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白いお年玉


 クリスマスの終わったサンタは暇なので、白くて長い髭を切った。たくさんの髭が集まって、大きな山ができた。

 そこでサンタたちは友人のトナカイに、丸くて美しい玉を作り、鈴のかわりに首にかけてやった。多くのトナカイは喜び、夜空を駆け巡った。
「そんなに走ってはあぶないよ」
 トナカイの耳には届かない。

 年が明けた日本のある家では、孫が遊びに来て賑やかな正月を迎えていた。
年賀状を取ろうと外に出た婆やは「あらまあ」と空を見上げた。その声につられて爺やと孫のタツヤが顔を出してくる。
「白いおとし玉だね」
 と孫のタツヤがはしゃぐ。
大粒でかたちの整った雪の玉が空からふわりふわりと落ちてくる。タツヤは手の平にのせようと走りまわる、飛びまわる。カバンについていた鈴が揺れる、うたう。

「まるでクリスマスだねえ」
 キレイな音色が、空のもっと遠くに消えてった。

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