【旅行記⑦】鉄道を間違えるも、おじいちゃん車掌が助けてくれる。パリの中心で弟の結婚報告を聞く。
楽しかったブリュッセル滞在も終わり、今日はパリへ移動する日です。使うのは再びTHALYS(タリス)。今回の旅はそう長くなく、1時間半ほどで到着する予定です。
とはいえ、何があるか分かりません。早朝に起きた私は、1時間半前にブリュッセル中央駅へ行き、スターバックスでちょっとした仕事を進めながら余裕をぶっこいておりました。
この時点で「あれ?」と思った方、ベルギー在住でしょうか?ええ、その通りです。
タリスが停まるのはブリュッセル中央駅(Bruxelles-Central)ではなく、ブリュッセル南駅(Bruxelles-Midi)なのです!
何を勘違いしたのだか、違う駅で余裕をぶっこいていた私。同じ時間に発車する鉄道があったのも良くなかった。いや、すべては私のせいですが……。
「行き先表示はパリじゃないけど、まあ、途中から名前が変わるんだろう」とぼんやり乗り込んだら、ブリュッセル南駅で「回送」に切り替わってしまったではありませんか。
これはおかしい、何かが起きている。そう悟り、チケットを見直してやっと自分の過ちに気付いたのでした。1時間半もスタバで何やっとんねん。
しかし、嘆いても仕方がありません。とりあえずタリスのinfoを探し、どうにか交渉しようとします。ところが、なぜかinfoは閉まっており、誰一人スタッフがいません。
「オープン時間って書いてあるのに」と戸惑い、さらに大きなinfo(すべての鉄道会社が集まっている総合受付)に駆け込むも、同じく戸惑っている旅行客がいるのみ。ストなのか、サボっているのか、単に受付時間が変わったのか知りませんが、誰か助けて!
しばらくそこで待ちましたが、スタッフがやってくる様子はありませんでした。次の便が15分後に迫っていたので、諦めて車内で交渉することに決めました。(ヨーロッパにも慣れたものです。)
プラットフォームに上がると、次の便を担当するであろうタリスの車掌さんがいました。優しそうなおじいちゃんです。
まさに「🥺」な顔をしながら、駅を間違えてしまったこと、追加料金を払ってでも良いので次の便に乗りたいことを伝えると、「なんてかわいそうな。本当は別料金が必要なんだけど、なんとかするから、(目の前の号車)あたりの席に座っておいで」と言ってくれました。とりあえず乗車は許可されたことにほっとします。
列車が到着し、言われたとおりの場所に座ります。チケットをチェックする車掌さんは先ほどと違う方で、列車を間違えたことを伝えると、「これは変更不可の早割チケットだから、別のチケットを買わなきゃダメ。75€(約11000円)だから、次に回ってくるまでに支払いの用意を」と言われてしまいました。痛い出費ですが、私のミスです、仕方がありません。
しかし、しばらくするとおじいちゃん車掌が登場。「このmademoiselle(お嬢さん)とはさっき話したからいいんだ」みたいなことを言ってくれ、追加料金を払うことなく乗車させてくれました。なんてありがたいのでしょう。
車掌さんにお礼を言い、無事に列車はパリ北駅へ。降りる前にもう一度お礼を言いたかったのですが、再会は叶わず。深謝しながら、パリの地へと降り立ちました。
さて、今回泊まるホテルはOdéon(オデオン駅)の近くです。行き方を調べたところ、RER(鉄道)とメトロで行く方法があり、メトロのほうがかなり近くまで行けることが分かりました。
ガイドブックなどを見ていると、メトロは治安が悪いので観光初心者にはおすすめしないと書かれています。しかしこのスーツケースを持ってたくさん歩くのは避けたい……。そこで、思い切ってメトロに挑戦することに。
そんなメトロに乗った感想ですが、結論からいうと、確かに治安はそんなに良くないのだと思います。あちこちに「監視カメラで見ているぞ!」みたいな張り紙があり、改装工事も進行中だったので、ベースはそこそこ危険なのでしょう。
しかし、それよりも大変だったのが、そもそもの運転の荒さです。「もういっぺん教習所に行ってくれ」と言いたくなるような急アクセル・急ブレーキ・急カーブ。GTA5ですか?
アトラクション並みの運転に抗い、スーツケースを人にぶつけまいと抱え込んでいたら、ここでも優しい方が助けてくれました。「anglais(英語)は話せないの、ごめんなさいね」と言いながら、身振り手振りで私をなんとか安全地帯に誘導してくれます。「そっちのドアのあたりにいなさい、そこなら揺れないから」みたいなことを言ってくれているようです。
お言葉に甘えて、背の高い彼女のおなかあたりに隠してもらい、「Odéonに行きたいの」と聞いてみます。「Odéonね。私はCitéで降りるから、その2駅先で降りなさい」と教えてくれた彼女は、Citéに着いたあとも「2駅先よ!」と念押ししてくれました。本当、この旅では人に助けられてばかりです。
無事にOdéonで降り、2分ほど歩いてホテルへ。
到着したのは12時ごろで、チェックイン時間は15時だったので、大きなスーツケースだけ預かってもらって市内をウロウロすることにしました。
とくに目的地は決めず、光の加減がいい感じのところを目指してフラフラ。
せっかくのパリだし、いっぺんくらいレストランに入るか、とトライしてみると、アジア人御用達の「柱の奥の席」へと通されました。
めっちゃいい笑顔でナチュラルにやるねえと思いつつ、こちとら京都に5年住んどんねん、このくらいのことでめげへんよ、と堂々たる私。郷に入っては郷に従え、「Bonjour」以外ロクにフランス語を話せない私が悪いのです。
食事はとても美味しく、ロゼワインと合わさって最高の気分にしてくれました。パスタが13.5€(約2000円)、ワインが5€(約700円)くらいだったかな。
お会計を待ちながらぼんやりしていると、弟からLINEです。
急だな。さすがは私の弟だわ。
驚きながらも店を出て、LINE通話で話を聞きます(字義通りの「電話」がいらないなんて、いい時代になりました)。ごくプライベートなことなので詳しくは書きませんが、結婚をすすめてくれたのはむしろあちらのご両親だそうで、そこはひと安心です。
みじかく祝福の言葉を贈り、機会を改めて相手の女性にもご挨拶させていただくことに。こりゃパリ土産が必要だな、と改めて思った次第でした。
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とっても嬉しいです。サン宝石で豪遊します。