美しい名前

私は、インターネットやSNSの世界では
"なちゅ"という名を名乗っている。
切り絵が好きで、作品を発表する時は
まぁちょっとかっこつけて、
natyuという表記にしてみたりもする。
シンガーのSalyuさんへの憧れもある。

本当の名前は"なつみ"。

ちいさな頃、両親が時々私のことを
「なっちゅ」と呼んでいたのをふと思い出して、
その言葉の響きの良さや懐かしさと
ちょっとだけくすぐったい部分をのぞいて
この名前にした。
ぜんぜん関係のない名を名乗っていた時もあったけど
あまりしっくりこなかった。

昔はこの"なつみ"という名前が
あまり好きではなかった。
小学校の授業で名前の意味を調べる
という宿題が出された時、
母はひと言「意味はないんだよね」と言った。
その言葉が幼な心にショックだったのを
覚えている。
周りの子たちが自身の名前に詰め込まれた
期待や希望を語るのを聞きながら、
無理矢理漢字のひとつひとつに意味をこじつけて
ありもしない意味を発表するのが
とても恥ずかしかった。

名前 という存在には
とても意味がある。
呼び方、呼ばれ方
そのあいだにすべての関係性が現れている。
だから名前を間違うのをとても嫌うし、
誰かに声を掛ける時、
なるべく初めに名前を呼ぶようにしている。

でも、名前それそのものに意味などない。
その名の形どおりに生きなければならないとしたら
それはとても窮屈だし、
たとえ、私が"なつみ"という名前でなかったとしても
私は私だ。
名前そのものに意味はなくとも、
その名前をつけた事自体に意味がある。
母は、私の名前に意味はない と言ったあと、
「周りの人に親しまれる名前にしたくて
つけたんだよ」
と言っていた。

それで充分。

それから、フルネームを漢字で書くと
左右対象で、バランスが良くて
とても美しいので心底気に入っている。

出来れば苗字は変えたくない。

あぁ、こうやって、結婚とやらは
遠のいていくんだろうか。