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「経営と育児を両立させたい」と言っていた学生さんへ

先週末、母校である中央大学法学部法律学科の「大学と社会」という授業で、学生に向けて自分のキャリアについてお話する機会をいただきました。

後期の授業では毎週一人の卒業生をゲストスピーカーとして招き、「卒業生がどんな仕事をしていて、今に至るまでに何を大切にしてきたのかを聞く」という内容。さまざまな進路や価値観を知り、自分の考えと照らし合わせて、卒業後の自分について考えることが目的だそうです。

1時間近く自分のキャリアについて語るのは初めての経験。自分語りはウザい大人と紙一重だよな……という懸念もあり、しかも参加者はおよそ150名とドキドキでしたが、温かい感想をたくさんいただき、本当にうれしかったです。

想定通り印象に残ったんだなと思うこともあれば、「そこが響くんだ」と意外に思ったこともあって新鮮でした。「学生時代、死ぬほど人見知りだった」という私の話を聞いて「励まされた」とコメントをくれた学生も複数いて、それだけで登壇してよかったです。笑

ただ、授業が終わってから今までずっと頭に引っかかっていることがあって。

それは「親の会社を継いで経営者になろうと思っている。将来は経営と育児を両立したいが、優先順位をどう考えたらいいかわからない」というコメントに対する、私の返答について。

私は「仕事と育児の両立をしたことがないから偉そうなことは言えない」と前置きをした上で、「思い通りに人生が行くとは限らないし、もしかしたら結婚しないかもしれないし、子どもを産まないかもしれない。今から両立の心配をするよりは、興味のある仕事をまず選んで、目の前の仕事を頑張った方がいいのでは」みたいな答えを返したと思います。

質問をしてくれた人が会社員として働きたい人だったら、この答えも一つの意見かなと思います。ただ、この質問をしてくれた彼女には「経営者になりたい」という明確な意思がある。

その前提を無視した、乱暴で無責任な答えだったなと反省しています。なので改めていただいた質問にきちんと答えたいと思って、このnoteを書きました。

改めて、質問への返答

育児も経営も、私には経験がありません。そんな私がお伝えできるのは、「ぜひ実際に経営と育児を両立している人に話を聞いてみてほしい」ということ。

就活をテーマにした取材でも、必ずと言っていいほど「就活生の特権を使って、たくさんの社会人に会った方がいい」 というアドバイスが出てきます。

私はこれまで、有名な方も含め、それなりの人数の経営者の取材をしてきました。皆さん大変お忙しい方ですが、学生からの連絡を迷惑だと答えた人は一人もいません。むしろできる限り力になりたいと、ほとんどの方がおっしゃっています。

(「忙しいから返信できないことはあるかもしれないけど」という注釈付きですが)

社会人が有名な経営者の方にDMを送っても大抵は無視されますが、これが学生で、かつ真剣さが伝わる丁寧な連絡であれば、話を聞かせてもらえる可能性はあります。少なくともネガティブに思う経営者はほとんどいないと私は思います。

ぜひいろんな人の話を聞いて、その人たちは優先順位をどうやって決めてきたのか、そのためにはどんな力が必要で、最初にどういう会社を選んだらいいのか、ヒントを探してみてください。これは自分が35歳になって実感することですが、大抵の大人は「学生から頼られるのはうれしい」と感じるものです。

授業でも話した通り、「これが正解」という選択肢はないですが、目指す姿に似た人の話を聞き、たくさん考えれば、限りなく正解に近づけると思います。

あとは大学生に向けて、仕事と育児の両立を経験できるプログラムを提供している会社もあります。「ワーク&ライフ・インターン」のスリール「家族留学」のmanmaなど。実際にやってみるのもすてきだと思います。

その一方で、思い描いている将来像に縛られすぎないでほしいとも思います。私の病的な人見知りが治ったように、性格は変わるし、考え方や価値観も変わる。やりたいことや理想だって変わるのが自然です。(もちろん変わらない人もいて、それはそれでかっこいい)

それに人生は思った通りに行きません。私だって学生時代はもうとっくに結婚して二人ぐらい子供を産んでいると思っていましたが、今なお結婚の兆しは全くないし、それどころか結婚したいともあまり思わない。

「こうじゃなきゃダメ」は、自分の首を絞めます。今望んでいる経営と育児の両立ができる将来をイメージしつつ、目標や理想、優先順位は変わってもいいという柔軟さも持てると、結果的に未来は広がるんじゃないかな〜というのが私の意見です。

そして最後に、このnoteの内容も、授業で話したことも、全て私の狭い知見に基づくものです。絶対に「これが正しい」とは思わないでください。

学生時代と違って、社会に出るとびっくりするぐらい正解がなくなります。「なんでこんなに複雑なんだ」と時に嫌になることもあるけれど、良く捉えれば「何を選んでも自分にとっての正解にできる」ということでもある。

ぜひたくさんの大人に話を聞いて、自分で納得できる答えを見つけてください。応援してます!

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