必殺目つむりの術

【チャンさん年少の頃】

夕方、足らないものを買いに近くのスーパーへ行こうとすると、チャンさんが『ぜったいに、モールじゃないといやだ。』と言い出す。

「もう遅いから近くのスーパー！！」と私が断言し、自転車に乗ろうとすると、そこから『いやだいやだ』の大絶叫。

こりゃ何事だ？と心配して、お向かいのWさんが出て来てくれる。

事情をWさんに説明すると、まずい…わがままがWさんにバレた…！！という風に、顔をしかめて両目をガッシリとつむるチャンさん。

それを見て、Wさんと私は大笑い。

立ったまま寝たふりを決め込むチャンさんの姿にもはや根負けして、抱き上げ車に乗せるが、それでもずっと目をつむったまま…。

いつもはWさんのお見送りに大喜びで手を振るくせに、今回はあからさまな居留守状態…。（ぼくは何も見えていません的アピールを決め込む。）

「ありがとうございました。」と私がWさんのお手振りに応え、車を発車。

…そして、Wさんが見えなくなってきたころ、チャンさんがパッと目を見開き、人差し指を立てて一言。

『モール、だからねっ！』

おのれっ…！！

念願かなえたチャンさんは、便器の形をした容器に粉と水を入れてジュースを作るという何とも珍妙なお菓子をゲットし、大変ご満悦だった。

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