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第24回 日常生活に「祈り」を取り入れる効果とは?

「祈り」と聞くと、皆さんどういうことを思い浮かべるでしょうか。

「神様、わたしの願いをかなえてください」と願う人もいれば、

「毎日健康でおいてもらって、ありがとうございます」と感謝する人もいれば、

「どうしてあんなことをしてしまったんだろう、すみませんでした」と懺悔をする人もいる。

思い浮かべるものは人それぞれだと思いますが、今日はこの「祈り」について考えてみたいと思います。

現代に生きる私たちは病気になったら、病院に行きますよね。

そこでは自分の身体の中でなにがおきていて、どうすれば治るのかを教えてもらい、実際に治療をしてもらえるんです。

しかし江戸時代の中ごろまでは、病院もなければそんな知識もありませんでした。

争いや飢きん、伝染病などがたびたび起こるけれど、病気になっても貧しい庶民がお医者さんを呼ぶということはほぼできなかったそうです。

そのため病気になっても自分の体の中で何が起きているのかよくわからない。治るという保証もどこにもない。

健康面ひとつとってみても、人々はいまの時代よりもずっと「不安」だったことでしょう。

その当時の人々が「安心」をもとめて、神様や仏様にすがったというのも、なんとなくうなずけますよね。

おやさまは江戸時代に「庄屋敷村の生き神様」といわれて、あそこに行けば病気が治るらしい、と噂になりました。

そこで沢山の奇跡を見せて頂くわけですから、人々は驚き喜び、熱心にお願いごとをしたわけです。

わたしたちも神社にいくと、「合格祈願」とか、「家内安全」というお願いをするので、「神様に祈る=お願いごとをする」ことだと思いがちですよね。

しかし、おやさまはそれに対して、

「一方的にお願いをしたらたすけてくれるという都合のいいものではない」

と仰っているんです。

それよりもこの世界は「心受け取って、心通りの与えを渡す※1」ところであるので、一人一人が「価をもって実を買う」ようにと言われたのです。

つまりポジティブに生きれば前向きな現実が返ってきて、ネガティブに生きれば後ろ向きな現実が返ってくる。わたしたちのつかった心(価)が、そのまま現れてきてしまう(実)世界なんですね。

さらに「どんな理でも日々に皆受け取る」といわれますので、どんなにつらい環境でも、どんなに幸せな環境でも、ただじぶんが使った心の通りに人生が現れてくるんです。

とある先生のお話に、「一日1時間祈りを捧げることも素晴らしいけれど、この世は心通りの守護であるから、それよりあとの23時間をどう過ごすかが一番大切なんだ」と聞かせていただいたことがあります。

そうはいっても、

高山のをけにハいた水なれど てバなハにこりごもくまぢりで(二 25)

と教えて頂くように、いまだ未熟なお互いですから、時には負の感情が湧き上がってきたり物事を考え過ぎたり、頭の中がごちゃごちゃになってしまうこともあるんです。

中には毎日のように、イライラもやもやして暮らしている人もいるかもしれません。

では私たちがそうしたネガティブな思考をしているときなにが起こるのか、具体的に考えてみたいと思います。

たとえばみなさんがスマホで映画を見たり、ゲームをやると、電池の減りが早くなりますよね。

これは処理する情報が多くてパワーを使うからなんですが、私たちの脳のなかでも、それと同じようなことが起きているんです。

私たちがストレスを感じた時、「負の感情」が起こります。すると脳は理性でそれを抑えようとして「思考」を始めます。

そのためストレスがかかる環境にいると、「思考」が繰り返し湧き上がって来て止められなくなってしまう、ということが起こります。

これを思考の「反すう」といって、これが疲れの原因になるんです。ひとたび反すうがはじまると、なんと脳の60~80%ものエネルギーを消費してしまうそうなんです。

同時に血圧が上がったり筋肉がこわばったりするので、身体にもおおきな負担がかかります。

つまりネガティブな思考をすればするほど、心も身体もどんどんエネルギーを消費してしまう。しんどくなってしまうのです。

また心通りの守護ということを考えたとき、周りに集まってくる人もネガティブな人ばかりを引き寄せ、起こって来る現実もネガティブなことばかりを引き寄せてしまいます。

いくら現実がつらいといっても、ネガティブ思考ばかりしていては、自分もしんどいし運命も悪くなってしまうのですね。

それに対してポジティブ思考になると、いいことばかりなんです。

最近の脳科学によって、ポジティブ思考が長期間続くと、脳内のエネルギー消費が抑えられて疲労感が減るうえ、安眠効果があることが分かっているそうです。

さらにそうした状態が続くと脳が変化して、よりストレスに強い脳になることがわかってきました。

また心通りという面では、ポジティブな思考をもって明るく前向きに過ごすところに前向きな人を引き寄せたり、前向きなことが起こってきます。

ほこりまみれのネガティブ思考から、陽気なポジティブ思考に切り替えることが、人生を明るくする秘訣だということなんですね。

ではどうしたら、ネガティブ思考からポジティブ思考に切り替えていくことができるのでしょうか。

ここで今日のテーマである「祈り」が登場してくるわけなんです。

先ほど、「願うだけではかなわない」という話をさせていただきましたが、祈りのそもそもの語源は、「感謝すること」なんですね。

作家の小林正観さんは、神社仏閣は「何々してください」とお願いするところではなく、今の自分がいかに恵まれてありがたいかを「感謝」しにいく場所だといいます。

なぜかというと、「この世は神のからだ」と教えて頂くとおり、神様とはこの世界そのものですから、私たちは神様の体のなかでうまれ、暮らしているようなものです。

神様から見たら、じぶんの作った世界にかわいい子供たちが一生懸命暮らしているわけですから、親としてできるだけ子供が困らないように、あれもしてあげよう、これもしてあげようと、精いっぱいのことを与えているわけです。

ただ、同じだけ与えていても、受け取る人間の反応は様々です。「たったこれだけか」「こんなものはいらない」と感じるものもいれば、「ありがたい」「おかげさまで」と喜ぶものもいるわけです。

つまり起きてきた現状を喜ぶのも、不満に思うのも、その人の心次第なんですね。

キリストの言葉にも、「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。これこそキリスト・イエスにおいて、神があなたがたに望んでおられることです※1」というものがありますが、

これだけ与えていただいて「恩」があるのに、さらにその上で「ああしてほしい」とか「こうしてほしい」ばかり言っていては、ずうずうしいですよね。

与えていただくことに対して「ありがとうございます」と感謝をして通ることが、人間にとって一番理にかなった姿だとわたしは思います。

そしてこの「感謝」を持って生きることの効果が、最新の研究によって実証されてきているんです。

最近「ニューヨーク・タイムズ」紙の記事で、「人は感謝を習慣化することができ、感謝が高まるほどに幸福度が増す」という研究結果が掲載されました。

神様や周りの人に感謝をする習慣がある人、つまり「ありがとうございます」「感謝しています」「おかげさまです」という言葉を日常的に考えたり、使ったりする人ほど、日常に幸せを感じているそうなんですね。

さらに脳科学の分野でも、感謝をする習慣がある人ほど「不安」が解消されやすくなるということがわかってきました。具体的にはネガティブな思考の反すうが減り、脳が疲労状態から回復するそうなんです。

この世界で起きてきたことは、神様が精いっぱい与えて下さっている姿。つまり「神様の愛情」によって起きて来るんです。

その「与え」を喜んで、感謝する習慣をつけることが、ネガティブからポジティブに切り替えていくコツだということができるんです。

今日のキーワードは「神様の愛情」

わたしたちは人間ですから、ときには湧き上がってくるネガティブ思考に振り回されて、つかれ果ててしまうこともあります。

かくいうわたしも気を抜くとすぐにネガティブな気持ちが出て来るんですが、この世界は「神様の愛情」なんです。

だからなるべく感謝できるところを探して、「ありがとうございます、感謝しています、おかげさまです」という言葉を意識的に使うようにしているんです。

そういう視点でじぶんの周りを見渡したとき、意外と恵まれていることに気が付きます。喜べることって、探せば結構あるんですね。

現代社会に生きるわたしたちは、どうしてもネガティブになりがちですから、意識的に感謝をするようにして、みずからポジティブに切り替えていきましょう。

まずは心の中で感謝することからはじめて、進んではなるべく感謝の言葉を出すようにして、さらには恩返しのために行動を起こしていく。

それが人間にとっていちばん理に叶った姿ですので、心も身体もリフレッシュすることができて、どんどん楽になっていくんですね。

さらに心通りですから、その謙虚でポジティブな心のとおりに、天からの与えも変わってくる。神様も喜んでくれる姿なんです。

感謝の祈りのある生活を、ともに送らせていただきましょう。

※1「教祖より聞きし話」高井猶吉(道友社新書)p58 心次第の道
※2(新約聖書 テサロニケの信徒への手紙Ⅰ 5章16-18節)

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