ピンクと書けない憂鬱
4.11
一瞬の春の雨嵐で、
ピンクは一気に舞った。
張り付いてきた数枚が、
ピンクの水玉模様を作っていて、
ビニール傘が一気にお洒落になった。
無垢なコンクリートの上につくられた
ピンクの絨毯たち、
水面にゆらゆらと浮かんで、川と流れていく
ピンクの集合体。
その1枚の花びら花びらを見つめていると、
「最後まで美しいでしょ、私たち。
ちゃんと見て、最後の姿まで私たちを愛して。」
とでも言っているようで、
儚くて美しかった。
私はもしかしたら、顔を上げた先に見る満開の桜よりも、
散った桜のほうが好きなのかもしれない。
私は「なつのこ」の名の通り、夏生まれの生粋の夏っ子である。
冬は、気温が低い、寒いというだけで毎日心が参ってしまう。
反面、あったかい季節になると基本ベースご機嫌。「いい気分だなぁ」と思う回数がビックリするくらい増える。朝起きても道を歩いていてもお風呂上がりでも。
先週くらいからやっとこさ春が訪れ、
そんなことを思う毎日。
だが、今日もいつも通り、
大学に向かい、三限だけ受けて、
いつもの喫茶店に来て、
椅子に腰を下ろしてふと、私は気づいてしまった。
「最近書けてない」
noteにエッセイを書き始めた当初は、
書きたいことに溢れていて、毎日書いては投稿していた。「書くの楽しい!意外と書けるかも!」なんて投稿もして、数ヶ月がたった今、
こまり果てている。
書き方を忘れてしまった。
そして、なにより一番の問題点は、
書く為に生活の中で感じていたことが最近感じられなくなっている。
春なんて一番何かを感じられる季節ではないのか。新しい環境、あたらしい人間関係、芽吹く木々たち...
私はここ数日、桜を見た時でしか、言語化できるような"何"かを感じなかった。
心に余裕がないわけでもないのに、
自炊も続いているのに、
毎日湯船に浸かれているのに、
ちょうどいい生活を送れているのに、
感性が鈍くなっている。
うーーーーーん、唸る。
そういえば最近、肌の調子がすこぶる悪い。
元々敏感肌で乾燥しがちの我肌だが、
花粉のせいか、かゆくて仕方ない。
うーーーーーーーーん、本日二回目の唸り。
これが四月病とやらか〜〜〜
ごくりとミルクティーを飲み干して、何も解決していないまま、喫茶店を後にした。
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