根性論で生きてきた人にこそ伝えたい、適応障害になった元ワーママの話①
去年まで私は毎日がむしゃらだった。
フルタイムで仕事し、家事・育児をし、大変だけど、なんとかやってきた。
子供の頃から比較的優等生だった私は、
フルタイムワーママとして働いている間、
ずっとこんな言葉を頭の中でつぶやいていた。
「もっと自分なら出来る。」
「少しでも努力を積み重ねて、頑張れ!」
「今までも自分の気合と根性でなんとかやってきた。
成果を出してきた。私なら大丈夫。」
その結果、私はつぶれてしまった。
頭が働かない。活字を読んでも頭に入ってこない。
時折、仕事から帰った後、横になって動けなくなる。
今考えれば、体にこうしたサインは出ていたのに、限界だったのに、
私はまだこの言葉を言い続けていた。
「私なら大丈夫。少し休めばまた起き上がれる。」
本当は休めてなんかなかった。
仕事から帰ったら、家事と育児が待っている。
休みの日はほぼワンオペ。夜は寝相の悪い子どもの向きを変え、
布団を掛ける。横にいる子どもの体を触り、熱がないかチェックする。
ぐっすり眠れるわけがない。私の脳は全然休まってなかったのだ。
なんとかギリギリの状態で保っていた(と思っていた)私だが、
2023年4月に異動辞令が出る。当時、職場は自宅から自転車で5分の近場だったが、遠くなった。車で20分(混んでいれば30分)。
世の中にはもっと通勤時間が長い方はいるのは重々承知だが、
この「自転車→車通勤」「毎日片道15分以上(往復30分以上)遠くなる」
ことでアラフォーの生活リズムは大きく変化した。
ギリギリで保っていた天秤が崩れ始めたのである。
環境が変わるのは、心と体に大きなダメージを与える。
仕事内容は大きく変わったわけではないが、以前のように仕事をどんどん覚えられなかった。記憶力が衰えたのは、長引いたマミーブレインなのか、年齢なのか、なんてへこみながら、数か月経てば慣れるだろうと思っていた。
さらに、正直にいうと人間関係も良くなかった。一緒に働く上司が合わなかったのである。嫌味が多い、何かにつけて文句を言う人だった。
私の心はすり減っていった。
自分のやり方を否定される度に、自分を否定されていく気がした。
その上司に
「この前言ったよね?」「昨日言ったよね?」「さっき言ったよね?」
と言われ続け、途中で気が付いた。
「あれ?私ってこんなに物覚えが悪かったっけ?」
昔から記憶力は良く、社会人になってからも覚えは早い方と言われていたのに。なんでだろう。以前ならしなかった、ちょっとしたミスも多くなっている。
それに気付いた時、スマホで検索をしてみた。
「記憶力低下 頭が回らない」
すると、心療内科のサイトがたくさん出てきた。睡眠不足が原因とも書いてあった。そのとき「夜、私、全然寝ていない…」と気付いたのだ。
異動してから、明日の仕事が気になって本当に眠れなくなっていた。
心療内科に行ってみようかな。
そう思って家から近いクリニックを探したのだが、
まぁびっくりするくらい予約が取れない。
「現在、新規の患者さんの受付は行っていません」
とHPに書いてあったり、電話をしても断られたり。
新規の予約は1か月後がほとんど。
取れても平日の早い時間の診察。えっ仕事なんですけど…。
そうやって調べまくって予約できたクリニックで
「適応障害ですね。仕事を最低1か月は休んで下さい。」
と言われたのだった。それが2023年8月のこと。
※適応障害
日常生活などにおけるストレスから、
不安感や抑うつ気分をはじめ様々な症状が出現し、
社会生活に支障をきたす状態。
就学や就職、転職、転勤、結婚、離婚など
生活環境が大きく変わった際になりやすい。