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それ自体ご馳走と思えるレンコンに出会ったことがありますか?

無農薬、無化学肥料で栽培された「レンコン」がメーンディッシュになる。
レンコンの未体験ゾーンに、会いに行く。


主役を張れるレンコン


レンコン、ご存知ですよね?

そう、蓮の根と書いてレンコンです。
あの野菜の、穴が開いているやつ、天ぷらや煮物に入っている、

皆さんの普段の食生活で、
レンコンとの距離感って、どんなものですか?

「今日はレンコンが食べたいな」と
思うことってあります?
僕はありませんでした。まずレンコンの味が思い出せなくって

「まあ主役って言うよりは....ねえ」が、共通認識ですよね

僕も、このレンコンを食べるまではあまり、
「レンコンの美味しさ」を想像したことがありませんでした

新潟県五泉市、羽賀農園によるブランド
「KEIKO PRINCESS  OF  LOTUS」

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レンコンのわりにかっこよくないですか?

サスティナブルなレンコン畑へ

羽賀農園のレンコンは、農薬と化学肥料を使わずに栽培されています。
羽賀農園、とは言いますが、基本的に運営は女性代表の羽賀恵子さん一人。
あとは手伝いの方や、季節限定のアルバイトの方で回しております。

なので多くの収量があるわけではありません。

まず、レンコンを無農薬で栽培する生産者は
全国的に見てもほんのわずかです
なぜか?

単純に難しいからです

アブラムシ、浮草...など
レンコン栽培は天敵との闘いの連続なのです
特にアブラムシですね。
だからトライする生産者自体、ほとんどいません。
ここ五泉は新潟の中でもレンコンの一大産地として知られていますが、
無農薬栽培は羽賀さんだけです

羽賀さんも以前は慣行栽培でレンコンをつくっていました
無農薬、無化学肥料に転換して6年目です。

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「私自身、年齢がいくにしたがって、化学合成物質や添加物がいっぱい入った食べ物、農薬がたっぷり使われた農産物なんかが体質に合わなくなって、そういうものを口にすると具合が悪くなったり。農薬や化学肥料を使ったままだと、それが土壌に延々と積み重なっていくわけで、そういうものをずーっと食べていかなきゃならないかと思ったらそれが怖くなったのです」

千葉県で無農薬のレンコンを作っているというベテラン生産者に師事し、
「畑に竹片を撒く」という手法を伝授され、土壌改良に着手しました。

もちろんアブラムシ、浮草との闘いは熾烈を極めます。十分な収量に恵まれなかった年もありました。
それでも土壌改良6年目になって、羽賀さんのレンコン畑は本来の生態系を
取り戻し、様々な生物が棲み付くようになりました。
どじょうが元気に泳ぎまわり、ザリガニが闊歩しています。
ザリガニもあまり多すぎると畑を荒らしてしまうので、簡単なワナを仕掛けているのですが、たった半日でごっそりひっかかっていました。

「ザリガニには本当に参りましたね」と羽賀さんが指さした自宅裏の畑。
「あの一枚(の畑)はザリガニのかげでダメになてしまって」と苦笑いですが、それでも”生き物が戻ってきた持続可能な畑”ができたことに対する満足感がにじみ出ていました。
普通に聞けば畑一枚おじゃんにしたのですから大ごとなのですがね。

もう今年からは竹片も撒いていないのだそうです。
文字通り「無農薬・無施肥」を可能になったのは、
畑の土そのものに本来の力が戻ったためです。

ある人が言いました
「農地は全ての生物にとって晴れ舞台であるべき」

生物の多様性を有する農地で育った作物が
それだけである種の説得力をもつのは確かなのです。


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いざ泥田へ


皆さんはれんこん畑を見たことがありますか?

畑というか、田んぼですね。いや田んぼというより「沼」の方が近い。

深いところだと、小柄な人なら胸まで浸かります。
そしてもちろん、れんこんは水の底にあります。
これをどうやって収穫するかというと。。。。

ポンプでホースに高圧で水を送り、ホースから噴き出す水圧で水底の泥を吹き飛ばしてレンコンを採るのです。
なるほど、考えたものですね。

ただ、本当にレンコンの葉柄は背が高く、しかもうっそうと茂っているので収穫の邪魔になって仕方ないのですよ。これがなきゃ、泥田の中ももう少し歩きやすいし、水底のレンコンも取り出しやすいのに。。。。
なので、実際はこの葉柄をすっかり切り倒してから収穫する生産者が多いといいます。

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もう、地獄の黙示録みたいになってます(ちょっと古い)

羽賀さんが葉柄を切り倒さずに残したままにするのは、水中のレンコンの呼吸を止めないためです。呼吸を活かしておくことで、収穫したレンコンの鮮度に、大いに影響するわけですね。

泥田の中は、ただ歩くだけでもままならないので、ちょっと活動しただけでなかなかの疲労です。

ただ、大人になって腰の上まで泥につかる行為というのは。。。。
潜在的な禁を破る快感があるのか、妙に気持ち良かったりするのです。

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かなり立派なサイズ

30分も泥の中を歩き回ると、けっこうヘトヘトです。
この日の最高気温が35度くらい。日が傾き始めた夕方に入りましたが、
それでも日差しはかなりのものでした。
歩き回っているだけでも、体力ゲージはどんどん奪われていきます。

疲れ切った身体で、ふと上を見上げると。。。。

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蓮がみごとな花を咲かせていました。

ひととき、癒される思いです。

ステーキで味わいたいレンコン

さて、無農薬・無施肥のレンコン、
どんな味わいなのでしょうか?

レンコンの食べ方といえば、
思い当たるのは煮物の具、天ぷらなどの和惣菜。
ぱっと思いつくのはそのあたり。
ちょっと掘り下げても、はさみ揚げや
熊本名物の辛子レンコンくらい。
いずれにしても和のイメージだし、レンコンそのものが
キャラ立ちしている印象は薄いといえます。

だから「レンコンの味って?」と言われても
すんなり思い出せないのでしょうか。

羽賀さんのレンコン畑には4種類程度の品種が混在しています。
8~9月という早い時期に獲れるものもあれば、
冬に入ってから食べごろになるものもある。

早獲れのレンコンの良さは
シャキシャキとした歯ごたえ、瑞々しさだ。
羽賀さんによれば、
「この時期の新蓮は天ぷらが良い」とのこと
噛んだ時の瑞々しさが味わえそうですね。

無農薬・無施肥、
健康な力を取り戻した土で育まれるレンコンは
コクと自然な甘みがあります。

スライスしてオリーブオイルで炒め
塩コショウで味付けすると
たったこれだけで最高に美味しいし、
普通のレンコンと味わい深さの差に気づけます。

旨みがしっかりあるし、甘い。

このオリーブオイル炒めの延長線上にあるのが
レンコンステーキです。

オリーブオイルをひいて熱したフライパンに
厚めに輪切りしたレンコンを乗せて
じっくり火を通す。
レンコンは油と相性が良いですね。
特にオリーブオイル。

ステーキにすると羽賀さんのレンコンが、
いかにレベルが高いかがわかります。

まず味の染みこみが良い。
肉に甘みがある、旨みが濃い。
エグみが全くない(←無農薬野菜の良いところです)。
なんといってもジューシーさがある。

けっこうな厚みでスライスしても、
噛むと歯がスーッと通る柔らかみも、
羽賀さんのレンコンの特長です。

ステーキで食べたいレンコンって
スゴくないですか?
ちなみに僕はこれまで
レンコンをステーキで食べようと考えたことは
一度もありませんでした。

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羽賀さんのレンコンを味わうと
強く感じるのが

「土の健康状態が野菜の食味に確実に伝わる」

ということです。
野菜ってすべてそうなのだろうと思いますが、
農薬を使用しないとエグみがなくなり、
エグみがなくなったら次は、
ちゃんと旨味成分が存在するということがわかるのです。

レンコンについては、
無農薬栽培が特に難しい作物だけに

羽賀さんのブランドが浮き立っているといえるでしょう。

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