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これはカントリー・アルバムではありません。これは“ビヨンセのアルバム”です。Byビヨンセ

Beyonceがニュー・アルバム「Cowboy Carter」を3月29日(金)に発表しました。そして当日にいきなりの告知で13時からビヨンセがサイン会を渋谷のタワーレコードでやるという・・いきなりのいきなりすぎでびっくりですが。ラッキーなファン150名が現在ご本人からサインとハグのプレゼントをもらっているようです。夫と子供も同行で日本に自家用ジェットで来日。これを各国でやるのかしら。それだけ力を入れた宣伝なのかもしれません。おまけに宣伝の車がトラック。これもアメリカのハイウェイを走るトラックの運転手がカントリーを聞く、、から来てるのか実に「らしい」感じで良かったです。

ところで、新譜にはウイリー・ネルソンのコメント、ポスト・マローン、マイリー・サイラスとのデュオ、ビートルズ「ブラックバード」、カントリーの曲として親しまれているパッツィ・クラインの”I Fall To Pieces"の歌から入るラップの「SWEET ★ HONEY ★ BUCKIIN'」などと共に、カントリー界のクイーンであるドリー・パートンの「ジョリーン」を歌っています。私も普段ライブや自分のCDでドリーの歌詞通りで歌っていますし、今までこの歌詞を変えて歌ったシンガーの曲は聞いたことがありませんでした。ビヨンセは歌詞を大きく変えてます。これにはアメリカのカントリーファンの間では意見を出してる人たちもいるようですが、歌詞の内容的には同じ意味であり、現代のビヨンセ風の歌詞に変えられています。ビヨンセは確か以前、夫のジェイ・Zの浮気を咎めた歌を歌っていましたが、(2016年の”レモネード”)今回もそれを思い出させるか、それとも全ての女性に牽制をかけているのか、、と思わせるような、「私たち夫婦は20年も共に生活し、子供を育ててきてるんだから私たちの間に割り込まないでよ。撃たれたくなかったらそばに来ないでよ。」という歌詞に書き換えられています。オリジナルの歌詞はそこまでの設定ではなくむしろ相手に懇願するような歌詞であり、ビヨンセは宣戦布告と取れるような強い女。そこを分かった上で聞くと楽しいかもしれません。そしてウイリー・ネルソンのコメント的な音が盛り込まれたり、マイリー・サイラスとのデュエットもあったりでこの辺りはカントリー界の押さえるべき人をきちんと味方につけてる感じもします。何よりマイリーは自身が幼少時代から芸能の世界に翻弄されて生きてきた怒りをよく歌に表し、ビヨンセも自身のルーツへの怒りと主張を今回表しているなら二人の音楽への方向性に重なるところも多いのかもしれないと思いました。かっこいいデュエットを歌っています。

そしてご本人のコメントとして「これはカントリーアルバムではなく、ビヨンセの音楽である」とコメントがあるように彼女自身が生まれ育ったルーツのサウンドと彼女が感じてきた言葉が歌詞になってアルバムが作成されているので、”必ずしもカントリーアルバムではない”と思います。結局のところ、一番最初の「カントリーアルバムを出すわよ」と先行シングルを出してラジオで話題に取り上げられ、音楽業界をかき回したところで、(私はアルバム全体が全部カントリーじゃないだろうなと思っていたのですが)案の定やはり、「カントリーを聴いて育った私自身のルーツ音楽なのよ」というところが今回のコンセプトで、上手なプロモーションだったのではないかと思います。
あえて言うなら、先行シングルの「TEXAS HOLD ’EM」だけカントリーかな。私は今回のアルバムでは、「YA YA」が一番彼女らしい歌声でいい曲だなと思いました。

しかし、彼女の生き様とルーツを主張する歌の歌詞には、大人からの虐待やピストルが歌詞に出てくるあたり、日本でのんびり育ってきた日本人の自分にはあまりにもかけ離れていて、彼女のルーツである”人々”の生活がいかに大変で今もなお困難が多いかもしれないのだと思わされました。これだけ考えて練られたアルバムですから今年はグラミーでアルバム賞を取って欲しいです。

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