泣かない強さではなく、泣けない弱さだったんだよ
三浦春馬さんが自死を選んでから、「なぜ」ばかりを問いて、彼の心境を想像していた。
"器用すぎて、不器用だった人"
これは、彼が映るYou Tubeにあった印象に残るコメントだった。
彼の感じていた感情は、自分にも当てはまる所がとても多く、「彼の選んだ自死」は、とても他人事とは思えなかった。
彼の過去の経験を調べ、過去に彼の感じた感情を想像した。
すると、胸が痛くて、無念でならなくて、今でも涙が止まらない。
三浦春馬さんの私情はよく知らなかった。
だが、過去の幼少期の家庭環境を知り、心が痛くなった。
母親の勧めで芸能界に子役としてデビューしたみたいだった。
その後、順風満帆な俳優活動に見えた19歳の春馬さんが、「芸能界を辞めて農業をやりたい」と母親に言ったところ、反対され、それから俳優を続けていたようだ。
しかし、春馬さんが母に高級マンションを購入していたり、母親は宗教信仰などで、金銭的な部分を春馬さんに頼り切っていたみたいだった。
その母親は、過去にスナック経営や風俗勤務をしていたとネットにはあった。(どこまで本当かはわからないが)
彼が「生きづらさ」を感じ続けてきたのが、痛いほど伝わってきた。
子供の頃から芸能界にいると、周りと違う"生きづらさ"もあっただろう。
"親に愛されたと感じることが少なかった"という体験によっても、誰にも弱みを言えなくて生きづらかっただろう。
身内の反面教師で生きてきていたからこそ、執拗なまでに自分に厳しく、不安定な母に愛されるためにも、自分の本心を隠しつづけたのだろう。
彼が「誠実で、真面目で、努力家だった」と言われ、そう生きるよう努めてきたのは、一番親しい人に「誠実で、真面目に、努力をして接してほしかったから」なのだろう...
なぜなら、人は「自分がしてほしいこと」を人にするからだ。
その姿が自分に重なり、最後にリリースした曲を何度も何度もループして聴いていた。
この曲は、私を惹きつけて止まなかった。
"壊れたことがあるのに、人から見たら決して壊れたことのない心"が想像できる歌詞だったから。
彼の抱えていた感情から、目を逸らしたくなくて、感情移入しすぎるくらいしていた。
彼に対するコメントの中で、カンに触るものもあった。
「優しすぎる人間ほど、自分を追い詰めて死んでしまうなんて、悲しすぎる。」
そういったコメントが目についた。
私は、「優しい」という言葉が違和感だった。
なぜなら私自身が、普段から「優しい」を使うことを好まないからだ。更に、「優しい」とは至極"主観的"なコメントだからだ。
私は、「優しい」を使うというより何より、"主観的"なコメントが嫌いだと改めて思った。
「優しい」の基準は人ひとりひとり異なったものを持つ。
だから、『そんな陳腐な言葉で彼を表現するのは、やめて欲しい』と思った。
自死を選んだ彼の意志を尊重すると同時に、
『どうしたら自死を選ばなかったのだろう。』
と、果てしなく感じるくらいに考えていた。
幼少期の「痛み」は、大人になったときに、人とコミュニケーションを取る上で間違いなく障害になる。
彼の最後の曲を聴いていると、過去の「痛み」が彼を"器用な人間"にしてきたのだと思う。
過去の「痛み」によって、
「居場所がない」
「自分は愛されていない」
「自分は人より劣っている」
「自分には生きる意味がない」.....
すると、
「居場所を作るため」
「愛されるため」
「人より優れるため」
「生きる意味をもつため」.....
こうやって躍起になって、"ないもの"、"欠乏しているもの"を得ようとする。
こうして隠すつもりがなくとも、今の自分を否定しながら"ないもの"を手に入れようとするのは、"隠したい部分"をすべて隠しているのと同じだ。
その結果、誰にも言えなくなる。
彼が誰にも真実を伝えることができなかったのは...
"誰も疑わない笑顔"を振りまくことができたからだろうか。
周りが誰も、"誰も疑わない笑顔"を疑えなかったからだろうか。
彼が完璧を追い求め、自身に課したハードル(決まり)が高すぎたからだろうか。
「彼は、努力家で才能ある完璧な人間だ」と、周りがハードルを上げたからだろうか。
─それとも、
この世界が「真実」に敏感すぎる一方で、「虚偽」にはニブいからだろうか。
もちろん、これに答えなどない。
自分の中に存在することが真実だ。
それ以外は、真実でもなんでもない。
「真実」は痛みに直結するため、人は皆「真実」に敏感すぎるのだろう。
だから、「真実」を「見たくないもの」「さらけ出したくないもの」としてすぐさま認知して、言わせないよう、無意識に拒否しているのではないだろうか。
三浦春馬さんが亡くなってから、そんなことをぐるぐると考えていました。
絶望してこの世界からいなくなってしまうのは、悲しいことなんだな、ということに改めて気づけたような気がした。
読んでくれてありがとう、ではまた!
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