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夕焼けを歩いて帰った
最近、仕事終わりに会社から歩いて帰っている。電車だと15分くらいの距離だけど、歩くと約1時間。
きっかけは本当に些細なこと。
上司が、自転車が壊れたから駅から家まで1時間近く歩いて帰っている、と言っていたのを聞いたからだ。
会社から家まで、歩けない距離じゃないことはずっとわかっていて、でも道もよくわからないし、面倒くさいし、何より早く家に帰りたいし。そんな理由で、今までずっと電車を使っていた。
けれど上司のその話を聞いたら、なんとなく、歩いてみるのもいいのかなって。
疲れたら、途中で電車に乗ればいいし、別に何か準備する必要もない、ただ歩けばいいだけ。
本当に気まぐれで、会社から歩いて帰ることにした。
初日は、道がよくわからなくて少し迷った。グーグルマップはちょっと変な道を示すことがあるので、人気のない怖い道を通ることになってしまった。
次の日からはグーグルマップに逆らって、ちょっと違う道を歩いてみた。脇の小道を示すグーグルマップとは逆に、まっすぐ歩いて、大きな歩道橋を渡る。
歩道橋というと階段で上にあがるものをイメージするけれど、ここの歩道橋は階段ではなく、斜め上に伸びる道路のようなもので、通行止めがなければ車も通れるくらいに広い。
歩道橋の下には何車線もの国道があり、たくさんの車やトラックが走っている。
歩道橋の一番高いところまで登ると、風と夕焼けがわたしに刺さった。
オレンジから紺色に変わる空に向かって、道路はまっすぐに伸びている。走る車は、オレンジに飛び込むように風に乗って、やがて姿を消す。
歩いて帰ることにしたのは気まぐれだけど、そのときばかりは自分の気まぐれを褒めてあげたくなった。
しばらくの間は、このまま歩いて帰ってみようかな。毎日変わる空や風を、この目でもっと見たいから。
世界はそれを愛と呼ぶんだぜ