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『オーガニック』とは?無農薬との違いと合わせてご紹介します。

こんにちは!管理栄養士の松岡です。

今回のテーマは、『オーガニック』。
『オーガニック』と聞くと、何をイメージしますか?

「無農薬」「有機栽培」「自然」といった言葉が、連想されるのではないでしょうか?
自然にも体にも優しいイメージがありますが、いざ聞かれると、はっきりと答えるのは難しいですよね。

普段耳にする『オーガニック』の本当の意味とは何なのかについて、ご説明します。


『オーガニック』の意味

英語の「Organic(オーガニック)」には、「有機の」という意味があります。
「有機」とは、化学肥料や農薬を使わず、太陽や水、土、土に住む微生物など自然を生かした農林水産業や加工方法をいいます。

簡単に言い換えると、自然の力のみで、作物を育てたり、加工したりすることです。

写真は、あくまでもイメージですが、実際に、私が取り組んでいるオーガニック(有機)栽培の例をご紹介します。

図1 オーガニック 実例

畑の周辺に育った雑草や、できた作物の硬くて食べられない部分を、ニワトリやヤギが食べます。
その排泄物が肥料になり、さらに、土壌に住むミミズたちの排泄物も肥料となります。
これらの排泄物から得た栄養分で土壌が作られ、化学肥料や農薬の力を借りずに、作物を栽培しています。

『オーガニック』という言葉には、単純に、「化学肥料や農薬を使わない」という意味だけでなく、「環境にやさしい」という意味も込められているのです。


オーガニック栽培体験談

環境にやさしいなら、全ての作物をオーガニック栽培にするべきでは?
と思う方もいるかもしれません。
自然の力を借りつつも、災害や鳥、害虫などの作物にとって害となる自然からは、守らなければならないオーガニック栽培は、簡単ではありません。


その1 草抜き

除草剤を使わないので、草の成長はすさまじいです。
植え付けから作物が育つまでの作業の中心は、草抜きです。
適度な草は、害虫除けや自然災害から守る効果を発揮してくれますが、
過剰になると、大切な作物の栄養も奪ってしまいます。

図2 オーガニック とうもろこし

その2 気候との調整

猛暑や、雨が降らない日が続いたり、逆に大雨が降り続いたり、自然には逆らえません。土の湿り気具合や葉や芽などを見て、状態に合わせてお世話をします。

図3 オーガニック カリフラワー

その3 時には、益虫が守ってくれます

図4 オーガニック なすとテントウムシ

その4 食べる時が一番幸せです

図5 オーガニック 料理例

オーガニックと無農薬の違いとは?

『オーガニック』の意味は、何となく分かりましたか?

平成11年に改正されたJAS法に基づき、有機農産物とそれを原料とした加工食品のJAS規格が定められました。農林水産大臣が登録した登録認定機関から認定された、有機農産物の生産農家や有機加工食品の製造業者が、このルールを守って生産した有機食品にのみ、有機JASマークを付けることができます。また、有機JASマークがなければ、これらの食品に「有機」や「オーガニック」と表示・販売することができません。

<参考>
有機食品の検査認証制度:農林水産省(https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html)


では、「無農薬」とは、何を意味するのでしょう?
文字通り、「農薬を使わないこと」だと思いますよね。
じつは、「無農薬」には定義がないのです。

栽培中に、「農薬を使わない」ことは、もちろんですが、土に農薬が残っていたり、近くの畑で使用された農薬が飛散してきたりすることも考えられます。

「無農薬」と表示することは、明確に定義することが難しく、消費者に誤解を与える可能性があるため、現在、表示することが禁止されています。

<参考>
特別栽培農産物に係る表示ガイドライン:農林水産省消費・安全局表示・規格課(https://www.yamagata-nogyo-sc.or.jp/img/H26-0902-guideline-qa.pdf)


『オーガニック』は、「有機JAS規格」を満たせば、「有機」と同様に表示することができますが、「無農薬」には、定義がなく、「減農薬」「無化学肥料」「減化学肥料」と同様、表示することが禁止されているのです。


人気のオーガニック商品には、こんなものがあります。

『オーガニック』の意味を知ると、環境にもやさしいなら、「オーガニック商品」にこだわってみたい!と思いますよね。
では、「オーガニック商品」には、どんなものがあるのか、ご紹介します。

★オーガニックコットン
有機栽培により育てられた綿花を使用して作られます。
具体的には、
・オーガニックコットンマスク
・オーガニックコットンパジャマ
・オーガニックコットンタオル
・オーガニックコットンショーツなどの下着類
・オーガニックコットンのベビー服

などがあります。
どれも、直接、肌に触れるものばかりですね。
マスクの着用がマナーとなった今、「オーガニックコットンマスク」は、特に注目を集めているようです。

※世界的には、綿花の有機栽培に対して「オーガニックコットン」の表示基準を有する機関もありますが、日本では、JAS法の対象外です。
すなわち、有機JASマークは貼れませんが、『オーガニック(有機)』という表示は、可能。


★オーガニックコスメ
有機栽培で育てられた自然由来成分を配合して作られます。
具体的には、
・オーガニックシャンプー
・オーガニックカラー
・オーガニックアロマオイル
・オーガニック化粧品

などがあります。

「オーガニックコスメ」には、食品の「有機JAS規格」のような、明確な基準がなく、100%オーガニック成分でできているわけではありません。
種類も豊富なので、自分の体質や好みに合ったものを見つけてみるのもおすすめです。

★オーガニック食品
「有機JAS規格」を満たした農産物や加工品をいいます。
具体的には、
・オーガニックコーヒーや紅茶、ハーブティー
・オーガニックパスタ
・オーガニックオートミール
・有機酢や有機しょうゆ
・オーガニックチョコレート

など、種類も豊富です。『オーガニック』と表示されているものもあれば、「有機」「有機JAS認定」と表示されたものもあります。

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まとめ
『オーガニック』には、「化学肥料や農薬を使わない」「環境にやさしい」という意味が含まれています。
自然の力を利用する『オーガニック』という考え方は、世界的に取り組まれているSDGs(持続可能な開発目標)にもつながります。

『オーガニック』の意味を知り、生活の一部に取り入れることは、環境を守るために、私たちにできることの一つなのだと思います。

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