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今日のできごと


朝起きた時から気分が沈んでいて、雨だし、そう、すごい雨だし、多分今日はずっとこんな気分だろうなと思って電車に乗った。案の定、そんな1日だった。とりあえず梅雨のせいにしてみたけれど、気分は晴れなかった。

仕事が終わってエスカレーターに向かったら、同じフロアの別会社の人がいた。妙に顔見知りなので、お疲れ様です、と言ったものの会話が無いのが気まずくて、エレベーターをちらりと見た。まだまだ来そうに無くて、耐えかねて、ちょっとトイレ行ってこよう、みたいな、あなたと二人で待つのが気まずいわけじゃないんですよ、みたいな雰囲気を出して化粧室に行った。

気まずさから解放されればそれでよくて、鏡で髪をちょっと整えて、そろそろエレベーター行った頃かなと見計らって化粧室を脱出。エスカレーターに向かったら、今度は弊社の別部署の人が待っていた。別部署の中でもかかわりがなくて、挨拶する程度の人だったからまた気まずくて、それならさっき帰っていれば良かった、と後悔した。

本当は1階で降りたかったけれど、その人と一緒に降りることになるのを避けるべく、途中のフロアで降りた。弊社の入るビルは商業ビルで、珍しいことに途中のフロアに本屋がある。なので、さっきと同じく、ちょっと本屋に寄って行こうかな、みたいな雰囲気で降りた。

でも、さっきの化粧室も、この本屋も、気まずさからその場を去ったことはきっとバレている。空気的に。そういう雰囲気は、相手に伝わるものだと思う。

文庫本を物色していたら、なんだか無性に泣けてきた。泣いていないけれど、泣きたくなった。こんな、くだらない回り道をしている自分への情けなさやくだらなさとか、タイトルは忘れてしまったけれど、目に留まる文庫本の帯が妙に私を励ましてくれている感じとか、他の本屋に置いてなかった作家さんの本があった、という地味な喜びとか、そんなものが、いちいち泣けてくるのだった。

帰りの電車がじわじわ迫っていたので、本はまた今度ゆっくり選ぼうと思って、何も買わずに帰った。本を買う暇はなかったけれど、薬局に寄って新しいシャンプーは買えた。

相変わらず雨が降っていた。家に帰っても降っていた。髪の毛は湿気でもさもさしていて、マスクの下は蒸れて化粧は剥げていて、朝から晩まで気分が落ち込む1日だった。

もう寝る時間になって、ほんのちょっと心が上向きになったような気がしなくもない。気まずさから逃げてしまうことがあっても、挨拶はちゃんとできているから良いや、とか、泣きそうになったら泣けばいいや、とか、そんな単純な思考で別にいいや、と思えてきた。深夜のパワーは時に闇に落ちるけれど、時々すごくあっさりすっきり思えることもあり、謎である。

早く梅雨、あけないかな。天気が明るくならないと、どうも私の気分は明るくなりきれないようなので。

そんな5月20日。


おわり。

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