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【種一揆】 第二話 「誰も知らない種のこと」

原種・在来種米穀店「いちたね」は、お米の専門家である「五ツ星お米マイスター」のいるお店です。
お米が大好きな私たちがお届けする読み物【 種一揆 】ぜひご覧ください。


原種・在来種とは、何でしょう。
前回の読み物で、普段食べているものがどんな種から育てられたものなのか興味を持ってくださった方もおりますでしょうか。

今回は、「種」のことをお話したいと思います。

「在来種」とは

在来種とは「もともと日本列島に生息していた生物。それぞれの地域生態系の一員」(環境省)と定義されています。

稲について考えてみると、日本の在来稲とは、日本において、自然採種から原始的農業に移行する過程で生まれた栽培種を指すものと考えられます。

アジアでの稲の起源は中国大陸を東西に流れる揚子江の中~下流域とされており、日本には今から3000年ほど前に、様々なルートを通じ、多様な特性を持った稲が渡来民により伝えられたとされていいます。

日本では、縄文晩期に耕作が始まったと言われているので、その頃から日本にあった品種ということになりそうですが、渡来以前の日本では稲が自生(野生)しておらず、 しかも稲作とセットで伝来したことから、厳密には在来稲という種はないことになるようです。

しかしながら、 伝来から3000年という時間経過のなかで地域に定着し、地域生態系の一員にもなっていたことから、 一般的には、近代的な育種により品種改良された稲(改良種)より前に栽培され、自家採種により世代交代をしていた稲は総称して「在来稲」と理解されています。

※原種とは「野生種」または「種子増殖のもとだね」を言います。いちたねでは、現代の品種を生み出す元になった種(後者)の意味で用いております。


在来稲の数

農研機構遺伝資源センター(つくば市)の農業生物資源ジーンバンクには国内外の様々な植物遺伝子資源が保存されており、稲については39,617種(2024年 2月末)が保存されている。そのデータベースから「在来」にカテゴライズされる水稲粳種を検索すると、約 1,000 種あるようです。

下の写真は、2024年2月29日に実際にジーンバンクを訪れた時の撮影可能な場所の様子です。

農業生物資源ジーンバンクの外観
保存されている種
ボトルに保存された種子

在来稲と窒素肥料

在来稲は、低窒素肥料下での栽培に適応しており、肥料に頼らずとも力強く育つ代わりに、いくら肥料を多投しても収量が増えないという特徴があります。
戦後の日本では、食糧難を背景に、さらなる収量性(多収)が求められました。多収を実現するために化学肥料の多投が行われ、弊害としての病害に対しては、化学合成農薬の散布が行われてきました。

低窒素肥料下での栽培に適応していた在来稲は、化学肥料による多肥栽培を施しても茎葉の過繁茂や倒伏により収量増加に結びつかず、淘汰されてしまったのです。

在来種に近い昔ながらのお米

原種・在来種は、その品種が生まれてからその地域や人々によって、守り繋がれてきたものです。

中には、その種子がその品種であるかは、誰から譲り受けたものかをたどることでしかその品種である「確からしさ」を証明できないほど古いものも存在します。

そこで、「いちたね」では、取扱商品の5条件を取り決めています。

その一、 人の手で作られた品種であることを前提に、原種や在来種に近い昔ながらのお米をだけを取り扱います

その二、 農薬・化学肥料を一切使用せずに栽培されたお米をだけを取り扱います

その三、 「五ッ星お米マイスター」「米・食味鑑定士」の資格を持つ店主が厳選したお米のみを取り扱います

その四、 種子の入手先やエビデンスを確認したお米のみを取り扱います

その五、 現地に赴き、つくり手ときちんと話し、米作りの「こだわり」だけでなく、採水地や周辺環境などをしっかり確認したお米のみを取り扱います

https://www.ichitane.com/blog/2024/01/02/122416


現在も販売されているものは種子販売元へ確認し、販売されずつくり手からつくり手へ受け継がれているものについては入手先や系譜などを確認しています。また、「米品種判別検査」によるDNA分析を実施することで確実性を高めています。

なぜこの活動ができるのか

「いちたね」の店主は、五ツ星お米マイスター、米・食味鑑定士として、全国各地を周り美味しいお米を作る生産者を発掘しています。

令和5年産は122軒の農家さんを訪問。北海道から鹿児島まで200種類以上の食味鑑定を実施し、作り手ごとの食味の違いを把握することで、販売店や食関連企業それぞれに適したお米の提案を行っています。

全国のお米の食味コンテストへ審査員として招聘いただいていることもあり、たくさんの生産者さんとつながることができています。

おわりに

戦後の食糧難の時代を越え、現代では環境に配慮した化学肥料や農薬をできるだけ使わない栽培方法も注目されています。
かつて日本人が愛したお米を未来へ繋いでいくだけでなく、これからの栽培方法を模索するためにも見直されるタイミングなのかもしれません。

農薬・化学肥料を使用していない、昔ながらの方法で育種されたお米なら、有機米に詳しい稀有な米屋のECショップ「いちたね」でお取り寄せできます。

出典:
日本の在来稲とその現状 ―ブランド米の祖先品種と現在の状況―/2019 年 12 月 公益社団法人 米穀安定供給確保支援機構 情報部



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