母を送る日
金曜日のうちに、仕事が終わってすぐに車で5時間かけてきてくれた夫。
なので翌日の会場に行くのは十分に間に合った。
式にはうちの3人(私、義父、夫)とお隣さん(お隣さんと娘さん)、Aくんのお母さんとお父さんが出席する事になった。
うちの人間だけで送るだろうと、それでいいと思っていたが少ないながらも来たいと言ってくれて集まってくれた人がこれだけいた事がありがたかった。
葬儀社に着くと、お隣さんやAくんの両親は母のところに行って顔を見たり話しかけたり、思い出を語り合ったりしてたのだが、うちからは誰もその部屋に行かずというちょっと異様な光景でもあった。
義父はあまり長くは母のいる部屋にいられないから(色々とこみ上げてしまうから)待合所にいたが、私は、特に母の元に行ってしたい事も話したい事も無かったので行かなかった。
夫は社交的な方では無いので、私が行かないならば特に率先して行くということもないので私の隣に座っていた。
病院で意識がなかった母に対して、声に出して話しかける事を嘘っぽく感じていたように、亡くなってからも、他の人たちのように話しかけるという事は私には出来なかった。
私が母にいったい何を話しかけられるというのだろう。
別に恨みつらみがあるわけではない。
娘としては無感情なのだ。
お隣さんもAくん両親も私の態度に、何て冷たい娘なのだろうと思ったかもしれない。
だとしても、女優にでもなったつもりで『一般的な娘』を演じるつもりで気合い入れないと母に、それっぽく近づく事さえ出来なかったのだ。
11時までにきてくださいと言われたわりに、11時半を過ぎても誰も担当の人が現れなかった。
昨日の感じだと「くれぐれも遅れないでくださいね」という感じだったのに。
母のところに行かない手持ち無沙汰もあったが11時過ぎて、うんともすんとも言ってこないのはおかしいと思い事務所に問い合わせに行った。
ところが事務所はカーテンが閉まっていて人気も無い。
周りをキョロキョロしてみると、他の葬儀が終わりこの後出棺らしき作業のためか、葬儀社の人はほとんどこちらの葬儀のために動いているようだった。
その中の一人を捕まえて、「11時にはくるように言われたのですが」と伝えるも「担当の者に伝えますので」だけだった。
まぁ忙しそうだし、仕方ないかと待合所に戻った。
うちの家族以外はまだ、母のところにいるようで、さすがに少し居心地悪いなと意を決して母のところに向かった。
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