私とアンドロイド6
あはははは!
職場の同期と飲んでいる。マキちゃんが笑う。
マキちゃんの彼氏の田中さんは先輩だ。
「やっぱり穂乃果って変わってるというか、、面白いよね!」
田中さんは感心したように言った。
「うん、私ならできないもん!尾行なんて。」
マキちゃん、そんなハッキリ言わないでよ。汗
まあ、間違ってないんだけどさ。
穂乃果にとってはこの二人の方がすごい、と思う。
職場の先輩と仲良くなってそのまま付き合う。
そして、そのまま飲み会に2人で来たりしちゃう。
それが、まるで普通のこと、のように行われている。
普通のことなのかもしれない、けれど、穂乃果にとっては難しいことだ。
毎日顔を合わせる上に、こうやって夫婦のようにいつもぴったりくっついている2人。
正直、羨ましくもある。
まるで作られた物語のように、2人のストーリーは順調だ。そしてこれからも、きっと順調に進んでいくのだろう。
平凡なストーリー。
「カルピスサワー」
と穂乃果は言った。
はーい、と店員さんが元気よく答える。
マキちゃんと田中さんは酔ってきたのか、2人で体を寄せ合っている。
私はあの男の人のことを考えた。
もちろんこの居酒屋にはいない。
似ている人もいない。
それだけ、あの人は、目立っていた。肌の白さがまるで光っているように、目に入ってきたのだから。
まるで、完璧に作られた、
「アンドロイド」
と穂乃果は言った。
「?アンドロイド・・?」
とマキちゃん。
「そう思ったの。あの人を見たとき。」
私の好みの男がそのまま具現化されたような。
まるで、わたしのために存在しているような、アンドロイド。
「うーん、別に、穂乃果のために存在してるわけじゃないと思うよ?」
とマキちゃんは言いにくそうに言った。
その通り。
でも。
「そうだけど・・」
と穂乃果は口ごもった。
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