注目SaaS企業のバリエーション一覧
先日、カオナビ、スマレジ等エモみのあるSaaS企業が上場したので、過去3年でIPOしたSaaS企業のバリエーションを調べてみました。上場企業はPER(時価総額÷当期利益)で見る場合が多いですが、SaaS企業においては上場企業でも利益ベースではなく、売上ベースのPSR(時価総額÷売上高=ARRマルチプル)で評価されるようになってきました。
<結論>
■PSR(時価総額÷売上予想)で10倍超の評価には、30%以上の売上成長率が投資家から求められる。PERはほぼ見られていない
■現状の上場企業で見ると結果的にHRTechやFintechなど対象顧客企業の多い会社の成長率が高い(図1と図2の比較)
■カオナビ→リクルート、チームスピリット→Salesforceといったように、売上成長スピードを加速させる販売体制の構築がポイント
■昨今調達しているようなバーティカルSaaSが今後は高成長SaaS企業として出てくると注目
売上成長率30%以上の図1の企業群では、今期売上予想ベースのPSR(時価総額÷売上高)で10~16倍、来期売上予想ベースで8~12倍程度です。(ユーザベースはPSRが低いように見えますが、買収の影響があります)
(図1)売上高のCAGR(年平均成長率)が30%以上の企業群
リクルートのAirレジのように後から殴り込みに来るパターンもあるため、プロダクトの優位性というより営業チャネルの構築でいかに売上成長率をキープするかというのが大事です。ユーザベースや、マネーフォワードのように上場しているからこそM&Aを活用して高い売上成長率をキープするのも高い評価を得るポイント。
次に、売上成長率10~30%の企業群である図2は、たまたまですが、バーティカル系&資本構成でVCが入ってない場合が多いです。どの会社も利益は出ていますが、売上成長率としては図1群よりは低くため、PSRの評価も一部を除いて低めになっています。売上高の絶対額も小さいですね。
(図2)売上高CAGR(年平均成長率)が10~30%の企業群
昨今の資金調達リリースではバーティカルSaaSの大型調達が目立っており、今後こういった企業の上場が増えるのに期待しています。バーティカルSaaSでも、①TAMが大きい、②月額課金以外にトランザクションに対するテイクレート(GMVに対する手数料数%)を取りやすい場合にはプレミアムが乗りやすい印象を持ってます(成長率が高いのが前提ですが)。
簡単ですが、今日はこの辺で。
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