど、誰かから何かを求められたとき「普通で」と言われると、困ってしまうことがあります。
飲食店のメニューなど、作り方に決まりやマニュアルがあるようなものならともかく、洋服のコーディネートを考えたり、こういう文章を書いたりするときに「普通でいいです」と言われたら、きっとものすごく悩むでしょう。
ましてや、絶対的な正解なんておそらくないであろう演劇の世界で「普通」を求められたら、そりゃ悩まないわけないだろと思うのです。

「普通」って、人それぞれ違いますからね。自分が普通だと思っていたことが、他人にとっては異端である可能性は当たり前のようにあります。
それはドラマや映画の世界でも同じで、監督や脚本家、俳優、そして見ている人それぞれで異なる「普通」を持っているはず。
そこで必要になってくるのはきっと、作り手・演者・視聴者、その演劇に関わる人すべてにとっての「普通」にできるだけすり寄せる、「普通」の最大公約数を見つけ出すことなんじゃないでしょうか。
そうやって考えると、より「普通」に近い人物を、ちゃんと「普通」に見えるように演じることって、ものすごいことに思えてきました。

私が「普通」の山田裕貴に喜ぶわけ

じゃあなんで、わざわざキャラクターが「普通」であったことを取り上げているのかというと、その難しい(であろう)「普通の青年」を演じる俳優として、山田裕貴が選ばれているからです。
ドラマや映画では、オーディションであれ出演依頼であれ、制作側に「この人に演じてほしい」と選ばれていることがほとんどでしょう。

つまり、今回同時期に放送された3人の山田裕貴は、難しい(であろう)「普通」を演じるにふさわしい俳優として選ばれている。
そして、それにちゃんと応えて演じている。

これがめちゃくちゃ嬉しいのです。

そしてまた、いい顔をしていたのです。

いちファンとして彼の成長過程を見ている私にとって、こんなに嬉しいことはありません。

おまけ:シーズン2を迎えた新藤亮

私は山田裕貴ファンですが、元々(特にテレ朝系の)刑事ドラマも好きで、「特捜9」は前身の「警視庁捜査一課9係」から見ているドラマです。
Twitterでも同じ傾向のドラマ好きさんをフォローして、みんなで実況しながら楽しんでいます。
そこにはもちろん、特に山田裕貴のファンというわけではない人もいて、新藤をひいきせずにドラマ全体を楽しむ様子が見られるので、どうしても新藤をひいき目で見がちな私にとっては、反応がとても気になるのです。

新藤はまだまだ新米刑事なのに、なぜか根拠のない自信も持っている、いわゆる「ゆとり」みたいなキャラクターです。
9係時代からずっと一緒に捜査してきたチームに新しく配属されていることもあり、刑事として成長していく姿を見られる(多分……)反面、視聴者から見た立ち位置は、引っかき回し役やいらだちポイントなど、いわば「足を引っ張る役どころ」が今のところ多いのかな、と思っています。

私なんかは、新藤にも孫フィルターがかかってしまうので、新藤が何かやらかしても「ああ~もう~またそういうこと言って~そういうとこだぞ」と甘やかしがちです。
でも、そうでないフォロワーさんが「新藤ムカつくわ~」とか素直に書いてくれてると「そうでしょう!今のムカつくよね!わかる!そんなムカつく新藤をちゃんと演じてる山田裕貴をよろしくお願いします!」とハチャメチャに嬉しくなってしまいます。

「やべーな、ムカつく役をやって、ちゃんと視聴者にムカついてもらえてるし、その上「新藤嫌いだわ~」とか言われてるの最高じゃね?だってさっきの、ムカつく上に嫌われる役どころだったもんね!やったぜ」と。

演劇は見ている人の心を動かしてなんぼだと思います。
だから、嫌われどころを演じて、見ている人にちゃんと嫌われるキャラクターになっていたんだなぁと実感できて、とても嬉しいのです。

まだまだ生意気で自分に正直すぎるけど、かわいがられ要素もたくさん出てきた新藤亮がどんな成長を遂げていくのか、今後も楽しみです。特捜9おもしろいよ。

好きなことを好きなようにほめています