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影は幻影.3

桜の海をさまよう、そんな日でした


 その日は桜を求めて、どこまでも歩いていたい気分でした。空気は清浄だったと思います。桜の木には、なにか浄化する装置でも内蔵されているのかしら? どこまでも歩いていると、そこはどこにでもあるような、でもどこでもないような、そんな時空に変質して行きます。迷い込んだ先にはまた桜。でもそれはとても心地の良いことなのです。ピンク色のようで白く、白いようで透明色の花びらたちは、なんの歌を歌っているのでしょう? 私はそっと聴き耳をたてました。


※このnoteは他ブログに令和5年4月5日投稿した記事の転載です。現在他ブログから記事を移送作業中なので、タイムリーではありません。


 風の音がしました。いえ、それは桜の花びらが舞い踊る唄声でした。遍在でした。そして偏在なのです。まるで夏が来ることを悲しむように、もしくは春が去ることを礼賛するように、

 さくらは舞って逝きました。


通りを歩くと、桜を目指して足が路地の奥へ奥へと運ばれて行きます。オートマチックで。
とおくに桜が見えました。遠くても、桜は見えました。
その先には神社があります。神のまにまに。
迷い込んだ桜の先には見知らぬ踏切。そして民家の庭の桜とそして走り去る電車がありました。
桜通りの終わりのころには見知らぬ墓地。お墓には桜。鎮魂のさくらでしょうか?
夏の日差しのような白昼夢のような。 しかし桜。やはりここはまだ春駅のようでした。



カメラの不具合について思うこと。そしてこのフィルムについて。


 ロモのFANTOME8というフィルムは素晴らしくユニークなフィルムなのですが、巻き癖が強く、現像後どんなに重しをつけて乾燥させてもネガがクルリとカールしてしまいます。フィルムをカットした後、ネガアルバムに入れ、重い辞書を数日間のせてみたのですが、巻き癖は取れませんでした。


 それが災いしたのかはわかりませんが、撮影後フィルムの巻き上げに失敗してしまいます。ワインダー内蔵の自動巻き上げ巻き戻しカメラだったのですが、巻き戻し完了表示が出たのでフタを開けてみたら、実際はフィルムが途中で止まっているようでした。急いでフタを閉め、自室でダークバックにカメラを入れて、フィルムを強引にカメラから引き出しました。数枚感光させてしまい、今回の最後の2枚の写真がその作例です。


 そして私は決心したのでした!
 このフィルムはフルマニュアルのカメラでしかもう使わない、と。
 巻き上げも、巻き戻しも手動に限る。ですね。
 みなさまもお気をつけ、あそばせ・・・(なみだ