53.将来の夢はただの優しいお母さん
私は小学生の頃、ただの優しいお母さんに憧れた。
専業主婦のほっこりママ。
平凡な日を心地よく暮らすことを夢見ていた。
専業主婦の母が幸せそうだったから。
結婚したら、仕事は辞めようと決めていた。
優しいお母さんになるためにも、子育て学んでおこうかなという理由で保育の学校へなんとなく進んだ。
昔からなんだか運が良い私は順調に公務員となり、公立幼稚園で働く。
しかし、仕事はとてもハードで毎日持ち帰り仕事ばかりだった。
体力的にも精神的にも疲れきっていたが、職場の環境や親御さん、受け持った子たちにめぐまれ、なんとか続けることができていた。
毎日たくさんのことを学び、充実した時間を過ごしていた。
でも、結婚したら、仕事と家庭の両立は絶対無理ときめつけていた。
しかし、なんやかんやで「育休とるべき」「もったいない」など周りの意見に流され、辞めたいと言い出せなかった。
月日が流れ、多忙生活は続いていた。
新婚生活は旦那さんとの晩酌を楽しみにしていたが、それどころじゃなく、私は心身疲れ切っていた。
よし、妊娠を機に次こそ退職しようかとも思った。
でもまた周りの「辞めたらもったいないよ」の声を聴き、じゃあたっぷりとりあえず育休とらせてもらえばいいかと、気持ちが曖昧のまま安易に育休をとった。
私は自分で決めたこと、したいことがあるのに周りに流されてしまう。
こっちの方がよくない?
そんな意見にすぐ惑わされる。
自分の意志で人生を歩んでいないため不満がじわじわとたまる。
気がつくとため息。
仕事は楽しいけど、本当に臨んでいる生活ではない。
私は専業主婦になりたい。
不満がいっぱいたまると、周りのせいにしたくなる。
育休明けの仕事復帰は体も心もぼろぼろ。
毎日クタクタで、日々をおくるのに精一杯。
笑顔が消えていった。
そんな自分でいいの?
このままで本当にいいの?と
そんな時神様からのメッセージが届いた。
私は全身蕁麻疹で倒れたのだ。
「本当にこのままでいいの?」
生死を彷徨ってる間、かすかに聴こえた。
「本当はいやじゃーーー!」と強く叫んだ時、目が覚める。
(あ、私生きてる…。)
入院中、自分のしたいことをつらつらと書き出した。
やりたいことがあるのに、なぜやらない?
自分の人生だから、自分で決めて良い。
何を遠慮しているのだろう…
だれのために生きてるの?
私の人生は、私が決める。
そう誓った日。
五年前に倒れて、はじめて、
体や、心の悲鳴に向き合った。
自分のしたいことをする。
誰も責めないよ。
妻になろうが母になろうが、
わたしはわたし。
わたしらしく生きていい。
ただの優しいおかあさんになりたい。
人生一度きり。
今を楽しもう。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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