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映画「ひろしま」1953年8月

U-NEXTで「ひろしま」を観た。
戦後まもない1953年、戦争の傷跡がむき出しになった映画だ。白黒映画だからこそ、惨劇に遭った人々の恐ろしさで見開いたままの目が、こちらを凝視してくる。
写真はそのワンシーンである。

絶望の歴史を語り継ぐべきだと私は思っている。
人々が忘れ去りたい残酷な歴史を拾い集めて私は見る、真に絶望した人がこの世にいたことを忘れてはならぬ。

広島に原爆が投下され「70年は草も生えない」と言われた広島の人達の絶望は想像を絶する。
そんな広島の人達に日本軍は「原爆の情報はひれ伏す」として学者の意見を無視して「新兵器に敵対する、臣民に敵対心を持たせて不利な言動はさせない、すべて天皇陛下にささげる」と言い放つ。
なんと愚かなことであろう。

広島原爆投下前から戦況は悪く、さらにひとつの街が壊滅したというのに、戦争を続けた罪は重くその責任は誰もとっていないのではないか。
戦争責任と悔恨がはっきりされぬ、それゆえ戦後まもなく1953年に「また戦争が起きるのではないか」
とこの映画で語られたのではないだろうか。

弁当箱に娘のお骨をいれて抱えるおばあさん、親とはぐれて泣く子供、原爆症で血を吐く人々。
「臣民」の苦しみは無碍にされた。

孤児たちが集まって米兵から恵みをもらうため、
「ハングリー!」を小さい子に教える。
その子は、

「アングリー!」

と言い間違うが。

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が正しいと私は考える。

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