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視点を変えてサービスを作ったら、グッドデザイン・ベスト100を受賞した話

こんにちは、かにのみそしるです。
ナビタイムジャパンでWeb版『NAVITIME』の開発、運営を担当しています。

今回は子連れをターゲットとして開発した『NAVITIME for Baby』を元に、視点を変えてみることの大切さについてお話ししたいと思います。

NAVITIME for Baby とは?

『NAVITIME for Baby』は、子連れの移動をトータルでサポートするWebサービスです。子どもを連れた移動は大人だけの移動と違い、

  • 目的地まで「安全に」迷わずたどり着けるか

  • おむつや着替えなど荷物が多く、忘れ物をしていないか

  • どこでおむつ替えできるか、授乳できるか

など、多くの不安が存在します。そのような不安に対し、ベビーカーや抱っこ紐など移動状況に合わせた最適なルート提案、忘れ物チェックリスト、周辺の授乳室やおむつ替え室の検索、といった機能を提供することで、移動前・移動中・移動後をトータルでサポートしています。

子連れの移動に特化した機能を提供

「手段」ではなく「人」で考えてみた

そんな『NAVITIME for Baby』ですが、実は機能自体は元々ナビタイムのサービスで提供してきた機能を再構築したものがほとんどです。
では今までと何が違うかというと、サービスの軸を「移動手段」ではなく「使う人」に変えてみたことです。
ナビタイムジャパンでは『カーナビタイム』や『ドライブサポーター』といった「車移動」のサービス、『自転車NAVITIME』といった「自転車移動」のサービス、のように、「どの手段で移動するか(What)」にフォーカスしたサービスが多数存在します。

一方、「誰が移動するか(Who)」にフォーカスしたサービスはあまりありませんでした。
「もしかして、誰がに注目してサービスを作ってみたら面白いのでは・・」
という発想の転換、私がちょうど育児中で子連れの移動課題を実感していたこともあり、「子連れの移動」にフォーカスしたサービス開発をすることにしました。

「人」視点で考えると課題も変わる

いざ開発を始めてみると、同じ「移動の課題を解決する」サービスでも、視点が変わるだけで課題の内容や解決方法が大きく変わることが分かりました。

例えば電車移動の際の降車ドア位置情報。(右が開くか左が開くか)
大人だけの移動の場合、降車ドア位置の情報は「あれば嬉しいかな」程度の情報だと思います。しかし、子連れがベビーカーを利用して移動する場合は頻繁に開閉するドアの近くは避けたいため、降車駅だけでなく停車駅のドア位置情報まで欲しい情報に変わります。
同じ情報でも、状況が変わると価値が変わる、と気づきました。

移動状況に合わせた最適なルート提案も、その一つです。
この機能は、ナビタイムのサービスで提供している「徒歩速度」や「検索条件」を組み合わせて実現しているため、実は既存サービスでも再現することができます。
ですが、「ベビーカーでの移動」「抱っこ紐での移動」といった、よりイメージしやすい表現にすることで、機能の良さが伝わりやすくなり、利用促進につながりました。
「人」に注目したからこそできる表現の最適化、と感じました。

この感覚は既存サービスの開発だけでは中々発見できなかった考えで、「移動手段」に注目するとその手段に求める大多数のニーズに応えることができ、「使う人」に注目するとその人の背景や価値観を考慮したよりきめ細やかなニーズに応えることができる、という発見がありました。
どちらが正解、ということでははなく、あらゆる角度からの視点を持ってサービスを考えることが大事なのだと思います。

同じ水でも価値は変わる

予想を超えた反響・・・!

以上のように、普段とは違う開発アプローチを経て生まれた『NAVITIME for Baby』は、2021年3月にサービスインしました。
サービスイン直後からSNSなどで「こんなサービスを待っていました!」といったお言葉を多数いただき、その後、テレビ(めざましテレビ/フジテレビ系列、日曜日の初耳学/MBS 毎日放送、news23/TBSテレビ)や雑誌(ひよこクラブ/Benesse、DIME/小学館)などの各種メディアにも取り上げていただきました。

そして、

  • BabyTech Award Japan 2021 授乳と食事部門 大賞

  • 第15回キッズデザイン賞 キッズデザイン協議会会長賞

  • グッドデザイン・ベスト100 

と多数の賞もいただくことができました。

受賞自体も、もちろん嬉しいですが、このサービスを提供することで、子連れ移動の不安を持っている人が多くいることが分かり、その不安を少しでも取り除き、安心して移動できることに対してお役に立てたことが、なにより嬉しかったです。

自分のサービスが社会貢献につながって嬉しい・・・!

まとめ

今回は、『NAVITIME for Baby』の開発を通じて視点を変えてみることの大切さについてお話ししました。
この考え方はどんなサービス、業務にも適用できるため、一度立ち止まって違う視点から見てみると、何か面白い発見があるかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。