根岸奈津美

noteは個人の感想です。 Tech系スタートアップでCFOをしています。 2021…

根岸奈津美

noteは個人の感想です。 Tech系スタートアップでCFOをしています。 2021年までのnoteはVC時代のものです

最近の記事

Podcast業界の変遷

Radiotalkに投資しているSTRIVEの根岸です。3月19日に、IVSという招待制のカンファレンスの【これからの音声テックの話をしよう】でモデレーターをさせていただきます。 前回音楽ストリーミング業界に関して書いたのですが、その続きで、最近Podcast業界についても調べていたので、このタイミングで公開してみます。音楽以外の音声コンテンツが今後どうなっていくかを考えるときの、前段の今までの業界の流れについて書きました。今後の音声テックに関してはぜひIVSのセッションを

    • 音楽ストリーミングサービスの変遷

      2020年夏にRadiotalk出資にかかり、音楽のストリーミングに関しても調べていたのでメモを公開します。なぜ今なのか、先日SpotifyのIRイベントStreami Onで色々なアップデートもあり、状況も変わってきそう、というのもありますし、今はギフティングやオンラインライブなど新たなマネタイズ方法やコンテンツが出てきており、周辺市場はまだチャンスがあるのではと思っています。 音楽業界の人ではないので、もしかしたら勘違いなどもあるかも‥間違いやご意見などあればぜひ教えて

      • チャレンジャーバンクの理解①市場環境と強み

        この前編ではチャレンジャーバンクはなぜ伸びているのか、ということを書いています。チャレンジャーバンクは2011年ローンチのSIMPLEからはじまり、本格的に拡大しはじめたのは2018年でした。拡大まで時間がかかった背景や、成長のポイントについて調べはじめたものの、国によって既存銀行の提供サービスのクオリティや価格が異なり、当時の情報も断片的で捉えにくく、また、チャレンジャーバンクのサービスも実際使ったことがないという状況で深みにハマりw流れを整理することを目的にこのnoteを

        • 黒字化が見え始めた海外チャレンジャーバンク最新動向

          この春まで連日のように大型資金調達のニュースが流れ、自国を超えたグローバル展開が始まるチャレンジャーバンク。一方で日本において同様のサービスはまだほぼなく、PayPayをはじめとする数社が活性化してきたところです。日本においても、2020-2021年に規制緩和が行われる予定であり、2020-2021年が「チャレンジャーバンク元年」になると期待しています。海外チャレンジャーバンクの最新動向を調べ、せっかくなのでメモにしました。 ※本文ではチャレンジャーバンク(銀行免許自社所有

        Podcast業界の変遷

          コロナによる市場変化と、起業家がとるべき行動

          前回ポストでは、現在起業家とディスカッションしている内容について言及しましたが、今回は、a16zのPodcastで、元UberのAnderewChenと元HubSpotのBrian Balfourの市況感の話がとても参考になったので、この内容をベースに、市況感の変化他の記事の内容も含めメモを書きました。toCとtoBのグロースをしていた2人ならではの話は参考になるので原文も見てみてください。 Ⅰ. 混乱時の投資家心理と成長モデルの変化Ⅰ-1. 売上重視から投資効率重視の市場

          コロナによる市場変化と、起業家がとるべき行動

          withコロナでスタートアップが今考えたほうが良いと思うこと

          コロナによる急激な市場変化により、資金確保や固定費の見直しなど、3~4月はあわただしく過ごした起業家も多いと思います。守りを固める議論も一服しつつある中で、我々も投資先と今後の事業戦略を練り直しつつあり、話題になっているポイントを挙げてみました。 1. スタートアップは成長投資し続けなければいけない 2. プロダクト、マーケティング...チャンスを見つけて投資する  - ターゲット顧客を再考する  - プライシングを変える  - CPA下がっていたら踏もう  - 敷居の高い

          withコロナでスタートアップが今考えたほうが良いと思うこと

          Marketplaceのバリエーション(JP)

          先日出したMarketplaceのバリエーション(US)の日本版です。マクアケが上場したので早速入れています(おめでとうございます🎉) ※予想は東洋経済。GMV予想は売上予想と実績テイクレートから簡易的に算出。時価総額は株価×(発行済株式数-自己株式)で算出 PSR(GMVベース)=1倍の目線感は日本でもベースにあると考えています。ラクスルやマクアケの対GMVでみたPSRが、予想1期でそれぞれ4.2倍、3.6倍と高くなっています。対象市場の大きさや、経営陣の強さ、高い成長

          Marketplaceのバリエーション(JP)

          Marketplaceのバリエーション(US)

          USで上場しているMarketplace企業のバリエーションや収益構造を見てみました。 ・基本の目線はGMV=1倍 ・テイクレート(売上高/GMV)は15~30%とモデルによって異なる ・粗利/GMVで見たテイクレートは10%前後の会社が多い ・ライドシェアのように一定規模まで拡大すると供給確保のために広告費が高騰するケースも 上場企業のECのバリエーションはGMV=1倍の目線感がある少し乱暴ですが、ECのバリエーションはGMV=1倍、みたいな目線感があります。1倍の目線

          Marketplaceのバリエーション(US)

          Sansanの投資リターン分析

          ワンテンポ遅れてしまいましたが、Sansan並びに投資家の皆様、上場おめでとうございます。SaaSのお手本のような事業展開だけでなく、投資サイドでも学びになるに違いない、と目論見書や謄本を細かく分析したものをシェアします。 結論 ・Seed投資を行ったインキュベイトキャピタルは、初値ベースで546倍のリターン(1,500万円→約82億円) ・SeriesBからの投資家DCMは、初値ベースで5.5倍のリターン(約30億円→約135億円) ・シリーズB(時価総額101億円)まで

          Sansanの投資リターン分析

          究極のハンズオンVCによる戦術支援のススメ

          こんにちは。STRIVE パートナーの根岸です。ファンドのリブランディングに伴い、初めてSTRIVEを知ってくださった方もいらっしゃるので、今日は、自己紹介と、今後の抱負について書いていきます。 自己紹介野村證券の調査アナリストから、2016年にGREE Ventures(現STRIVE)にジョインし、VC4年目になります(VC1年目の話はこちらご参照)。 投資先はカケハシ、ミナカラ、ラブグラフです。C向けビジネスや、ユーザー体験に関わるサービスが好きで、最近は、D2Cや

          究極のハンズオンVCによる戦術支援のススメ

          '19 1Q 米国 EC資金調達Top10

          C向けサービスに注目していることもあり、不定期ですがC関連の情報を発信してみることにしました。今回は2019年1-3月の米国ECセクターの資金調達TOP10です。 D2Cが4社、Subscriptionが2社、marketplaceが2社、on-demand deliveryが2社。トレンドを考えると今後もD2C/Subscriptionの資金調達が多そうです。 ’19 1Q US EC資金調達Top10(CB insightより作成) ECなので創業から時間の経ってい

          '19 1Q 米国 EC資金調達Top10

          注目SaaS企業のバリエーション一覧

          先日、カオナビ、スマレジ等エモみのあるSaaS企業が上場したので、過去3年でIPOしたSaaS企業のバリエーションを調べてみました。上場企業はPER(時価総額÷当期利益)で見る場合が多いですが、SaaS企業においては上場企業でも利益ベースではなく、売上ベースのPSR(時価総額÷売上高=ARRマルチプル)で評価されるようになってきました。 <結論> ■PSR(時価総額÷売上予想)で10倍超の評価には、30%以上の売上成長率が投資家から求められる。PERはほぼ見られていない ■

          注目SaaS企業のバリエーション一覧

          GREE Venturesから投資先のラブグラフにフル出向したので振り返る

          出張撮影サービスを提供するラブグラフ(投資先です)に、2018年1~6月の半年間、フル出向していました!結論としては、半年後にはKPIの桁が1つ上がり絶好調😏新メンバーも入社したところで私は役目を終え、今はグリーベンチャーズに戻りました。簡単にですが、半年の振り返りを記したいとおもいます。   ■ラブグラフとは?   ■なぜ出向したのか   ■ラブグラフで何をしたのか   ■結果、半年間で大躍進   ■おわりに ■ラブグラフとは? ラブグラフについての説明は色々あるので、

          GREE Venturesから投資先のラブグラフにフル出向したので振り返る

          PillPackの競合について調べてみた

          PillPackのようなオンライン薬局(処方箋薬)はUSでどんな感じか簡単調査してみた。大きく以下の3パターンに。①全州保険対応の総合オンライン薬局、②地域限定の当日配送薬局、③その他。 ①全州保険対応の総合オンライン薬局PillPack(総調達額$118M) ・アマゾンが$1Bで買収、売上$1M(2018/6/29) ・自社開発で、一包化の機械やPharmacyOSという独自のソフトウェアを開発し、一包化サービスを提供 ・従業員500人(うち薬剤師300人)、顧客数4万人

          PillPackの競合について調べてみた

          なぜAmazonはPillPackを買収したのか

          AmazonがPillPackを買収した記事が気になったのでメモ 販売免許を持っているPillPackを買収することでAmazonは処方薬マーケットへの参入を果たした。Amazonはオンライン薬局だけでなく、リアル薬局にも参入し、シェアを奪っていく模様・・末恐ろし!! 元記事(CB Insight) Amazonがオンライン薬局のPillPackを10億ドルで買収した。ニュースの後、ドラッグストアチェーン大手のCVS、Walgreen、医薬品卸大手のAmerisource

          なぜAmazonはPillPackを買収したのか

          EC Vol.1

          動画コマースやD2Cなど色々言われていますが、そもそもEC市場の概況についてきちんと把握したい。いま、改めてECの基礎を少しずつ調査するシリーズ。 今日は、①EC化率と、②USのEC事業者トップ25、③Exitの3つです。 ①EC化率図表は、2015年の日本とUSのEC化率の調査です(物販EC)。家電、書籍、家具のEC化率は日米ともに高い。目的買い、ネットで比較検討可能な商材、といった共通点があるように思います。異なるのがアパレルで、USでは18.3%のところ、日本では9