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2020年の終わりに

大晦日のためにと奮発して買ったお寿司と年越しそばを食べ終わると、お酒を飲んだ彼は眠くなったのだろう、そのままベッドに寝転がってしまった。買い出しも夕食の準備もしてくれたのは彼なので、寝息を背中に聞きながら片付けをする。毎年、年末年始は海外に行くか実家に帰るかしていたのだけれど、どちらもできなくなった今年は初めて彼と過ごす年越しだ。


少し前に、こんな記事を書いた。

11月の時点で2020年のうちにやりたいことを10個あげて、結果、そのうち9個は実行することができた。できなかった1つのことは、まあ、ダイエットなのだけれど、最近は筋トレも疎かにしていたし好きなときに好きなものを食べていたので、太らなかっただけ良しとする。ダイエットと筋トレは来年以降も続けていかなきゃな。

そんなことを思いながら、お腹いっぱいと言いつつみかんを食べているわたし。何を嗅ぎつけたのか彼もベッドから起き上がって、テーブルに置いていたみかんを半分奪っていく。

ちょっと、わたしが自分で食べるために剥いたみかんなんですけど、それ。


2020年は特別な1年だったのだろうか。もちろん海外には行けなくなったし、わたしが直接影響を受けなかっただけで、大変な思いをした人がたくさんいるのは知っている。けれど数年前までわたしはインドアな性格で、とても一人で海外に行くようなタイプではなかった。近所のカフェで本を読んだり文章を書いているのが一番楽しいような性格だったから、本当は今の生活だって全然不便なんかじゃない。

ただ、大切なものの棚卸しができたとは思っている。引っ越したこともあって物理的な整理整頓ができたのもそうだけれど、大切にしたい人間関係や、わたしの人生において重要なものはなんなのか、1年かけて考えることができた。だから2021年はその大切なものたちと、もっと深く繋がるために歩いていきたいと思う。


彼にみかんを半分奪われたので、キッチンからみかんをもうひとつ持ってきた。皮を剥いている手に強い視線を感じるが、無視。みかんをひとかけ口に運んだところで彼と目が合い、お互いに笑いが止まらなくなってしまった。

彼は笑いながら、わたしの手からみかんを奪っていく。わたしも笑いながら、特に抵抗せずみかんを渡す。食べたいのなら食べたいって言えばいいのにね、自分でみかんを持ってきて皮を剥けばいいのにね。側から見れば何がそんなに面白いのかって話だと思うのだけれど。

どんなにくだらなくとも、彼とのこんなやり取りさえもきっと、わたしにとっては大切なことのひとつ。こんな些細な幸せが、明日からも続きますように。

みなさん、良いお年をお迎えください。




世界はそれを愛と呼ぶんだぜ