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中小企業診断士・経営コンサルタントの仕事を6年以上して思ったこと

まもなく中小企業診断士一次試験が始まります。
私も2回受験しました。

宝くじや懸賞に当たらなかった運をすべて注ぎ込み、とてつもなく運よく2回とも一次試験を一発合格しました。
(一次試験を2回受験しているということは、二次試験を2回落ちてるということですが・・・)

今回は、初めての一次試験受験から10年目、中小企業診断士として独立7年目、ということもあり、なぜこの仕事をしてるのか振り返ってみます。

経営コンサルタントの仕事に中小企業診断士の資格はいらない

経営コンサルタントの仕事をするのに、中小企業診断士の資格はいりません。
この辺が、独占業務のある弁護士や税理士、社労士などの資格と違うところです。

コンサルタントとは辞書で調べると

「コンサルタント」とは、専門的な知識技術持ち他者企業に対してアドバイス指導を行う専門家のことを指す。

Weblio 辞書

と書かれています。

別に診断士の資格がなくても、専門的な知識や技術があり、必要とされてお金を払ってくれる人がいれば誰でもなれます。

知識や技術があればすぐにできる商売のため、世の中にありとあらゆる分野のコンサルタントがいます。
機械を買ったり、作業場や販売場所もいりませんし、ものを買って売る必要もありません。
そのため開業するときの自己資金がほとんど必要なく、とっても参入障壁が低いからですね。

嫌われ者なのに、なりたい人も多いコンサルタント

経営コンサルタントって、大体嫌われてますよね。

意味がないとか、無駄とか。むしろ足を引っ張るとか。
何か事件があれば「自称経営コンサルタント」のような肩書で容疑者が公表されます。
胡散臭い職業の代名詞かもしれません。

この辺りは経営者目線なのか従業員目線でも変わるところですが、嫌いな理由は良くわかります。
私も従業員目線の時は、経営コンサルタントは好きでは無かったです。
今でもそんなに好きではないかもしれません。

胡散臭いと思われることも理解してます。
実際、そんな人もいますし。

その割に、コンサルタントって職業は人気がありますよね。
私もなんだかんだとあこがれがありました。

はたから見ると、なんだかんだとカッコよく見えるのかもしれません。
瀕死の会社を立て直した・・・的な話もありますし、大きなオフィスでさっそうと働いて高給取りのイメージとか。

中小企業診断士として仕事をしている理由

そんな自分が中小企業診断士として、いわゆる経営コンサルタントの仕事をしているのは、かなり自己矛盾が生じている状況ですね。

自分の場合、実際務めていた会社に来てたコンサルが偉そうに言いながらも業績が全く良くならず、かといって働きやすい職場になった訳でもなくといった体験があって、コンサルタントが好きではなかったです。
ですが、結果を出している人もいるし、職業自体を否定するのは違うんじゃないかなと、自分がそんな人にならなければいいと思うようにしました。

考えてみると、一番の理由は「成り行き」だったかもしれません。

中小企業診断士の勉強を始めたきっかけ

会社員時代は、「このまま安月給で嫌やなぁ。人に命令されて働くの嫌やなぁ。」と、誰しもが思いそうなことを考えてました。
とはいえ「毎月給料をもらえ、直属の上司もいい人だし、なんだかんだと緩いし、残業もないし、リスクをとって苦労するくらいならこのままの人生も、まぁそれはそれでアリかなぁ。何とか副業で収入増やすことができればそれに越したことないなぁ。」などとも思ってました。

しかしそんな都合の良い状況は続きませんでした。

中小企業診断士の勉強を本気で始めたきっかけは、
「勤めている会社がいよいよヤバいんじゃないか?このままでは子供を育てられなくなるんじゃないか?やるなら今しかないんじゃないか?」
と、お尻に火が付いた状況になったからです。
もともと経営のことは勉強したいと思っていたし、経営にもずっと興味がありました。
また、なにかしら資格があると、転職にも有利だろうし、いざとなったら独立できるといった動機です。

口ではかっこいいこと言ってても、改めて振り返ると完全に追い込まれたからですね。

職場がなくなる

仕事は財務経理をしていましたので、会社の状況はよくわかります。
ただ、会社ってヤバいって思っても、すぐにはつぶれないんですね。
この時の経験はとても今に役立ってます。

最終的には会社が民事再生法を申請することになりますが、ここでも超絶ラッキーにも事業を引き継いでくれるスポンサー企業が土壇場で現れ、雇用自体は守られました。
我ながら、土壇場の運の良さは持ってますね。

とは言え、給与もさらに下がり、賞与なんてものは当然ありません。
ただ、管理部門の人員も上司と私の2名しかおらず、上司にすべてを押し付けて去るほど恩知らずにはなれませんし、「この経験は絶対いい経験になる」と思い、民事再生の裁判が完了するまで残ることにしました。

正直言って、民事再生を出す直前から完了して退職するまで、その会社で働いていた中で一番充実していました(笑)
自社と裁判所側双方の弁護士や公認会計士とのやり取り、資料作成、雑多な書類関係の案内送付や後処理、債権者集会、管理部門の取引先への謝罪訪問などなど・・・
振り返ると、体験したくてもなかなかできないことを体験させてもらえました。

雇用は守られているのでそのまま勤務することも可能だったのですが、勤務地が神戸から大阪に移ることが決まっていました。
移転すると、現在の通勤時間が1時間増えることになり、1時間45分かかります。
これ以上、収入も減り、勤務地も遠方になるので、すべてが完了して引継ぎが完了次第退職することにしました。

会社員もやっぱり嫌

退職した週末に、中小企業診断士一次試験を受験しました。
2回2次試験を落ちているので、まさに背水の陣。

受験した2016年の一次試験は例年になく難しく、受験したときの手ごたえはゼロでした。
が、奇跡的に420点で合格。
まず一つ目の奇跡を起こし、3回目の二次試験に望むことになります。

2次試験に落ちるとどうしようもないので、転職活動も始めます。
一次試験に合格していたからなのか、これまでの財務経理、総務での経験が良かったのかいくつかの会社と面接をさせていただきましたが、どうもしっくりきません。
「社長の言いなりで働くのは嫌。人生を他人の評価で生きるのは嫌。また中小企業で働いて収入も増えないのは嫌。」
と、働かせてもらいたい!といった気になりません。
面接で話す言葉が嘘過ぎて、自分でも嫌になります。

中小企業診断士として独立する決意

そんな中、3回目の二次試験を受けます。
結果は二度目の奇跡を起こし、なんとか合格することができました。

合格したら、もう、いきなり独立しようと決めていました。
「これまでの中小企業での浮き沈みを財務経理部門として経験してきたことを生かして、独立しよう。できるかどうかわからないけど、ここが人生の踏ん張りどころ」と言い聞かせて。

そして、2017年4月にから中小企業診断士として独立しました。

経営コンサルタントの仕事に中小企業診断士の資格はいらないが、あると信用力が増す

経営コンサルタントの仕事には中小企業診断士の資格はいりませんが、独立して仕事をするには、あると圧倒的に有利と感じます。

やはり、何にも後ろ盾がない場合と比べると、信用力が違います。
仕事仲間に診断士でなくコンサルタントをされている方がいますが、その方の信用を得る努力と比べると、有利な位置からスタートできていることを実感します。

独立後の2年くらい、金融機関に飛び込み営業とかしていましたが、話をまず聞いてもらえます。
それも末端の担当者でなく、支店長や次長とお話ができます。
仕事になるならないだけでなく、当時お話をさせていただいた方々にはいろいろと金融機関のことや、地元の市場環境などを学ばせてもらいました。

いきなり「経営コンサルタントです」と言っても怪しい人ですが、「中小企業診断士です」となると対応が異なります。

また、私はいわゆる協会活動をしていませんが、それでもそれなりに公的な案件が回ってきます。
回ってくるかどうかは府県によってキッパリ分かれますが(苦笑)
他にも商工会議所からの紹介など、国家資格があるからこそ下駄をはかせてもらっている実感があります。

最近ではお客様からのご紹介も多いですが、紹介者も「中小企業診断士っていう国家資格を持っている人」と、紹介しやすい部分もあると思います。
(もちろん、能力、人柄もあると思いますが)

中小企業診断士があるからと言って経営をうまくできるのではないですが、中小企業診断士があるから信用してもらいやすいことはあります。

圧倒的実績がない人でも、信用力を得やすい点が国家資格のいいところです。
逆に言えば、圧倒的実績、その人自身に信用力がある人は資格に頼る必要もありません。

これから

色々とありましたが、なんとか独立7年目となりました。

はじめから順風満帆でなく、どちらかというと遠回りをあえてしながらも、自分のやりたかったことを少しづつできるようになってきている感じです。

2023年の方針は「やりたいからやる。」です。

色々とチャレンジさせてもらえると、どこかで見聞きしただけの情報でなく、実際に経験することで、今後の支援のクオリティを上げることにつながると考えています。

一人では到底できませんでしたが、色々とチャレンジすることを楽しんでくれるスタッフさんがいることで、一緒に取り組めています。

「中小企業診断士」の資格を最大限に生かしながら、単なる助言だけで終わらず、お客様と一緒に考え、一緒に動く支援を模索していきます。

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