『自分と子どもの夢を広げていきたい』2児のママ、Yuiさんが描く理想の働き方
「器用貧乏で飽きっぽいを武器にする」をモットーに、会社員やフリーランスなど様々なキャリアの人たちが集まるオンラインコミュニティ「スラッシュワーカーズ」。
不安定な時代を、スラッシュで区切るように複数の仕事で乗り越える「スラッシュワーカー」。そこに至るまでには、それぞれ異なる体験や理由が秘められています。
今回は、2児の母で日本語教師として働きつつ、ライターやフォトグラファーと仕事の幅を増やしているYuiさん(以下ゆいさん)に、今のキャリアに至るまでの経緯を伺いました。
日本語教師としての葛藤やスラッシュワーカーズに出会ってからの変化、そして子育てをしながらの複業、これからの展望など。
特に複業始めたての方や子育てと仕事の両立に悩んでいる方は、ゆいさんの言葉の中に何かしらのヒントがあるかもしれません。
小さな島で見つけた憧れの職業「日本語教師」
ー簡単に自己紹介をお願いいたします。
今、岐阜県に住んでいて、幼稚園に通っている3歳の息子とまだ自宅で保育をしている2 歳の娘、2人の子育てをしています。
大学の主専攻で日本語教師について学び、卒業後1年は別のところで働きましたが、その後また日本語教師に戻り、今年で日本語教師歴7年目になります。
2023年 6 月にスラッシュワーカーズに入り、今はライターの仕事と、元々好きだったカメラマンの仕事も増やしたいなと思い、スキルアップ中です。
ー日本語教師を長年続けられているようですが、なぜ日本語教師になろうと思ったのでしょうか?
高校時代に、自分が住んでいた市の友好事業で、 1週間グアムとサイパンの間ぐらいにある小さい島「ロタ島」に行ったのがきっかけです。
現地ではホームステイをしたのですが、家族全員日本語に興味はあるけど、お父さんがちょっと喋れるだけで、他の家族は全く喋れないっていう状態で......。
それに加えて、私も学校の授業で習うだけの英語力だったので、ちゃんとコミュニケーションを取るのが難しかったんですよ。
でも、ホストファミリーの方がすごく優しくて、身振り手ぶりで、「この意味はなに?」「これは日本語でなんて言うの?」と色々聞いてくれて。
日本のことに興味関心を持ってもらえたことが、日本人としてとても嬉しかった半面、上手く伝えられないもどかしさがありました。
このロタ島での経験がきっかけで、日本の文化や日本語を伝えられるようになりたいなと思い、色々調べていたところ、図書館で「日本語教師」という職業を見つけました。
ちょうど高3の進路を決める時期だったので、日本語教師になることを目標に大学選びをしました。
ー留学に行って英語を話せるようになりたいと思う人は結構多いと思いますが、日本語を教えられるようになりたいっていうのは珍しいですね。
たしかに、そうかもしれないですね。もちろん日本語だけじゃなくて、英語もできるようになりたいとは思いましたが、「やっぱり日本語を教えたい」っていう気持ちが勝っていました。
憧れの職業に就くも、理想とのギャップに苦しむ日々
ー日本語教師になるまではどのような道のりだったのですか?
大学1、2年生では座学で日本文化や歴史などの基礎的なことや、外国語としての日本語の仕組みを勉強し、3、4年生では実習系が増えました。
在学中に研修が2回あったのですが、1回目は大学の留学生センターで約1ヶ月、2回目はベトナムのハノイ国家大学で1ヶ月、教案を書いて授業を繰り返しました。
ー実際に日本語教師になってから良かったなと思うこと、反対にイメージと違ったなと感じたことはありましたか?
イメージと違った点で言うと、日本語学校で働き始めた時、生徒のほとんどがベトナム人だったんですよね。それで「私はベトナムで研修したし、大丈夫!」と張り切って教室に入ったのですが、イメージとは違いみんなあまりやる気がなくて。
私が1年目で生徒と年が近かったのもあってか、授業中に寝ていたり、あまり話を聞いてくれなかったり、ずっと母国語で喋られていたり、と結構大変な一年でしたね。
ただ、そこから少しずつ在籍している生徒が変わったり、自分にも自信がついてきたりして、だいぶ居心地が良くなっていきました。
ー大きく前進したようですが、その間、職場は変わっていないんですよね?
そうですね。約半年非常勤で働いて、そのあと常勤講師として約2年働きました。場所は変わっていないけれど、条件が少し変わりましたね。
常勤講師になると、日本語指導だけでなくて、進路指導や生活指導など色んなものが入ってきて、楽しかったけど、結構疲れていた時期でもありました。
出産を機に退職。オンライン日本語教師になって感じたモヤモヤ
ー日本語教師は出産の前に退職されたのですか?
そうですね。2019年の8月に出産したのですが、その年の5月に退職しました。
ただ、出産を目前にして「子育てしながら、これからの仕事はどうしよう......」という不安があり、出産の2ヶ月前の6月にオンライン日本語教師に登録しました。
ーリアルで教えるのとオンラインとで、違いはありましたか?
対面では20人くらいでわいわい授業ができてよかったのですが、全ての人に完全に合わせる授業を作るのは難しいです。その反面、オンラインでは基本的に1対1なので、一人一人のニーズに向き合えるメリットがあります。
また、日本に行きたい、日本のドラマやアニメを見たい、などモチベーションが高い人が多く、私も生徒から元気をもらっていました。
ただ、どうしても子どもがいると、スケジュールが事前に読めないので、予約カレンダーをなかなか空けられず、収入が安定しなかったです。
ー子どもの面倒を見ながら自分の時間を確保するのは大変ですよね。どうやってスケジュールを確保していたのでしょうか?
先にこの時間帯はやりたい、という希望を持ってスケジュールを空けて、他の予定を調整したり、夜の時間にやっていたりした時期も多かったです。
ただ、子どもの夜泣きもあり、ストレスが溜まっていって、夜の時間はやりたくないと感じるようになり、予約が入ったとしてもモチベーションが上がらなくなってしまいました。
ちょうどその頃、夫も仕事が忙しくて大変なときだったので、お互いイライラしてしまうし、頑張って教えても、収入は雀の涙程度で「これはやっていて意味があるのかな」と何度も思いました。
たった一言で人生が救われた。スラッシュワーカーズとの出会い
ー今はイキイキと自分のやりたいことをやっている印象のゆいさんですが、なにか変わるきっかけがあったのでしょうか。
きっかけはスラッシュワーカーズ発起人ルイスさんの「器用貧乏でいい、好きなことを全部やる」といった内容のツイートでした。そのツイートで、好きなことをやっていいんだ!って背中を押された気がします。
2019年から日本語教師としてSNSで発信を続けていたのですが、フォロワーさんからも日本語教師のことを聞かれたり、そのことで交流があったりもしたので、2020年2021年頃には日本語教師以外の好きなことや本当の自分は発信してはいけない、と感じていました。
でもスラッシュワーカーズに出会って、「必ずしも日本語教師を続けなくてもいい、日本語教師以外の自分も出していい」と思えたら、とても気が楽になりました。
ーそれだけスラッシュワーカーズとの出会いはゆいさんにとって大きな変化だったのですね。実際に入ってみてからはどうでしたか?
色んなスキルや職種を知れたし、同じような働き方を目指している仲間がいるので、1人で頑張らなくてもいいという点はとても気に入っています。
これまでは自分の周りに同じような働き方をしている人がいなかったので、コツコツと会社に勤め上げている人と比べては、自分には何もない、と落ち込みがちでした。
しかし、今は色んな働き方をしている人に出会い、自分の好きを追い求めていいという自信を取り戻せたので、本当に入って良かったなと思っています。
ースラッシュワーカーズに入ってから、仕事の面で変化はありました?
ライターとカメラマンとしての仕事を得ようと動き出したところです。
スラッシュワーカーズに入ってからライターのポートフォリオを作り、先日、『Mediall(メディアール)』という地域のオンリーワン・ナンバーワンを発信する地方創生メディアで初めての取材記事を書かせてもらいました。
▼ゆいさん初めての取材記事
またカメラマンとしては、6月に友だちのファミリーフォトを無料で撮ったのですが、そのときに、「これからは案件としてもやっていきたいんだよね」と話したところ、次回の七五三は有料で撮らせてもらえることになりました。
自分の夢も子どもの選択肢も広げていく
ーゆいさんはこれからも今の働き方を続けたいですか?
今はまだ娘が家にいる分、外に行くのは難しいのですが、来年から娘が幼稚園に行けたら、朝の10時から昼の3時まで、と限られているものの、外での活動を増やしていきたいです。
しかし、カメラマンと日本語教師は相手の都合に合わせて時間を空けなければならず、自分の時間が足りなくなってしまうので、まずはライターとして安定した収入を得つつ、仕事の幅を広げていくのが目標です。
ー子育てと複業を両立する上で、もし工夫していることがあれば教えてください。
うちの子たちは昼も夜もあまり寝ず、体力があるので、 2人と過ごしながら自分がやりたいことの時間を捻出するのは想像以上に大変です。
ただ、過去に頑張りすぎて自分の体調を崩したことが何度かあるので、
・夜はしっかり寝る
・家事を完璧にしない
の2点を特に意識しています。
自分の機嫌が悪いと周りも機嫌が悪くなってきて、うまくいかないことが多いので、夜早く寝て、朝30分でも自分の作業ができたらいいな〜とか、家事もちょっとくらい放っておいても大丈夫、くらいの心持ちで自分の機嫌を整えています。
今までは、「子どもがいるから長く働けない」「もうちょっと時間があったら」などと考えていたのですが、自分を整えられると、今の環境でできることもたくさんある!と思えるようになってきました。
ースラッシュワーカーとしてこれからありたい姿はありますか?
元々、旅も好きだし、色んなところで働きたいという想いがあったのですが、子どもができてから「子どもが何かあった時にすぐ、そばにいてあげたい」という気持ちもあり、柔軟な働き方への想いがより強くなりました。
私がフレキシブルな働き方をすることで、子どもたちが「自分のやりたいことを諦めなくてもいいんだ」「そういう働き方もあるんだ」など多様性を知り、自分の可能性を広げてくれたら嬉しいです。
子どもの夏休みが1ヶ月あるのが、働くママとしては少し怖いのですが、働き方が自由になることで、有意義に使えるかなという風にも思っていて。
家から1時間半離れた夫の実家に行って仕事をしたり、旅行先でワーケーションをしたり、子ども達と過ごしつつ、自分の働き方も広げていくのが夢です。
「一つのことを極められない、周りと同じような働き方ができないことにずっと劣等感を抱いていた」と過去を振り返るゆいさんでしたが、いま挑戦している仕事のことや、これから子ども達と叶えたい夢について語る姿は、とてもイキイキとしていました。
2児の子育てに奮闘しながら、自身の夢を諦めず、子ども達の選択肢も広げていっているゆいさんのこれからがとても楽しみです!
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