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ああ悲惨、あまりにも不可解

電車の中でも街中でも自分の部屋の中でも目をつぶれば、変わらず荒波が吹き荒れている。どうすればおさまるのだろうか。他の星からの助けはまだなのか。アメーバのような靄が縮んだり広がったりを繰り返しながら、こちらが一向に掴むことのできないような振幅をし続ける。

そうだ、あれは昔は光そのものだったのだ。確かにそこにあり、触れているような感触があった。しかしなぜだろう、今ではとてもじゃないがそうは思えない。いや、より詳細に見えるようになっただけなのかもしれない、きっとそうだ。それならば、あの頃のように遠くから光に目を眩ませながら全体を見ればいいのだろうか。知らぬが仏なのか。今更そんなことができるのか、そんなことが許されるのか。

やはり、そうじゃないんだろう。俺はあの楕円の中心を掴むことができないと知りながら、吸い寄せられるように掴もうと過ぎさせられることを続けるしかないんだ。とは言ってもことはそう単純ではない。相手は無限に伸縮を続けるのだ。俺はおそらく違う銀河であの楕円の中心を掴もうとしなければならないんだろう。異世界における静的なそれらを掴むことで信仰を獲得し、精神世界の楕円の中心に近づく術を見出せるのだ。(ただし、掴み切れることはない。)

そうなるとことは単純で、異世界で探究を続けながら、精神世界と逐一通信を行うこと、これを繰り返すことによって精神と身体の共存が可能になり、波の伸縮をいなすことができるのだ。そして、異世界でしか物事は進まないのだ。これが今俺に最も欠けていることなのだ。精神世界は無重力で無際限で無秩序なのだ。俺の身体は重力に引きずられているのだ。大地を感じずに自由を得た気になるのは危険だ。無限の荒波に耐えられうる者でしかないのではないか。そんなものが果たしているのか。

もう一度言おう。精神世界は無重力だ。ここではいかなることでも可能でああるが、長居は禁物だ。それは異世界では同時に何事もが不可能になることを意味する。「まずは走ってみてはいかがだろうか。そう外に出るのだよ。文字通りね。それによって我々は一度原点に引き戻される。なぜかというと重力があるからね。十分にそれを感じてくれ。そこから異世界に行くんだ、ワープといえばそうなのだが、ここでは原点と同じ重力が存在しているから安心してくれ。そして、そこであの楕円の塊を掘り出すように汗水を垂らすんだ。ここが一番重要だ。from異世界to精神世界と書いてある電線をつなげて、送電するんだ。電源はどの楕円にするのかを決めてからその塊を掘り出す行為だ。そして、これはお願いなのだが、掘り出した鉱石はどうか君の仲間に分け与えてくれないだろうか。というよりもそれを想定してやるからこそ、君は異世界に止まっていられるんだからね。ある意味では当然の行いなんだと思うよ。まあでも君自身は君の行う行為そのものに全てを感じるべきなのだがね。筋書きはこんなもんだよ。物は試しだ、頑張ってくれ。」

good luck! 今日十分に死に切るためにやれることをやり抜くだけさ。対象やカテゴリは重要じゃない。重要なのは行為であり、真価を獲得しようとする愚行であるのだ。目前の修行を黙々とやってみろよ、自分にとっての意義なんてものを考えすぎるな、賢くあろうとするのでなく、無知と欠乏を自覚しながら堕落を受け入れろ。焼け野原の美しさを俺は知っている。


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