私とアンドロイド3
自由な街、東京。
他人に関心がない人たち。
それが穂乃果にとっては程よく居心地が良かったのだ。
今日、穂乃果は「行きつけ」の居酒屋「だんごバー」に来た。和風のバー、というコンセプト。
ちょっとおしゃれな一品料理が人気の店だ。
「ちょい飲みセット」を頼めば、安く、ビールとおつまみ2品をゲットすることができる。オシャレな立ち飲み居酒屋というところだろう。
ちょうどいい、と穂乃果は思う。
おしゃれ過ぎないし、こだわりが強すぎるわけでもない。
ちょうど良くいい加減で、お客さんも伸び伸びと騒いでいて。アルバイトの店員さんがおしゃべりをしている。
カウンターの席に座る。
店長のおじさんが穂乃果を見て、ニコッと笑いかける。
「いらっしゃい」
穂乃果の顔を覚えているのだろう。
穂乃果はえへっと笑うと、メニューを手に取った。
「注文は」
アルバイトのお兄さんが来る。
「ちょい飲みセットのー。んー。枝豆と、サーモンのサラダで。」
「はーい。ちょい飲み、枝豆、サーモン」
お兄さんが厨房に向かって叫ぶ。
厨房から元気な声が聞こえてくる。
周りを見渡す。
あっ
この前ちょっと喋った人がいる。えーっと、名前忘れちゃった。汗
確か、趣味でバンドをやってて、今度見に来てよ、って言われたんだった。ベースだっけ。
遠くで、何人かで飲んでるみたいだ。
目が合ったので、穂乃果は笑って手を振った。
向こうも振り返す。
頼んだビールが運ばれてきた。
ジョッキの取っ手を握る。冷たい。
ごくごくごく
豪快に飲んだ。
はーっ
うま!
つい声が出てしまう。
ふと、となりを見ると、さっきまでいなかったのに、男のお客さんが座っている。
ちらっと顔を確認してみる。
おっ、、
これは、イケメン
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