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私は旅に出た。君は好きにしろ。15

◆能動的に夢を叶え続けること

花の都、パリで宿泊していたのは様々な理由でパリに滞在する日本人が集まる、いわゆる「日本人宿」でした。ワーホリでそこにいる人もいれば、私のようなバックパッカーもいて、ほとんどそこに住んでいるような人もいました。でも、同じ日本人で同じ時期にパリを選んだという共通点は思ったよりもその親密度を深めるのに役に立ちました。帰国してからも、日本人宿で知り合った日本人の友人は全国に散らばり、お互いに近況をSNSなどで確認しながら、遊びに行ったり来たりして継続的な付き合いが続いている旅人がとても多いです。

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そこの宿である日の夜、みんなで安くて美味しいフランスワインを飲みながら一人が言った場所「バルデナス・レアレス」。スペインの秘境と呼ばれる場所、公共交通機関、ほぼ無し(近くの街まで行ってから自転車かバイクをレンタルして爆走すれば行けなくもないらしい)。聞けば聞くほど気になる場所なのですが、そもそも情報が全然ない!ただ、そこで怯むバックパッカー達ではなかったので、5人仲間を集めてレンタカーをパリで借り、いざ、スペインへ!

ヨーロッパの良いところは、ユーロ圏内であれば国境でのパスポート提示が必要ないところ。私たちも車で飛ばしていたら、どこが国境だったのかも知らないまま、気がついたらスペインに入国していました。道中見つけた面白そうなスポットに立ち寄りながら、無事に宿泊先へ到着!その日はAirbnbというサービスを利用して、バルデナス・レアレスの近くの一軒家を貸切で宿泊しました。

翌日からは車で、バルデナス・レアレスへ。そこは半分乾燥した砂漠で、ところどころに大きな岩や背丈の低い植物もありました。走り回り、夜は星空の写真を撮り、まるで映画のワンシーンに溶け込んだかのような広大な景色を眺めながら、私はこうやって、一生地球を遊び場にして生きていこうと決心しました。笑ってしまうくらい単純な思考でしたが、自分を含め人間の力では簡単につくりだせないような雄大な自然に包まれると、つい考えることも大きくなるようです。見えなくなるまでずっと続く道と、360度パノラマの広大な平原、地平線。そこにゆっくりと沈みゆく真っ赤な太陽。空がグラデーションになって、ゆっくりと暗さを増していく時間、勢い良く通り抜ける風。

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その旅がめちゃくちゃ楽しかったのは言うまでもなく、私一人では行こうとさえ思わなかったような場所へみんながいたから行けたことはとてもラッキーでした。行きたいではなく「どうやったら行けるか」を考えることで、想像よりも簡単に夢は実現します。逆に言えば、受動的な夢、他力本願な夢はなかなか実現しません。毎日を幸せにするコツは、自分の力でどうにかできる範囲から、自分を楽しくさせる工夫とアイデアを考えること。そして自分の力でできる範囲で叶えたい夢に到達するために今できる方法を考えて実践していくことだと思います。

私は国際免許証を持っていなかったので車を運転する、という選択肢は旅の中でなかったのですが、仲間をつくることによって一人では行けない辺鄙な地域にも足を踏み入れることができました。旅の中ではたくさんのトラブルが起こりますが、その場で今自分が持っているお金やモノ、スキルを考慮したほうが最善の解決策が浮かぶことなど、想像するのは容易いはずです。つまり、やるまえから必要以上の心配をして、結果的に何も行動しないことほど馬鹿らしいことはなく、死ぬこと以外は経験だと一旦腹をくくってさえしまえば、あとはその時に考えればいいのです。思っているより運命は自分に味方してくれます。

もちろん、だからといって危険が伴うとわかっている行動をどんどんしてもいいというわけではなく、最低限自分の身を守る準備はしておいて、死なない範囲でちょっと背伸びしてみる経験が大事という話。あなたが危ない目に遭うのは自己責任ですが、それによって悲しむ多くの周りの大切な人のことは絶対に頭においておくべきだと思っています。海外で無理な冒険をして最悪自分が死んだとき、責められるのはあなただけではありません。

でも、今あなたが不安に感じていることに明確な理由がないのであれば、漠然とした不安は一旦脇に投げ捨てておいて、実際のところどうなのかを自分の目で確かめるほうが近道です。これは旅においても、人間関係においても、将来の夢に関しても共通すると思っています。ちょっと見てみて危なそうだったら引き返すことは簡単ですが、全く知らない状態で想像だけで不安になるのはもったいないと思います。もしかしてそこにチャンスが眠っているかも。あと、自分には「できない」と決めつけないで。本当に興味があるのなら、ちょっと試してみるくらいは、誰にも迷惑かからないし、素敵な経験になるのではないでしょうか。


私は旅に出た。君は好きにしろ。

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著者:山口夏未
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