マックフライポテト
しゃくっ。しゃく、しゃくしゃく。
しゃくしゃく。しゃくしゃく。しゃくしゃくしゃ・・・。
ハッとして紙袋の口を閉じ、指に付いた塩を払い落とす。
つい揚げたての誘惑に負けてしまったが、このままでは家に帰る前に食べきってしまう。
マックフライポテトの全サイズ150円セール。期間中ずうっとソワソワしてしまい、最終日に結局買いに走ってしまった。なにせ高カロリーだから普段は節制しているけれど、「美味しい」に「お得」まで揃うと抗いがたい。
無事帰宅し、温かい紙袋を開くとむわっと無漂白の紙のにおい。はやる気持ちを抑えつけ、まず取り出すのは紙ナプキン。平皿に広げて敷いて、再び袋に手を入れる。指先にちりちりした熱気を感じ、思わずにんまりしてしまう。赤いケースをカサカサッと皿にあけると堂々たる山盛りのポテトフライがお目見えした。
マクドナルドのポテトには、ファンを離さぬ何かがある。いまどき、あちこちで美味しいポテトにありつける。サンドイッチ系のファストフードは標準装備、ファミリーレストラン、居酒屋、喫茶店にだってある。自分でじゃがいもから作るのだって簡単だし、冷凍モノだって各社ある。カットの方法も、ストレート、ウェーブ、皮付き、くるくると竜巻みたいなタイプもある。
でも、やっぱりこの金色のシューストリングカットに戻ってきてしまう。
食べ歩きをした不作法を誤魔化すように、ポテトフライを皿に盛り、ラガーもとくとくグラスに注ぐ。パセリでも千切れば完璧だったがさすがにそこまで用意はない。我慢して家まで持ち帰ったのは、ゆったり今日の一杯を楽しみたかったから。
さぁ、乾杯!ガサガサッとした泡を上唇でおしとどめ、琥珀がかった金色を口の中へ滑り込ませる。冷えたビールをごくりと飲めば、ふわっと麦の香りとホップの苦み。胃に落ちる頃にはふわっと体が熱くなる。はぁ、美味しい。今日も1日よく頑張りました。
では満を持して参りましょう。明るい金色のてっぺんを摘まみ上げ、しゃくっ。これこれ、この軽やかさがクセになる。堅く揚げられた外側はカリッ、いや、もっと薄く頼りなく、しゃくっ、サクッ。そして中はホクホクとベイクドポテトのような食感。ちょうどいい塩加減。しゃくっ、サクッ、ホクッ。じゃがいもの土の香りと油のコク。・・・あっズルンと長い一本。カリッと堅く端の一本。山盛りの中にポテトの物語がある。
こだわりぬいた、マクドナルドのベストセラー。Lサイズ170g517キロカロリーなことは目をつぶろう。美味しい。楽しい。ビールが美味しい。
半分ほど食べ進め、ここらでちょいと変化球。コショウ、七味、粉チーズ、ケチャップソースはタバスコ入り。青海苔もすてき。店舗ではできないアレンジポテト、これもお持ち帰りの醍醐味のひとつ。
コショウは文句なしのマッチング。
七味は辛さより香ばしさが先立った。ゴマやゆずのせいだろうか。
粉チーズ、途端にジャンクめいた味わいで楽しい。
ケチャップソース、タバスコのおかげでピリッと酸味と辛み。ラガーのお供ならこうでなくちゃ。
あれあれ、気づけばもうあと数本のみ。青海苔は次の機会だなぁ。
しゃくっ。ごくっ。
あぁ美味しかった。ご馳走さまでした。