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作り手こそが、誰よりも作品のファンであれ。

『おっさんずラブ』が私に与えてくれたのは、つらく苦しい日々を生き抜くための束の間の癒しとときめきだけではない。

良い作品を作るクリエイターと、そうではないクリエイターの違いだ。

良い作品は、「誰よりも作品のファンでいる」クリエイターによって生み出される。つまり、作り手こそが作品のTO(トップオタ)であり重課金勢であるべきなのだ。

おっさんずラブを見ていると、監督をはじめとした制作陣や演者さんたちが、誰よりも楽しんで作品づくりをしているのが伝わってくる。

見て、この現場の温かい雰囲気。今からアドリブすっぞ〜!みたいなわちゃわちゃ感。(私は6年間女子校に通っていたが、女子校の休み時間でもこんなわちゃわちゃしてなかったぞ…?)

それと、これ。まっしー(眞島秀和さん)をみんなでいじってるのがたまらなく面白い。

作品づくりにおいて、苦しさや挫折を味わう場面も多々あるとは思う。しかしそれでも、「楽しい・面白い」という感情が何よりも優っている状態で、作り手側全員が作品に愛を注ぐ。

これこそが、ドラマに限らずコンテンツを作る際に最も大切なことだと私は思う。

私は今編集の仕事をしているが、前にいた編集部でも今の編集部でも。上司や先輩から「あなたが心から楽しめる仕事をしなさい」と言っていただくことが多い。

「このワードがトレンドだから今取り上げたらYahoo!ニュースに載るかも」「この映画が公開になるから、取材できたらPV取れそう」

こういう外発的動機付けによる企画も、もちろん編集職たるものしなくてはいけないこともある。

でも、なんとなくの体感でいうと、結局自分がノリノリになれなくて、ちょっとやそっとのことで諦めてしまったり途中で手を抜いてしまったりして、良質なコンテンツを生み出せない。

おそらくそれは、見てくれる人にも知らずうちに伝わっているのだろう。

「ただ数字のために」頑張ってきたのに、本末転倒に終わる。

だから、どんなことがあっても「楽しいから」と全力を注げたり、「ずっとやりたかった仕事だから」と諦めないほどの執着にも似た強い愛があったりすることが、良質なコンテンツを生み出すのに欠かせないのだろう。

おっさんずラブを見て、多くの人に愛されるコンテンツ作りの真髄を学んだ気がする。

ありがとう、『おっさんずラブ』に携わってきた皆さま。

リターンズからのリターンズも、期待しています。


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